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プッチーニ「トスカ」(2018年新国立劇場レパートリー) [オペラ]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
明日月曜日まで夏期の休診期間となっています。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
トスカ2018.jpg
これももう先月になりますが、
新国立劇場のレパートリーの「トスカ」を、
聴いて来ました。

プッチーニの「トスカ」は、
上演時間も3時間弱と手頃ですし、
物語もドラマチックで分かり易くて、
テンポも早いので、
比較的初心者向けのオペラです。

音楽自体も、
もうミュージカルや映画が始まった時期とかぶる時代なので、
クラシックとは言っても、
映画音楽に近い馴染み深さがあります。
勿論実際には、
映画音楽の方がプッチーニの影響を強く受けて、
成立しているのです。

演出も時代背景とドラマが密接に結びついているので、
オーソドックスなものが多く、
安心して観ることが出来ます。

特にこの新国立劇場のプロダクションは、
あまりに保守的という感じはありますし、
ゼッフィレリ演出に似過ぎている、
という気もするのですが、
非常に豪華かつ緻密に出来ていて、
新国立劇場の演出の中でも、
最も成功したプロダクションであることは、
間違いがありません。

今回の上演は、
タイトルロールのネーグルスタットが、
期待通りの素晴らしい歌唱と演技で、
一部に物足りないところはあったものの、
これまでに聴いた多くのトスカの中でも、
最上位にランクする素敵な舞台でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「人間機械」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日ですが祝日のためクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
人間機械.jpg
これは1時間15分ほどのドキュメンタリーで、
インドの服飾工場の労働の風景と、
労働者と経営者に対するインタビューを、
個性的な映像表現でまとめたものです。

これは宣伝がちょっとずるくて、
前衛的で単なるドキュメンタリーを越えた、
これまでにない映像表現、
というようなニュアンスが強調されているのですが、
実際には無知につけ込む労働搾取を告発する、という、
メッセージ性の強い映画で、
描かれるのはごく一般的な工場の作業風景で、
映像は美しいと言えなくもありませんが、
それほどびっくりするようなものとは言えません。

正直イメージと違い落胆しましたが、
それは地味な社会派ドキュメンタリーを、
無理矢理かつてない映像表現のように売り込んだ、
誇大な宣伝戦略と、
それに臆面もなく協力した、
一部の批評家と称する人達の、
節操のなさにあるだけで、
この映画には何の罪もないのです。

真面目な社会派ドキュメンタリーとして、
お薦めの一本です。

それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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藤田貴大「BOAT」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日からクリニックは夏期の休診に入ります。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
Boat.jpg
もう公演は終わっていますが、
マームとジプシーの藤田貴大さんが、
東京芸術劇場と協力して上演する、
マームとジプシー特別公演というような新作の舞台に、
先日足を運びました。

高校生の制服姿の団体が、
1階の客席の3分の2以上を占めていて、
僕は自分が学生だった頃から、
個人ではなく学校で行くこうした行事が、
大嫌いだったので、
これなら貸し切りにしてくれれば良かったのに…
と思いましたが特に事前の連絡などはないので、
仕方がありません。
幕前には大騒ぎだったので危惧したのですが、
観劇態度は極めて真面目でした。

ただ、それでは高校生の鑑賞に、
この舞台が適していたのかと言うと、
その点についてははなはだ疑問です。

内容はかなり抽象性の高いもので、
架空の島が舞台となり、
そこに昔からいる住民と、
新しくボートで流れ着いた人達との間に、
差別やトラブルが生じたり、
悲劇が起こったりしているうちに、
今度は大量のボートが現れて、
島は崩壊に導かれます。

ラストは差別意識のない主人公達が、
島をボートで離れるところで、
物語は終わります。

これだけでもお分かりのように、
島をメタファーにして、
今の日本の状況を、
かなり悲観的に描いたお芝居で、
最後に希望を残した感じはあっても、
それで何かが生まれる訳ではありません。

マームとジプシーのいつもの感じですから、
素舞台に本物のボートが置かれているだけで、
衣装も稽古着的なものです。

そのボートが吊り上げられるのが、
舞台上の最も大きな動きです。

台詞は不自然な棒読が基本ですが、
特徴的なリフレインは今回はあまりなく、
普通のお芝居に近づいている印象でした。

総じて、
昔のアングラ演劇の興隆期に、
一般の方がイメージしていた、
難解で意味不明のお芝居に、
ほぼ近いような、
過去の亡霊が甦ったような作品で、
個人的にはとても受け付けませんでした。

もう少し明るい話が見たいですよね。

それでは今日はこのくらいで。

今日も皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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飲酒量と認知症リスクとの関連について(2018年イギリスの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

明日から8月13日(月)までは夏期の休診となります。
ご迷惑をお掛けしますがご了承下さい。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アルコール量と認知症.jpg
2018年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
飲酒量と認知症のリスクに関する疫学データの論文です。

アルコールに厳しいイギリスからの報告で、
その厳しい基準の妥当性を示す結果になっています。

23年という長い観察期間を設けて、
中年期の飲酒の習慣が、
後の認知症の発症に結び付くかどうかを、
時間軸に沿って分析しているのが今回の特徴です。

それではまずいつもの前置きです。

健康のために適切な飲酒量はどのくらいか、
というのは未だ解決はされていない問題です。

大量のお酒を飲んでいれば、
肝臓も悪くなりますし、
心臓病や脳卒中、高血圧などにも、
悪影響を及ぼすことは間違いがありません。

ただ、アルコールを少量飲む習慣のある人の方が、
全く飲まない人よりも、
一部の病気のリスクは低くなり、
寿命にも良い影響がある、
というような知見も複数存在しています。

日本では厚労省のe-ヘルスケアネットに、
日本のデータを元にして、
がんと心血管疾患、総死亡において、
純アルコールで平均23グラム未満(日本酒1合未満)の飲酒習慣のある方が、
全く飲まない人よりリスクが低い、
という結果を紹介しています。

その一方で、
2016年のメタ解析の論文によると、
確かに飲酒量が1日アルコール23グラム未満であれば、
機会飲酒の人とその死亡リスクには左程の差はないのですが、
1日1.3グラムを超えるアルコールでは、
矢張り死亡リスクは増加する傾向を示していた、
というようなデータが紹介されています。

2017年に発表されたイギリスの大規模疫学データでは、
概ね多くの病気において、
全くお酒を飲まない人より、
1日20グラム程度のアルコールを摂取している人の方が、
その発症リスクは低く、
それが適正量を超えるとリスクの増加に繋がる、
というものになっていました。

ただ、喉頭癌、食道癌、乳癌など、
一部の癌はより少ないアルコール量でも、
そのリスクが増加した、
というデータもあります。

これまでのデータを整理すると、
アルコールの摂取量が少なくとも、
ノーリスクとは言えないのですが、
その量が1日換算で20から23グラム未満程度であれば、
大きな健康上の問題は生じない、
と考えて良いように思います。

ただ、アルコールの脳への影響、
と言う点についてはそれほどクリアになっていません。

少量のアルコールは認知症のリスクを低下させた、
という報告がある一方で、
脳画像による同様の検証では、
こうしたアルコールの良い影響は確認されていません。

以前記事にしました2017年のイギリスのデータでは、
登録時の平均年齢が43歳の男女550名を、
アルコール摂取量を聞き取りした上で、
30年間の経過観察を行い、
その前後で脳のMRIを撮って、
その所見の比較も行っています。

その結果…

アルツハイマー型認知症の所見として見られる海馬の萎縮(右側)は、
アルコールの摂取量が多いほどその頻度が高く、
1週間のアルコールの摂取量が8グラム未満と比較して、
112から168グラム未満では3.4倍(95%CI; 1.4から8.1)、
168から240グラム未満では3.6倍(95%CI; 1.4から9.6)、
240グラム以上では5.8倍(95%CI; 1.8から18.6)と、
それぞれ有意に増加していました。

認知機能の検査については、
記憶の再生や、
野菜の名前をなるべく沢山言う、
というような意味流暢性の検査では、
アルコール摂取量との関連は認められませんでしたが、
「A」で始まる言葉をなるべく沢山言う、
というような文字流暢性の検査では、
アルコール摂取量が多いほど、
結果が低下しているという相関が認められました。

ただこの研究ではまだ、
認知症の事例が沢山発症する、
という年齢には至っていないので、
実際に認知症の発症リスクが、
アルコールの摂取量で高まるかどうかは確認されていません。

今回のデータはより大規模なもので、
登録の時点で35から55歳の9087名の男女を、
23年間に渡り経過観察しています。
その結果397名の新規の認知症の発症が認められています。

飲酒量と認知症発症リスクとの関連をみたところ、
1週間に1から14単位(アルコール量で1単位は8グラム)の飲酒と比較して、
14単位(1週間に112グラム)を超える飲酒習慣を、
中年期に持っていた人は、
その後の認知症発症リスクが1.47倍(95%CI: 1.15から1.89)
有意に増加していました。
1週間に14単位以上飲酒をしている人は、
飲酒量が7単位増える毎に認知症リスクは17%増加する、
という推算されています。

この週に112グラムというのは、
1日に換算すると16グラムですから、
日本で適正飲酒量とされる1日23グラム以下より、
かなり少ないということが分かります。

元々2016年のイギリスのガイドラインにおける適正飲酒量は、
1週間に112グラム以下で、
意外なことに日本より厳しいのです。
これがアメリカの男性の適正飲酒量は、
1週間に196グラムとなっています。

イギリス人は毎日パブでビールを飲んでいるようなイメージがありますが、
意外に飲酒に関しては厳格であるようです。
(これは以前は週に168グラムと、
日本でほぼ同一となっていたものが、
少量飲酒のリスクを重視して改訂されたのです)

1週間の飲酒量を基準にするのは、
分かりにくいように思いますが、
イギリスの基準は1週間にワイングラスなら5杯分、
ビール中ジョッキが4杯分、
というように図示されていて、
1日1合くらいと言うより、
この方が分かりやすいというようにも感じます。

少量の飲酒に大きな健康上の害はない、
という常識に現状は大きな変化は起こっていないのですが、
より少量の飲酒でも、
認知症の発症には、
若干の関連がある可能性があります。

従って、
飲酒の楽しみを否定するつもりはありませんが、
健康のためには、
1週間単位でなるべくたしなむ程度にしておくのが、
まずは上策ではないかという気がします。

ただ、こうした飲酒に関してのイギリスのデータは、
初めから結果を決めているような感じがあり、
他の分野でもそうしたことはありますが、
あまり厳密な科学ではないと、
そうした印象を持つこともまた偽らざる気持ちなのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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アスピリンの効果と消炎鎮痛剤との併用について [科学検証]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業員の面談などに都内を廻る予定です。

まだ地獄のレセプト作業も夜には待っています。

それでは今日の話題です。

今日は昨日取り上げた低用量アスピリンの仕組みの話を、
まとめておきたいと思います。

要するにアスピリンの基礎知識です。

アスピリンを少量で使用すると、
心筋梗塞や脳卒中の予防に有効性があるというのは、
皆さんもよくご存じかと思います。

アスピリンはそもそも解熱鎮痛剤です。

それで何故動脈硬化の病気の予防になるのでしょうか?

これは抗血小板作用があるからと、
そう説明されています。

血管の内側に損傷が起こると、
その部位には血小板が粘着します。
その血小板がトロンボキサンA2という物質を放出すると、
それによって血小板が沢山集まり、
「血栓」になり易くなります。
またトロンボキサンA2は血管を収縮させるので、
これら2つの作用により、
血管が詰まり易くなり、
脳卒中や心筋梗塞の発作を誘発する、
と考えられています。

この反応は出血を止めるために必要なものですが、
動脈硬化のように慢性に血管の損傷が進行するような病態では、
その進行を進め、悪化の要因になるのです。

そのために、
血小板の働きを、
弱めるような薬が予防のために必要になります。

こうした薬剤の中で、
最も歴史がありまた有効性が確認されているのが、
アスピリンです。

それではアスピリンは、
どのようにして血小板の働きを弱めるのでしょうか?

アスピリンは血小板の中にあって、
トロンボキサンA2の生成に不可欠な、
シクロオキシゲナーゼと言う酵素をアセチル化することで、
その働きをブロックする作用があります。

一旦結合したアスピリンは、
血小板からは離れません。
更には血小板には、
新しいシクロオキシゲナーゼを合成する能力がありません。
血小板には核がないからです。
そのため、この抗血小板作用は、
その結合した血小板に対しては、
ずっと続くのです。

アスピリンを予防目的で常時飲んでいる患者さんでは、
今では飲んだまま検査することが多いと思いますが、
以前は胃カメラなどの検査の前に、
アスピリンを1週間ほど中止することがありました。

これは血小板の寿命が9~12日程度であることから、
多くの血小板が入れ替わることが、
その理由です。

まあ、厳密に言えば、
1週間ではやや短いのです。

アスピリンは解熱鎮痛剤として用いる時には、
1日600mg から1000mg 程度を使用しますが、
通常心筋梗塞の予防には、
1日81mg から100mg という少量を用います。

これは一体何故でしょうか?

実はアスピリンが妨害するシクロオキシゲナーゼは、
血小板だけではなく、
血管の内側の細胞にも存在しています。

通常鎮痛剤として用いる量のアスピリンを使用すると、
血小板のみならず血管のシクロオキシゲナーゼも阻害されます。

すると、この血管の内側の細胞では、
PGI2 という血栓形成を予防する働きのある物質を、
トロンボキサンA2と同じ材料から作っているので、
その善玉のプロスタグランジンの産生も抑えられて、
アスピリンの血栓形成予防効果は、
相殺されてしまうのです。
これを「アスピリンジレンマ」と呼んでいます。

一方で少量のアスピリンを使用すると、
体循環に移行する前に、
その多くが活性を失ってしまうので、
血管のシクロオキシゲナーゼは殆ど阻害しないのです。
それでも体循環に廻る前に、
血小板にはある程度取り込まれるので、
血小板には取り込まれるけれど、
血管のPGI2 の産生は妨害しない、
という都合の良いことが成立するのです。

偶然の試行錯誤の産物とは言え、
非常に面白いことを考えたものですね。

さて、アスピリンはそもそもは、
解熱鎮痛剤で、
イブプロフェンやアセトアミノフェン、
ボルタレンなどと同系統の薬です。

それでは、
他の解熱鎮痛剤には、
アスピリンのような血栓形成抑制効果はあるのでしょうか?

多くの解熱鎮痛剤は、
アスピリンと同様に、
血小板のシクロオキシゲナーゼに結合する働きは持っています。

しかし、その結合は緩く、
すぐに外れてしまうので、
アスピリンのような強い効果は期待し難く、
実際に有意な抗血小板作用は持たない、
とされています。

それでは、アスピリンと他の解熱鎮痛剤を一緒に使用した場合には、
どんなことが起こるのでしょうか?

アスピリンを普段飲んでいる人が、
風邪で熱を出し、
イブプロフェンを飲んだら、
アスピリンの効果は変わるでしょうか?
また、関節炎で普段ボルタレンを飲んでいる人が、
脳卒中の予防のためにアスピリンを飲むことには、
果たして意味があるのでしょうか?

それに関しての論文が、
2001年のNew England Journal of Medicine 誌に掲載されています。

それによると、
ボルタレンやアセトアミノフェンの使用は、
アスピリンの効果にそれほど影響はされませんが、
イブプロフェンに関しては、
1回イブプロフェンを飲んだだけで、
その後に使用するアスピリンの抗血小板作用は、
阻害されてしまいます。

つまり、イブプロフェンを使用すると、
アスピリンの効果はなくなってしまうのです。

この理由は構造的に、
アスピリンの結合部位に、
先にイブプロフェンがくっついてしまうと、
後からアスピリンが結合しようとしても、
結合出来なくなるからだ、
と説明されています。

つまり、アスピリンを普段飲まれている方が、
熱を出したようなケースでは、
イブプロフェンを使用するのは、
あまり適切なことではありません。

今日はアスピリンの効果と使用法の、
あれこれについての話でした。

昨日のトピックにもありましたように、
今後アスピリンの低用量での予防的な使用は、
その用量と体重や年齢との関係を、
見直すような流れになるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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