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「ハウス・ジャック・ビルト」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ハウス・ジャック・ビルド.jpg
デンマークの怪人ラース・フォン・トリアー監督の新作が、
今ロードショー公開されています。

色々と観たい映画があるのですが、
なかなか時間が合わずに観に行くことが出来ません。
少し時間が開いたので、
この時間で観られるものをと探したら、
こうした選択になりました。

トリアー監督は、
以前「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観て、
救いの欠片もない地獄のような物語なのに、
何故かミュージカルで脳天気な踊りと歌が入るという、
ミュージカルの理不尽で不条理な本質を、
容赦なくあらわにしたような怪作の印象が強く、
その後も一筋縄ではいかない、
ヘンな映画を作り続けています。

今回の作品も世界中で物議をかもしているという触れ込みで、
日本ではノーカット版が18禁で公開されている、
という説明になっています。
確かに2時間半を超える上映時間で、
かなり長いなあ、とい印象です。

作品としては1970年代のアメリカで、
マット・ディロン演じるシリアルキラーの生涯を、
地獄落ちした後に、
ダンテの「神曲」の地獄編になぞらえて、
導き役の古代ギリシャの詩人に、
自分の人生のあれこれを語る、
というオムニバスの形式で映像化したものです。

アメリカが舞台ですが、
デンマーク、フランスなどの合作のヨーロッパ映画で、
雰囲気も確かにヨーロッパ映画的です。
ラストまでシリアスな感じで物語は続きますが、
エピローグはCGなどを駆使した冥界の映像化で、
最後は地獄の穴の底に主人公が堕ちて終わります。

かなり背徳的でグロテスクで残酷で非倫理的ですが、
ホラーを目指したものではないので、
そうした怖さやサスペンスのような要素は希薄です。
咽喉をえぐったり乳房を切り取ったりというような残酷描写もありますが、
こうした残酷描写を売りにした映画と比べると、
かなり淡白でその点もやや拍子抜けという感じはあります。

全編70年代くらいのアメリカのアクション映画やサスペンス映画を、
なぞるような感じで展開されていて、
監督としてはアメリカ映画を存分にやりたいという気持ちと、
それをやることでアメリカという存在の暴力性と背徳性とを、
あぶりだしたいという思いがあったのかな、
というように感じました。

ただ、もしそうならもっと徹底した残酷さや背徳さが、
これまでの映画では見たことのないような地獄絵図が、
繰り広げられなければならないのですが、
この映画はそこまでは振り切れていないように感じました。
「どうだ、ひどいだろう!」
という感じは見えるのですが、
「いやいやもっとひどい映画は沢山あるじゃん」
というように思うからです。

あまりお勧めでも好きでもありませんが、
退屈はしませんし、
ヨーロッパの問題作として、
決して見て損はない映画だと思います。

大好きなユマ・サーマンが、
最初に殺される女性役で出演していて、
一撃で殺されて終わりなので、
大分お年をお召しになったなあ、
と思いましたし、
ちょっとガッカリでもありました。
これはね、最初にキル・ビルを血祭に、
ということだと思うので、
それならもっと大がかりにしてもらわないと、
せっかく出てもらった甲斐がないと思うのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「旅のおわり世界のはじまり」 [映画]

こんにちは。
北品川藤jクリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
旅のおわり世界のはじまり.jpg
大好きな黒沢清監督の新作は、
日本とウズベキスタンの合作で、
全編ウズベキスタンロケという異色作です。

これは一言で言えば「変な映画」です。

物凄い駄作にもなりそうなところを、
スレスレのところで踏みとどまっていると思うのですが、
物凄く良いところと、かなり凡庸なところと、
それはないでしょう、というところが、
モザイクのように複雑にミックスされていて、
結果として「褒めるのもけなすのも難しい」という、
黒沢清監督作品としては、
通常運転のレベルに仕上がっています。

黒沢監督の実質的な出世作は、
「ドレミファ娘の血が騒ぐ」ですが、
この映画はヒロイン映画で、
主人公が急に歌いだすという点や、
シネマスコープの画面でヒロインの正面のアップが多い、
という点で、
「ドレミファ娘の血が騒ぐ」に似ています。
ヒロイン1人をメインに据えたインチキミュージカル映画を、
黒沢監督はそれ以降1本も撮っていないので、
この映画は確かに「初心に帰った」黒沢映画と言えなくもありません。

ただ、それ以外の部分については、
海外でテレビのニュース映像を見た時に、
2つの世界が結びつくという発想や、
異世界での孤独が人生の次のステップへの足掛かりになる点、
面白い動きをするものを、
行き当たりばったりでも貪欲に物語に取り込む発想など、
これまで積み上げて来た黒沢映画に、
共通する要素も多く見られます。

今回抜群に個性的なのはラストで、
一皮剥けた主人公がずんずん丘を登ってゆくと、
そこで「サウンドオブミュージック」が降臨するというのは、
唖然呆然とする一方で、
こんなラストをある種の説得力を持って実現させてしまうのは、
まあ世界広しと言えど黒沢清監督しか、
存在しないよなあ、という気分にもなるのです。

それ以外の部分については、
正直玉石混淆という感じがあって、
外国で分からない言葉で質問されて逃げてしまったり、
食べるものを買いに行こうとしてバスの乗り方に困ったりと、
今時、こんなエピソードが要る?
猿岩石の電波少年の頃のセンスじゃん、
と問いかけたくなるような凡庸さでガッカリしますし、
撮影クルーの感じもとてもステレオタイプで萎えてしまいます。
その一方でヘンテコで原始的な絶叫マシーンに、
乗り込んで回転させられる前田敦子さんの姿など、
偶然とは言え抜群の面白さでワクワクします。
ヤギのエピソードは微妙なところで、
悪くはないけれど、もう少し気の利いたものがあってもいいのに、
という感じがしましたし、
シベリア抑留の日本人が劇場の装飾を作ったという話は、
ウズベキスタン側からの要請で入れたようですが、
これもさんざんあちこちで聞いた話で、
何度も日本の番組でも取り上げられていますし、
何を今更、という感じがありました。

主人公の前田敦子さんは、
今演技者として乗ってきているという感じがあって、
「町田くんの世界」でも彼女のみ抜群でしたし、
今回もさすがの存在感でした。
ただ、何があっても動じない、という感じなので、
異邦人として、
もっと怯えたり怖がったりしてほしかったし、
それが監督の意図でもあったのではないかしら、
というようには感じました。

要するにもっと薄っぺらな存在感であった方が、
この作品の役柄には合っていたので、
この作品の魅力は多くが前田敦子さんに負っているのですが、
それは監督の意図したものとは違うのでは、
というように感じたのです。
ただ、ラストの歌のある種の不安定な質感だけは、
映画の基調音にフィットするもので、
それがラストが良かった大きな要因でもあるように感じました。

前田敦子さんと黒沢清監督のどちらかのファンにとっては、
必見と言って良い映画、
それ以外の方にとっては、
「なんじゃこりゃ!」と言われても仕方のない映画、
それがこの作品であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「町田くんの世界」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも中村医師が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
町田くんの世界.jpg
安藤ゆきさんの人気コミックを、
石井裕也監督が実写化した映画を観て来ました。

高校を舞台にした学園ものですが、
主人公の少年少女2人は、
それほど年齢の変わらない新人が演じ、
同級生などの脇キャラは、
主に30代くらいのスター俳優達が演じるという、
かなり特殊なキャスティングの映画です。

それほど観たいと思うジャンルではないのですが、
早朝にやっている作品ということで、
時間が合ったので観て来たというのが実際です。
朝一の映画館の客席は、
僕以外には60代以上の男性が2人だけでした。
意外に若者層は興味がないのかしら、
というようにも思いました。

これは発想もテーマもなかなか面白いのです。

主人公の高校生の町田くんは、
誰かが困っているのを見ると、
助けないではいられないという他者優先の少年なのですが、
同級生の少女を好きになってしまいます。
好きだという気持ちは独占的なものなので、
少女は自分だけを助けて欲しい、自分だけを見て欲しい、
と思うのですが、
町田くんは少女のことは好きな一方で、
周囲の全ての人が困っていると、
それを助けないではいられないので、
それをすると少女からは怒られて関係が悪くなる、
というジレンマに直面するのです。

恋愛というものはそもそも独善的で身勝手な感情なので、
「全ての人を幸せにしたい」という気持ちとは、
基本的に相いれない部分がある訳です。
それでいながら、
両方とも素晴らしいものとされているところに根本的な矛盾があり、
主人公はそれを求道僧のように追及するのです。

普通の恋愛ドラマでは、
誤魔化してしまう部分にフォーカスを当てている訳で、
なかなか面白い発想だと思いました。

ただ、他の多くの方も指摘をされているように、
この映画はせっかくそうした問題提起をしておきながら、
ラストは留学する少女を少年が追いかけ、
それをこれまで町田くんに助けてもらったクラスメートが応援する、
という「恋愛至上主義」のものに変貌し、
2人が一緒になれてめでたしめでたしになってしまいます。

2つの概念の根本的な矛盾は、
一体いつ何処で消滅してしまったのでしょうか?

おいおい!という感じです。

この映画は前半では、
少女の妄想の中でのみ、
超現実的なことが起こります。
それでいて、ラストでは、
少女の妄想の中にあった光景が、
現実のものになって終わります。
ただ、この流れも如何にも唐突で、
妄想がどのようにして現実を侵食するに至ったのか、
それとも現実と妄想が何処かで反転したのか、
そうした点が何ら説明されていないので、
この点もラストの処理には納得がゆきません。

中段まではなかなか面白く、
主役2人の演技も悪くありませんし、
左右や上下の画面上の動きとそのスピードを、
自然に感情に転化させるような映像演出も悪くないと思います。
年齢無視のキャスティングも、
全て成功とは言えませんが、
前田敦子さんの女子高生などは、
なかなかのクオリティで、
「俯瞰して未来から見た青春」的な狙いも面白いと思いました。

その意味で、
同年代より高齢者に、
楽しめるノスタルジックさがあるのです。
この辺りの方法論は、
かつての大林宜彦映画に、
ちょっと似たところがありますが、
大林監督より遥かに自然に、
そのロジックを達成していたと思いました。

ただ、高齢者にもラストはガッカリかな?

何故こんな最後に全てを投げ出すようなことをしたのか、
どうにも納得はゆかないのです。

まあ、頑張って見るほどのことはないかな…
という感じの映画でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「コンフィデンスマンJP」(2019年ロマンス編映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
終日レセプトの事務作業でクリニックに缶詰めです。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
コンフィデンスマン.jpg
古沢良太さんの技巧的な脚本で、
本格的なコン・ゲームドラマであった「コンフィデンスマンJP」が、
映画版となって今公開されています。

テレビドラマの映画化というのは、
正直あまり好きではないのですが、
最近朝の時間しか映画を観る時間が取れず、
朝の8時くらいからやっている映画を探すと、
こうしたラインナップになってしまいます。
単館上映などは11時くらいからしか始まらないですよね。

欲求不満の今日この頃です。

ただ、古沢さんの台本は、
舞台も悪くありませんでしたし、
トリッキーでひねりがあるので面白く、
このドラマも後半はかなり予定調和で失速する感じがありましたが、
前半はなかなか面白かったと思います。

今回の映画版は、
まあドラマと同じなのですが、
香港を舞台にして現地ロケも交え、
スケール感はアップしているのと、
それほど意外な展開という訳でもないのですが、
2段にひねりを加えていて、
最初に観客が感じる違和感
(ちょっとこれ無理があるんじゃないの?)
という思いを、
逆手に取った仕掛けがなかなかクレヴァ―だったと思います。

ただ、ちょっと予定調和ではありましたね。

続編の製作も決まったようですし、
次回はもっと掟破りの壮大なほら話を、
期待したいと思います。

「スティング」みたいな映画が好きな方には、
そこそこのお薦めです。
意外に良く考えられていて、
爽快感がありますし、
嫌な後味がありません。

キャストは江口洋介さんが素晴らしくて、
あれはもろ「スティング」のロバート・ショウなのですが、
こういう役が嫌味なく板について来て、
今円熟期という感じですね。
愛嬌のある悪党をすっきりと演じられるのは、
彼ならではと思います。
三浦春馬さんは、うーん、こういう役が、
はまるようになりましたね。
後このシリーズの東出昌大さんは、
他の芝居と全然違いますね。
とても自然で良いのです。

そんな訳でお暇な時間をつぶしたいという向きには、
悪くない選択肢で、
誰でも楽しめる1本には、
仕上がっていたと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごしください。

石原がお送りしました。
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「貞子」(2019年公開版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
貞子.jpg
日本のホラーの歴史を塗り替えた傑作「リング」の、
20年ぶりの正統的な続編として、
中田秀夫監督による「貞子」が今公開されています。

「リング」は原作ものの映画ですが、
テレビから飛び出す貞子というのは映画の創作で、
これが予想外の人気となったので、
元々「リング」は続編の「らせん」と同時に公開され、
原作に近い黙示録的世界が描かれていたのですが、
翌年に貞子をフィーチャーした「リング2」という、
オリジナルの2作目に繋がったのです。
「リング」の続編は原作に近い「らせん」と、
原作とは無関係の「リング2」があって、
お互いにパラレルワールドのように別々の世界観という、
おかしなことになったのです。

その後の関連作は、
この「リング2」を起点として創作されています。

「女優霊」と「リング」を観ると、
中田秀夫監督はホラーの天才ではないかしら、
というように思えるのですが、
「リング2」はそれほど怖くもなく、冴えているようなところもなく、
既に「おやおや」というような感じがありました。

その後の「仄暗き水の底から」というのも、
「怖くしよう、怖くしよう」という感じが空回りしていて、
あまり怖くも面白くもなく、
「こいつ、ひょっとしたらダメなんじゃないか」と思いました。
決定的だったのは、「劇場霊」という、
とんでもない駄作を見たことで、
その演出の素人以下の凡庸さには、
呆然とするしかなかったのです。

中田監督の今回の続編は、
そんな訳であまり期待は出来ないな、
と思いながらも、
そうは言っても「リング」の正統的続編として、
監督だって意地があるのではないかしら、
と期待も少し持ちながら、
無理をして夜中のMX4Dでの公開に足を運びました。

観た感想としては、
まあ大したことはなかったのですが、
予想していたほど酷くはなかったという印象でした。

これね、冒険は何もしていないのです。
極めて保守的で、テレビから出て来る貞子とか、
驚愕の表情で死ぬ女性とか、映像に映り込むサブリミナルの髑髏とか、
過去作のアレンジを露骨にやっています。
映像もそれらしい質感にしていて、
もう呪いのビデオでは通用しないので、
You tubeを持って来ているのですが、
そこからの新しい展開みたいなものはないのです。
最後も極めて予定調和的に終わります。

貞子は…もうちっとも怖くはないですね。
監督自身もう貞子を怖がろうという気持ちはないようで、
そのハリボテ感はかなり辛いところです。

唯一「リング」「リング2」に出演している佐藤仁美さんが、
もう少し怪演してくれるかと期待したのですが、
あまりそうした感じではなかったですね。
これも残念です。

そんな訳でかなりガッカリではあったのですが、
こうした物が好きではあるので、
大きなスクリーンで動く椅子でホラーを観られたことは、
それだけで満足ではあったのです。

マニアのみにお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「アベンジャーズ エンドゲーム」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
アベンジャーズエンドゲーム.jpg
アベンジャーズシリーズの一応の最終編として、
これまでの全てのキャラクターが総出演するという、
お祭り的な大作が、
今ロードショー公開されています。

前作の「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」では、
サノスという敵が世界を支配出来る6つの宝石の力で、
ヒーローも人類も半分にされてしまうのですが、
そのどん底からヒーロー達の逆襲が始まります。

これはまあ看板には偽りなしで、
3時間によくぞここまで詰め込んだ、
という内容になっていて、
巧妙な仕掛けによって、
これまでのシリーズ全てを振り返るという趣向になっています。
更に個別のストーリーがさんざん展開された後で、
最終決戦はあらゆる物量を、
これでもかと詰め込んだ凄まじいものになっていて、
観客の膨れ上がった期待を裏切るまいという、
このシリーズの凄みを感じさせます。

キャストもこれまでのキャラクターが、
ほぼ総出演するのですから、
その圧力たるやもの凄いのですが、
ちゃんと個々のドラマにも締め括りを作っていて、
ラストの余韻もなかなかのものです。

僕自身はそれほど沢山このシリーズを観ていないので、
細部は分からないところも多いのですが、
「アントマン」や「キャプテンマーベル」のような、
最近公開された映画がストーリーの肝になっているので、
それほどストレスなく観ることが出来ました。
シリーズのファンであれば、
楽しみどころは満載だと思います。

不満を言えば敵キャラに魅力が乏しいですよね。
悪の軍団のビジュアルは平凡ですし、
ボスも何か苦悩している感じでお年寄り感もあるので、
正義と邪悪の最終対決という感じには、
何となくならないのが物足りないところです。
キャプテンマーベルは強すぎるよね。
ちょっとバランスを欠いている感じもしました。

人類の半分が消失するという趣向については、
ダン・ブラウンの「インフェルノ」もそんな話でしたし、
人間は半分くらいにした方が世の中は良くなる、
というある種の階層の願望のようなものが、
多分あるのかなあと感じました。

東京は出て来るけどしょぼくてガッカリですね。
でもまあ、あんなポジションですね。
仕方のないことです。

あとアメリカ人のユートピアがね、
湖のほとりのコテージで、
家族と釣やキャンプを楽しむという感じの、
結局それですか、という感じが、
何となく極東の島国のドロドロ世界から観ると、
素直に素晴らしいと思えない部分もあります。

いずれにしても今の映画のある種の到達点的な大作なので、
一見の価値はある超弩級の作品であることは確かです。
ある意味必見ではあります。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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「キングダム」(2019年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
キングダム.jpg
原泰久さんによる大人気コミックが、
漫画原作の実写映画の名手である佐藤信介さんの監督で、
実写映画化されました。

「アベンジャーズ エンドゲーム」との同時期公開ですが、
ひけをとらない人気とヒットをしているようです。

これは予告を観ると凄い大作のようですが、
本編は意外にしょぼい感じもあります。
バーンと俯瞰するような群衆シーンや大規模なCGカットは、
予告にあるのが全てと言っても良いからです。

ただ、色々な意味でかなり頑張っていて、
そのショボさに目を瞑ればなかなか楽しめます。

とても楽しい映画です。

原作の5巻までの内容をほぼ忠実に映像化していて、
原作者も参加した台本は内容に無理がなく、
王宮の奪還に的を絞った作劇が、
134分という長さにしっかり合っていたのが良かったと思います。

佐藤信介監督は、
こうした無理をしないところがとても巧みです。

この映画は、
舞台は古代の中国なのに、
キャストは日本人で日本語を話していて、
如何にも漫画というデフォルメされたキャラも、
原作そのものに登場しますから、
インチキ無国籍活劇とでも言うべきものです。

ただ、これは世界的にも良くあるジャンルで、
ハリウッドの一時期のスペクタクル大作というのは、
概ねこうした史実無視のインチキ映画でしたし、
日本でも「釈迦」とか「秦の始皇帝」のような映画がありました、
ちなみに始皇帝役は勝新太郎です。

この映画はそうした作品と比較するべきもので、
劇団☆新感線の舞台みたいでもありますし、
指輪物語を彷彿とさせるような部分もあります。

大味ではありますが、
細かい事は気にせずに楽しめれば良いのです。

その意味では、
こうしたジャンル作としては、
日本映画史上でも最も成功した部類だと思います。

キャストは皆素晴らしくて、
とても楽しそうに芝居をしているのが、
観ているこちらも楽しくなります。

原作を読まれていないで映画を観ると、
違和感のあるキャストもあると思いますが、
それは原作の漫画的なキャラを、
リアルに再現しているからで、
その限界を考えればとても頑張っていると思います。

特筆するべきは、
矢張りアマゾネスの女王を堂々と演じた長沢まさみさんで、
その惚れ惚れするようなビジュアルは、
眼福の極みです。
山崎賢人さんは違和感はあるのですが、
トータルには良くやっていたと思いますし、
吉沢亮さんの漫画から抜け出したような存在感も文句なしです。
坂口拓さんの悪党ぶりも、
さすがのクオリティでした。
新感線の橋本じゅんさんが、
とても実写化は無理と思える殺し屋を、
踏ん張って演じていたのもツボでした。
マメ山田さんの起用などもニヤニヤさせられました。

そんな訳で、
文句なく今年の邦画一番の娯楽作で、
その胡散臭さも含めて、
楽しい映画をご希望の方にはかなりのお薦めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「マローボーン家の掟」(ネタばれ注意) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
マローボーン家の掟.jpg2017年製作のスペイン・アメリカ合作映画で、
新しい感覚をまぶした、
内容的には極めて古典的なホラー風味のスリラーです。
ネタばれ厳禁の性質の作品で、
勿論具体的なネタばれはしませんが、
予備知識なく鑑賞したい方は、
鑑賞後にお読み下さい。


1960年代のアメリカが舞台になっていて、
ある事情で母国のイギリスを逃れ、
アメリカの片田舎の一軒家に移住した母子5人の一家が、
母の死後4人だけでひっそりと生活しているのですが、
実はその4人には大きな秘密があり、
それが明らかになった時、
悲劇が起こるのです。

物語の見え方が、
ラストに大きく反転するという、
「意外な結末」が見所のスリラーで、
僕はこうした仕掛けのある話が大好きなので、
とても楽しく鑑賞しました。
こうしたジャンルの映画としては、
技巧的なレベルは高く、
映像も凝っていて見応えがあります。
かなり地味な話なので、
退屈に感じる人もいると思います。
また、こうした作品を過去に何度か観ている人の中には、
ラストが読めてしまった、
という人もいると思います。

ただ、僕が敢えて言いたいことは、
こうした「意外な結末」というのは、
あるレベル以上で実現するのは、
非常に難しいということで、
誰にも想像出来ない結末であれば、
唐突と言われてしまいますし、
伏線を張って分かりやすくすると、
今度は分かってしまって詰まらない、
と言われてしまうのです。

したがって、
一般の観客の半数がビックリして、
半数はおぼろげながら察しがつく、
というくらいが、
こうした作品の結末としては、
最もバランスが良く、
今回の映画は充分そのハードルは、
クリアしていたと思います。


ちょっとマニアックな話をすると、
この映画のような設定では、
意外な真相としては、
AとBという2つのパターンが想定されるのです。
僕はどちらかと言えばAパターンの結末になるのではないかしら、
と思って観ていたのですが、
実際には結末はBパターンになっていました。
このBパターンでは、
モンスターの正体がかなり強引なのが弱いのですが、
結末がハッピーエンドになる、という利点があります。
Aパターンでは結末がハッピーエンドにはなり得ないのです。
この映画の作り手はおそらく、
A、Bの両パターン及びその多種の複合型を検証した上で、
ラストの後味の良さを優先して、
シンプルなBパターンの単独の結末を、
選択したのではないかと推察しました。

ただ、ハッピーエンドにした分、
衝撃力は薄まった感じもありますから、
その辺はかなり微妙なもので、
個人の好みによって印象は異なる、
という気がします。

台本は大変良く練られていて、
設定が1960年代であった意味が、
ラストに分かるのも気が利いていますし、
大胆な設定を成立させるために、
家族の掟や屋敷の位置関係、人物関係などを、
細かく吟味しているのが素晴らしいと思います。
こうした映画に付き物の、
アンフェアぎりぎりの部分も、
とても上手く処理されていたと思います。
フレッシュなキャストも良かったですね。

そんな訳で、
こうしたクオリティの高い、
仕掛けのあるスリラーを、
映画館で観られたことはとても幸せで、
とても楽しい気分で劇場を後にすることが出来たのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い連休をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「麻雀放浪記2020」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも中村医師が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
麻雀放浪記.jpg
今最も脂の乗っている白石和彌監督がメガホンを取り、
当代随一の映画マニアである斉藤工さんが主役を勤めた、
公開直前にはピエール瀧さんの問題などもあって、
色々と話題になった映画です。

これは初日に足を運びました。

阿佐田哲也さんの「麻雀放浪記」のリメイクを、
主人公が戦後すぐの焼け跡の日本から、
架空の2020年にタイムスリップするという、
何か絶対に成功しそうにないアレンジで、
自由奔放な映画として成立させたものです。

これはまあ、明らかな失敗作で、
おバカ映画の系列に属するものです。

良いところを言うと、
ヒロインで地下アイドルを演じたももさんが、
自然体の演技でなかなか良く、
如何にもB級映画のヒロインといった風情が素敵でした。

ただ、それ以外は良いところを探すことが非常に困難で、
物語自体も行き当たりばったりですし、
2020年の架空世界は、
リアリティも虚構の楽しさもいずれもなく、
変なエロ描写や上滑りのギャグを含めて、
見てしまったことを途中で何度も後悔するような有様でした。

深夜に何となく見てしまう、
新人ディレクターの創作ビデオと変わらないクオリティで、
とても苦痛に満ちた時間でした。

白石監督は多作で、
それほど多くを観ている訳ではありませんが、
監督の趣味的な作品は概ね駄作で、
頼まれ仕事の大作が、
「虎狼の血」にしても「彼女が名前を知らない鳥たち」にしても、
なかなかのクオリティという、
不思議な作家だなあ、というのが率直な印象です。

とてもとても時間の無駄でした。

ちなみにピエール瀧さんの登場シーンはとても少なく、
簡単に再編集もカットも出来そうですが、
作品内容自体に不祥事の謝罪などが登場して、
それを否定した内容に近いのに、
現実の不祥事に対して同じ対応をしては、
作品の根幹に関わるという判断から、
修正をしなかったように思われます。

ただ、作品全体のクオリティから考えれば、
どうでも良かったかな、というように思いました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「ハロウィン」(2018年製作版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも中村医師が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ハロウィン.jpg
1978年に製作され日本では1979年に公開された、
ジョン・カーペンター監督の出世作が、
40年の時を経て新作の続編として製作され今公開されています。

製作総指揮はカーペンター監督自身で、
監督は違いますが正調の続編なのです。

オリジナルは日本での封切りの時に観ています。
殺人鬼がずっとマスクを着けていて、
一言も喋らず、最後まで正体すら不明のままです。
ホラーですがショッカー演出のみで、
血が出るような描写もほぼ皆無という斬新な作品でしたが、
当時はもっとひねった筋立てが好きだったので、
正直物足りなく感じました。

その後すぐに続編の「ハロウィン2」が作られ、
「スターウォーズ帝国の逆襲」の影響か、
主人公と殺人鬼に血のつながりがある、
という設定が付加されました。
せっかく「不条理で意味不明の恐怖」という斬新さが、
それによって台無しになったのですが、
この映画はショッカー演出の技巧が冴えていて、
当時として脅かし演出の頂点を極めた、
といって過言ではないホラーでした。
その後「ハロウィン3」が作られましたが、
こちらは前2作の設定とは無関係で、
ハロウィンに起こる奇怪な事件、という趣向のみを引き継いだ、
当時としてはニューウェイブのホラー映画でした。
意味不明なところが多いのですが、
僕は割と気に入っています。
その後リメイク的な映画や他のホラーとのコラボなどがあり、
かなり時間をおいて今回に至ります。

今回の作品は終身刑のオリジナルの殺人鬼が、
40年後のハロウィンの夜に再び脱走して…
というお話で正調の続編となっていて、
主役はオリジナルで殺人鬼と対決した、
ジェイミー・リー・カーティスです。

これはホラー映画というジャンルものとしては、
まずまず良く出来た1本で、
オリジナルの1作目と結局ほぼ同じ話なので、
その点は芸がないのですが、
それを割り切って観れば、
なかなか楽しめる仕上がりになっています。

オリジナルより残酷シーンは少し付加されていますが、
それほど大したことはありません。
脅かしの演出もさほど新しいということはないのですが、
多彩な演出を用意していて、
同じ手を2度使わないようにしているのは良いと思いました。
中では据え置きキャメラのワンカットで、
殺人鬼が窓の外からターゲットを見つけて室内に侵入し、
首に刃物を突き刺して殺害して逃走するまでをそのまま一気に描く、
という趣向が気に入っています。

ラストは怪物は一応退治されるものの、
本当に死んだのかは明らかでない上に、
意味ありげに少女に握られた包丁がアップになるラストなので、
どうやら更に続編も作る気は満々であるようです。

ホラーの好きな方であれば、
そこそこのお薦めです。
こういう映画を大画面で観られる機会はそう多くはないので、
ある意味貴重ではあるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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