So-net無料ブログ作成

「ダンボ」(2019年実写版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ダンボ.jpg
ティム・バートン監督の手により、
ディスニーでダンボが実写化されました。

これは移動サーカスが舞台ですから、
バートン監督が好きな素材で、
かなり奇妙奇天烈なイメージの氾濫が見られるのではないかしら、
と思って映画館に足を運びました。

結果的にはそこそこは楽しめましたが、
最近のバートン作品の「今ひとつ」感が、
割とはっきり出てしまっていた、
という印象はありました。

バートンの作品は、
監督が偏愛するフリークス達が沢山登場し、
そのキャラはそれぞれに思い入れがあって魅力的なのですが、
結局それで尺を沢山取られてしまって、
対立する悪役にはあまり魅力がないので、
お話としては意外に盛り上がらないことが多いと思います。

この作品では、
ディズニー映画なのに、
ディズニーランドみたいな遊園地を経営する大富豪が敵役で、
最後はその遊園地が壊滅してしまう、
というかなり毒のある設定なのですが、
台本がかなり杜撰な感じで、
最後は勝手に自滅して遊園地を壊してしまうので、
まるで盛り上がらず脱力してしまいました。
これじゃ駄目だよね。

象が大きな耳で空を飛ぶというのも、
ビジュアルとしてとても面白そうなのに、
あまり意外性のある描写にはなっていません。

総じて同じような素材としては、
「グレーテストショーマン」の方が、
数段面白くワクワクする出来映えだったと思います。

ティム・バートンは大好きなので、
不出来な作品でも見逃せない、
というマニアの方以外には、
あまりお薦めでは出来ない作品です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 

「ブラック・クランズマン」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みのの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ブラックウラングスマンン.jpg
黒人警官が白人至上主義の秘密結社KKKに潜入捜査する、
という1979年の実話を外連味たっぷりに映像化した、
スパイク・リー監督の新作映画を観て来ました。
カンヌ映画祭のグランプリ受賞作です。

これは観る前には結構期待したのです。
スパイク・リーは嫌いではないし、
今回は社会派色は少し抑えて、
かつての黒人主演のB級活劇(ブラックスプロイテーション映画)を、
今の目線で再構成するという趣向なので、
ぶっ飛んだ面白い映画になるのではないかしら、
とワクワクしたのです。

ただ、観終わってみると、
かなりアジテーション映画に近いもので、
最後にはトランプ大統領が登場して、
トランプを人種差別主義者として糾弾する、
というタイプの作品でした。

それはそれでいつものスパイク・リー節なので、
良いと言えば良いのですが、
今回は敢くまでフィクションの世界で、
そこで完結する物語を紡いで欲しかったな、
というのが正直なところです。

映画は1979年が舞台になっていて、
1970年代前半に主に流行していた「コフィー」や「ハンマー」、
「クレオパトラ・ジャガー」などの黒人ヒーローのB級アクション映画のスタイルで、
全編描かれています。

「クレオパトラ・ジャガー」は僕は大好きで、
空手の名手の黒人の女性刑事が、
白人の悪党をボコボコにしまくるという、
ただそれだけのお話です。

それと共にこの映画は一種のアメリカ映画批判にもなっていて、
オープニングは「風と共に去りぬ」の1シーンで始まり、
この映画における「良い黒人」としてのメイドの描写などが批判されますし、
後半ではKKKの復活を後押ししたとも言われる、
グリフィスの「国民の創世」が槍玉に挙がり、
徹底的に批判されます。

お話的には黒人警官が、
まだ人種差別が残る警察署の中で、
友人となった白人警官と協力しつつ、
KKKの狂信的な白人会員が企む、
爆弾事件を未然に阻止する、
という物語が主軸になっています。

ただ、敵方のKKKが要するに「おバカの集団」として描かれているので、
主人公達にやられ放題という感じで、
アクション映画としてのスリルは皆無です。

作品中で黒人運動の指導者の演説のようなものが、
かなり時間を掛けて描かれるので、
内容もかなり過激なものですし、
何か裏の意図があるのかしらと思っていると、
結局は観客にその演説を聴かせたかった、
ということのようでした。

KKKの当時の幹部として、
今も政治家として活動している白人至上主義者の、
デビット・デュークが実名で登場し、
徹底しておちょくられるのですが、
どうやらこうしたことが、
監督としてはやりたかったことのようです。

クライマックスでは爆弾を追跡する主人公達と、
「国民の創世」を批判する黒人指導者の演説、
そしてその映画を観て喜ぶKKKの団員の姿が、
交互に描出されますが、
これはグリフィス監督が「国民の創世」や「イントレランス」で用いた、
映画の編集技術のモンタージュ理論で、
「国民の創世」批判をモンタージュで描く、
というようなひねった趣向が、
多分カンヌでは受けたのかな、
というようにも感じました。

そんな訳でもう少しアクション映画としての高揚感やサスペンス、
フィクションとして完結する世界観のようなものを期待したのですが、
実際にはそうしたものは希薄で、
監督の主張と今のアメリカの状況に対する危機感が、
生の形で描出されたような作品でした。

ちょっと期待外れでしたが、
それはこちらの期待が的外れであったためで、
映画自体の瑕ではないのだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0) 

「運び屋」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は中村医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
運び屋.jpg
クリント・イーストウッドが製作・監督・主演を務めた、
新作映画を観て来ました。

最近のクリント・イーストウッドの映画は、
本人は出演せずに実話を元にし、
上映時間は1時間半弱という短いものが多く、
別にダラダラ長ければ良いというものではないのですが、
内容的にも必要なカットが、
しっかりとは撮れていない、
という感じの不満が残るものでした。

もうイーストウッドの映画は、
こんな感じで楽しむべきものなのかしら、
と思っていたのですが、
今回は久しぶりにイーストウッド自身が主役を演じ、
上映時間も2時間弱と最近では最も長尺です。
勿論これも長ければそれで良いということはないのですが、
今回の作品については、
イーストウッド自身の芝居も良く、
内容もちょっとラストは説教臭が鼻につくものの、
場面も過不足なくしっかり撮り切っていて、
最近になく充実した作品になっていました。

これは主人公が90歳で、
家族を顧みないダメ親父という設定になっていて、
それがひょんなことから麻薬の運び屋になるのです。

イーストウッドがこうした役柄を演じるのは、
かなり珍しいと思いますが、
なかなか説得力のある渋い芝居で、
90の駄目男の最後の切ない挑戦を、
リアルに肉付けしていたと思います。
良い芝居でした。

周囲はおつきあいという感じで、
豪華キャストが脇を固めています。
捜査側の描写など、
段取り的で味気ない描写も混じりますが、
トータルにはこちらも単なるにぎやかしではない、
適材適所の熱の入った芝居で、
イーストウッドをもりたてていたのも好印象でした。

最近のイーストウッド映画としてはベストの出来映えで、
高齢者が主役の映画としても、
映画史に残る出来映えだと思います。

なかなかのお薦めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(8)  コメント(1) 

「翔んで埼玉」(2019年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
跳んで埼玉.jpg
魔夜峰央さんのギャグ漫画を、
こうした企画には定評のある竹内英樹監督が実写映画化し、
二階堂ふみさん、GACKTさん、伊勢谷友介さんという、
魅力的かつ濃いキャストが顔を揃えた、
「翔んで埼玉」を観て来ました。

これはなかなか楽しい作品ではあるのですが、
物語的にはあまりひねりがなく、
トータルには少々退屈を感じました。

ディテールは仰々しくて面白いのですが、
ラストは都知事の不正を息子(?)が暴く、
というような形になり、
あまりに予定調和的で脱力してしまうのです。

また悪の元締め的な都知事役を、
中尾彬さんが演じているのですが、
失礼ながらラスボスとしては役不足と感じました。
中尾さんはどうしても小物感(失礼!)が漂うので、
「アウトレイジ」で威張っているのに途中であっさり粛正される、
というくらいの役柄がベストフィットだと思います。

そんな訳で個人的にはあまり乗れなかったのですが、
劇場は中高生中心にお客さんで賑わっていて、
埼玉をdisる台詞で笑いが起こっていましたから、
これはこれで成功だったのではないかしら、
下手に物語を複雑化せずに、
単純なお話に終始したことも、
緻密な狙いであったのかも知れません。

キャストではGACKTさんは想定通りのお芝居で、
伊勢谷友介さんは風格は充分ですが、
お芝居はややおとなしくて、
「ジャンゴ」の時のような狂気はありませんでした。
二階堂ふみさんはあっぱれと言って良い怪演で、
彼女のお芝居が個人的には一番のごちそうでした。
ただ、若手一番の演技派である彼女が、
こんなお芝居でいいのでしょうか?
ちょっと疑問を感じないでもありませんでした。
余計はお世話ですね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(0) 

「グリーンブック」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
グリーンブック.jpg
今年のアカデミー作品賞に輝いた、
「グリーンブック」を観て来ました。

これはとてもいいですよ。
アカデミー賞受賞作としても、
個人的にはとても好きな映画です。
映画ファンでしたら見逃してはいけない、
というレベルです。

1962年を舞台として、
黒人の天才ピアニストと、
その運転手兼用心棒(?)として雇われた、
イタリア系移民の気の好い荒くれ男が、
人種差別が強い南部の演奏旅行に出掛けるという、
ロードムービーです。

要するに「ドライビング・ミス・デイジー」の入れ替え版で、
また人種差別の社会派映画か、
そんなものを日本で観てもなあ、
という気分に予告編などを見ると思うのですが、
実際に観てみると、
人種差別の問題は描かれてはいるものの、
もっと複雑かつ普遍的な人間ドラマになっていて、
とても綺麗なハッピーエンドに帰着するので、
ほっこりとした気分で映画館を後にすることが出来ました。

天才ピアニストのキャラクターが、
非常に複雑で面白いんですよね。
それが一番の成功のポイントであったような気がします。
非常にリアルで深みのある人間ドラマが展開されますが、
それでいて運転手が妻に送る手紙のくだりなど、
かなりベタな設定もあって、
その辺りのバランスが絶妙と思いました。

1962年という時代設定がとても見事に再現されていて、
キャメラも美しく演出も洗練されています。
とても綺麗な映画です。
それでいて「古き良きアメリカ」という、
懐古的なものではなく、
しっかり今の映画にもなっている、
という辺りに感心しました。

理想的な家族の姿がイタリアの移民の大家族、
という辺りにちょっと皮肉なものも感じます。

キャストはメインの2人がいずれも素晴らしく、
複雑な感情表現を見事に表現していました。

そんな訳で今「良い映画」を観たいと思われる向きには、
是非お薦めしたい1本だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(2) 

「七つの会議」(2019年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
7つの会議.jpg
池井戸潤さんの連作短編形式の「七つの会議」が、
映画化されて今ロードショー公開されています。

これは「半沢直樹」や「下町ロケット」のテレビドラマをヒットさせた、
福澤克維監督がメガホンを取ったもので、
日曜劇場の池井戸潤作品の映画版、といった趣のある作品です。

「半沢直樹」のドラマと同時期に、
この作品はNHKで短期の連続ドラマ化をされていますが、
こちらも内容的にはなかなか高評価であったものの、
「半沢直樹」ほどの話題にはなりませんでした。

元々が連作短編による群像劇で、
各話によって主人公が違うという作品なので、
そのままでは映像化しにくく、
NHKドラマの時には脇役の扱いであって、
変わり者で出世競争から外れた一匹狼の社員の八角を、
この映画版では主役級に据えて、
野村萬斎さんに外連味たっぷりに演じさせています。

ツボを押さえた作劇なので、
原作に1本筋が通った感じで映画としては見やすくなり、
キャストも端役にもスターを配した豪華絢爛なもので、
日曜劇場の特別版と言った雰囲気で、
ドラマの好きだった方なら、
まずは楽しめる作品に仕上がっています。

複雑な原作を2時間を切る時間にまとめた点を含めて、
脚色と演出の勝利という感じがします。

ただ、弱い立場の者が逆転する、
というような痛快さがこの作品にはなく、
大企業の中のいざこざに終始しているので、
「半沢直樹」のような爽快感はそもそもありません。

その代わりにラストに萬斎さんによる「お説教」を付けているのですが、
これは蛇足であったように思いますし、
せっかくそれまで渋い仕上がりであったのに、
一気に醒めたような気分にはなりました。
ただ、これは僕の個人的な感想で、
見る人によってはこのお説教が良い、
ということもあるかも知れません。

キャストの中では、
徹底したゲス男を演じた藤森慎吾さんが楽しく、
演技者としての頭角を現した、
と言って良い好演でした。
萬斎さんのオーバーアクトは、
好みの分かれるところだと思います。

そこそこのお薦めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0) 

「アリータ バトル・エンジェル」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
アリータ.jpg
ヒットメイカーのジェイムズ・キャメロンが製作と脚本に関わり、
木城ゆきとさんの人気コミックを原作とした話題作が、
今ロードショー公開されています。

これはA級と考えて、
「アバター」なみのスケールを期待すると、
裏切られるのは確実です。

要するにB級映画で、
キャメロンとしても枝葉の作品的企画なのです。

ただ、B級の肩の凝らない娯楽映画として考えると、
なかなか充実度の高い面白い作品に仕上がっています。
昔「ロボコップ」の1作目や、
キャメロンの「ターミネーター2」を観た時と、
同じくらいの楽しさで、
スターウォーズシリーズの新作より3倍は楽しく、
ハリーポッターシリーズの新作より2倍は楽しいと、
個人的には思いました。

内容的には基本設定の部分と、
主人公のサイボーグ少女と不良少年との恋愛物語は、
原作のコミックをリスペクトした感じで構成されています。
勿論原作の全てを2時間強の尺には納められませんから、
ラストは尻すぼみの中断のような格好にはなるのですが、
それを承知の上でB級SF活劇として楽しめれば、
瑕にはなっていません。
昨年の「甲殻機動隊」の実写映画の、
原作を生かし切れていない脱力のショぼさと比較すると、
子どもと大人くらいの差はあります。

一応コミックの実写映画化ということになるのですが、
映像の9割は「絵」なので、
カット割りもアニメ映画に近い感じですし、
主人公もCGキャラということになると、
本当にこれを実写と言って良いのかしらと、
疑問に思う感じがしなくもありません。
ただ、それだからこその疾走感とアクションの冴えが、
ワクワクさせてくれますし、
主人公の造形はかなり緻密に考えられていて、
実際にはあり得ない大きさの瞳と、
人間のものとは違う表情の動きなどは、
その完成度の高さに感心させられます。

そんな訳でB級の楽しさに満ちた快作で、
何か暇つぶしに面白い映画を、
という向きには是非にとお薦めしたい娯楽作品です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(9)  コメント(0) 

「ファースト・マン」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日なのでクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ファースト・マン.jpg
「セッション」「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が、
今度はアポロ計画と最初の月着陸という、
アメリカの過去の夢の時代を、
徹底したドキュメンタリータッチで描いた作品が、
今ロードショー公開されています。

アポロ計画については「アポロ13」もありましたし、
宇宙旅行自体はさんざん映像化されているので、
何を今更という気がしないでもありません。
アポロ13号はミッション中にあわやという事故があって、
そこから生還したというドラマがありますが、
今回描かれたアポロ11号は最初の月面着陸という意義はあっても、
特にトラブルなく成功しているので、
あまり盛り上がるドラマにはならないのでは、
というようにも思えます。

ただ、物語はアポロ11号に至るまでの、
多くの犠牲者を出したアポロ計画の黎明期に、
むしろ主眼があり、
死屍累々という感じの計画の紆余曲折には、
事実だからこその凄みがあります。

その上で、主人公のニール・アームストロングが、
病気で幼い娘を失っているという逸話から、
1つの家族のドラマとして集束させています。

僕の大好きな「コンタクト」に似た味わいがありますし、
好みはありますが、個人的には好印象でした。

この作品は演出に特徴があり、
オリバー・ストーン監督に似たドキュメンタリータッチと、
目まぐるしい編集、
まるで実際に体験しているような主観的映像が、
巧みに構成されています。
単純に主観的映像というようなものではなく、
かなり複雑で高度な処理がされていると感じました。
宇宙の表現はリアル一辺倒ではなく、
「2001年宇宙の旅」がかなり意識的に引用されて、
彼方への希求という作品のテーマを表現しています。
しかも、通底音には叙情的な家族劇の水分があり、
所々に差し挟まれたロマンチックとも言える描写と、
抑制的で叙情的な音楽、
台詞や説明を最小まで絞った作劇も含めて、
1つの独自の世界を作り上げている点が、
さすがだと感じました。

社会的なテーマでもあり、
その要素も差し挟みながら、
物語自体はそうしたこととは無関係で、
別の次元のフィクションとして成立している点が、
個人的にはとても心地よく、
僕好みの映画でした。

端的に言えば、これは「死と家族」を描く映画で、
月とは死後の世界のことで、
そこで主人公は死んだ娘と出会い、
最後は生の世界に帰還しようとして、
ガラス1枚隔ててまだ戻れずに終わるのですが、
それを「コンタクト」のように幻想的に描くのではなく、
リアリズムで描いたところに趣があると思うのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(10)  コメント(0) 

「女王陛下のお気に入り」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
女王陛下のお気に入り.jpg
18世紀のイギリス王室における、
有名な女同士の権力闘争を題材にして、
ギリシャ出身でアクの強い映画を撮る、
ヨルゴス・ランティモス監督が演出し、
主役の3人にイギリスの演技派、
オリビア・コールマンとレイチェル・ワイズ、
アメリカの人気者エマ・ストーンが顔を揃えた、
米英・アイルランド合作映画を観て来ました。

これは映像が美しいですし、
3人のキャストの演技も抜群なので、
まずは面白く観賞することの出来る映画です。

ただ、物語にはあまり意外性のある展開などはなく、
ほぼ史実に沿った権力闘争が、
そのままに進んでゆくので、
あまり盛り上がる感じではありません。

ラストも心理描写に重きをおいた感じで、
明確な結論が出るという描写ではないので、
何となくモヤモヤする印象が残ります。

また、全裸の貴族に果物を投げつける趣向や、
女性が糞尿や泥まみれになったり、
兎を踏みつぶそうとする描写など、
かなりアクの強い、悪趣味ギリギリの表現が多く、
それがさほど効果的とも思えないので、
観ていて疑問に感じました。

悪趣味でグロテスクな映画は、
それはそれで良いと思うのですが、
この映画では物語自体はオーソドックスで、
あまり倒錯的な情熱などが描かれているという訳ではないので、
物語と演出とのバランスが、
やや悪いように感じたのです。

こうした演出を施すのであれば、
もっと物語の展開にも破天荒な部分が、
必要であったのではないでしょうか。

実際のアン王女はもっと聡明な指導者であったようですが、
抗リン脂質抗体症候群のために、
血栓症を繰り返し、
流早産を繰り返して多くのお子さんを失ったことや、
女官同士の権力闘争などは事実であるようで、
その辺りはほぼ史実に則った物語が展開されています。

ただ、結構リアルに18世紀の生活が描写されている一方、
ありえない振り付けのダンスがあったり、
イギリス王室の話の割には、
スケール感は地方の貴族のいざこざ程度にしか見えなかったりと、
疑問に感じるような点も多いことも確かです。

そんな訳で結果的にはあまり乗れなかったのですが、
凝りに凝った映像は美しく、
3人のキャストの演技合戦は見応えがあるので、
一見の価値はある映画だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 

「マスカレード・ホテル」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
マスカレードホテル.jpg
東野圭吾さんの「マスカレード・ホテル」が、
木村拓哉さんを初めとする豪華キャストで、
フジテレビ映画ならこの人という、
鈴木雅彦監督のメガホンで映画化され公開されています。

この作品は東野圭吾さんのミステリーとしては、
一般のあまりミステリーには馴染んでいない読者を対象とした、
かなり通俗的な部類のもので、
ガリレオシリーズのようなマニア向けの作品とはスタイルが違います。

内容的にも、
高級ホテルで警察が大規模な潜入捜査をするという、
かなり荒唐無稽なものなので、
むしろ映画向きと言って良いかも知れません。

ただ、原作の犯人の設定は、
かなり人工的で映像化するのが難しい性質のものなので、
これをどうやってそのまま映画にするのだろう、
というその一点に興味があって映画館に足を運びました。

これは悪くなかったです。

ほぼ原作の通りに映像化されているのですが、
犯人の設定も、ほぼギリギリの感じですが、
どうにか力技で成立させていました。
もう少し真相を分かりにくくして欲しかった、
というようには思いましたが、
及第点ではあると思います。

主役の木村拓哉さんと長澤まさみさんは、
はっきり言えばどちらもミスキャストと思いますが、
色々事情もあるのでしょうから仕方がありません。
合わない中では頑張っていたと思いますし、
それを周囲を固める多くの個性的で豪華な面々が、
巧みに支えていたと思います。

そんな訳で原作も映画も通俗的な娯楽作ですが、
その枠組みの中ではまずまず楽しめるミステリーに、
仕上がっていたと思いました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0)