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「Vision」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
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河瀬直美監督の新作「Vision」が、
今ロードショー公開されています。

河瀬直美さんは良くも悪くもとても作家性の強い監督ですし、
世界的な大女優のジュリエット・ビノシュを主役に据えて、
SF的な設定のドラマを紡ぐというのですから、
相当変わった作品になるのであろうなあ、
脱力系の怪作にならなければ良いのだけれど…
というようにおっかなビックリで鑑賞したのですが、
予想の通りと言うか、
とてもとても変てこりんで奇妙な映画で、
「幻の湖」や「ブルークリスマス」、
「シベリア超特急」や「ジパング」、
などに匹敵するカルト的脱力映画になっていました。

ピノシュ演じる女性エッセイストが、
「Vision」という名前の謎の薬草(?)を求めて、
奈良県の吉野を訪れるのですが、
そこには永瀬正敏さん演じる山男や、
夏木マリ演じるシャーマンのような女性などがいて、
実は過去の因縁でビノシュとその村は結ばれていた、
というようなお話です。

お馴染みの吉野の風景が全編に登場しますが、
1000年に一度姿を現す謎の植物により、
全ての人間の苦しみが浄化される、
というような大風呂敷を広げておいて、
最後はちょっとした山火事(安っぽいCG)が起こって、
夏木マリがヘンテコな踊りを踊り、
ビノシュと森山未來さんの息子が、
岩田剛典さんとなって現れて終わり、
というだけのことになってしまうので、
何か狐につままれたような気分で、
劇場を後にしておしまい、という感じです。

まあ、内容的には輪廻転生的な、
河瀬直美さんのいつものお話しのリフレインなのですが、
「あん」、「光」と、
独立した物語として完成度の高い作品が続いていたので、
またまた以前のような自主映画的なテーマが、
しかもB級底抜けSF超大作的な雰囲気で展開されてしまうと、
おいおいという感じになりますし、
ラストには「結局これだけ?」と脱力せざるを得ないのです。

ビノシュが何か作品世界から大きく浮いていて、
「八月の狂詩曲」のリチャード・ギアのようで落ち着きません。
長瀬正敏さんとのベッドシーンがあるのですが、
観られた方はお分かりのように、
とても恥ずかしくて見るのが辛くなるような感じです。
これなら登場して頂かない方が、
作品的には良かったのではないでしょうか。

色々と事情があるのでしょうが、
練り上げられないままに、
やっつけ仕事で間に合わせた、
という感じが痛々しく、
今年観た映画の中では、
間違いなく最大の脱力系カルト映画となってしまいました。

通常の感性の方には受け付けないタイプの作品で、
飛びぬけた感性を持った天才か変人のみに、
理解可能な作品なのだと思います。

怪作です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「万引き家族」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
健康教室のために午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
万引き家族.jpg
カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞した、
是枝裕和監督の「万引き家族」を観て来ました。

昨年は「三度目の殺人」という、
サスペンス作品が話題となった是枝監督ですが、
この「万引き家族」はかつての「誰も知らない」に近いテイストで、
それぞれの思惑がありながら、
年金生活の老女の家に転がり込み、
それぞれ別個の生活を持ちながら、
偽物の「家族」として生活する、
3世代の男女の物語です。

基本ラインは「誰も知らない」と同じで、
親に見捨てられた兄と妹(ただし虚構の…)の物語なのですが、
「誰も知らない」が徹頭徹尾子供視点であったのに対して、
今回の作品はより重層的で、
同居するそれぞれの大人にも、
それぞれのドラマがある、という内容になっていて、
群像劇でありながら、
ありがちな薄っぺらで総花的な内容にはなっていない、
という辺りに是枝監督の成熟を感じます。
通常の倫理観から少し自由になっていると言う点と、
それに伴うある種の危うさのようなものは、
「誰も知らない」と同じです。

日本映画が取ったカンヌのグランプリと言うと、
「影武者」にしても「うなぎ」にしても、
決してその監督の代表作と言えるような出来栄えではなく、
功労賞的な意味合いを感じさせるようなものばかりでしたが、
今回の「万引き家族」は、
是枝監督の代表作で最高傑作と言っても、
全く誇大表現ではない完成度と熟成度のある作品で、
初めて本当の意味でグランプリにふさわしい日本映画が、
グランプリを取ったと言って良いように思います。

好き嫌いはあっても、
必見の作品であることは間違いがなく、
数年に1本という力作であることは、
これも間違いはないと思います。

ともかく是枝監督のこれまでの映画の、
良い要素はその全てがありますし、
全てが十全に練り上げられて、
一篇の映像詩として昇華されています。

映像は特に俯瞰と引きのカットが美しくて、
見えない花火を屋根の隙間から仰ぎ見るという、
技巧の極致のような場面も良い一方で、
雪道や駐車場などの、
さりげない俯瞰の効果がまた抜群なのです。
僕が特に気に入っているのは、
リリー・フランキーと安藤サクラさんが下着姿でそうめんをすすっていると、
にわかに空が暗くなって夕立になり、
その暗闇をきっかけとして2人が抱き合うワンカットで、
勿論天気を演出は出来ませんから、
特殊効果であることは間違いがないのですが、
極めて自然でエロチックで、
夏のあばら家の空気が感じられるような、
優れて映画的な名場面だったと思います。

キャストは全て名演と言って良いもので、
僕のある意味人生の目標でもあるリリー・フランキーさんは、
彼の人生最高と言って良い芝居をしていますし、
相手役の安藤さくらさんがまた艶っぽく良いのです。
昔の桃井かおりさんを超えたと思いました。
子役の達者さもそれはそれで良いですし、
かなり体当たり的な松岡茉優さんも、
彼女ならではの心に染み付くような芝居でした。
樹木希林さんはもう自然体の極致ですが、
パチンコ屋でずるをした時の凄味のある笑いなどは、
それを切り取った監督もさすがですが、
戦慄的な思いすら感じました。

ラストは例によって、
観客の期待を鮮やかに裏切って、
映画という虚構をなで斬りにするように終わるのですが、
こうした趣向が失敗することも多々ある中で、
今回のラストは、
観客が次の何かを期待し切望する一瞬をなで切ることで、
「ここからは皆さんが物語を紡ぐ番です」
と言われているようで、
なかなかの切れ味であったと思いました。

色々と作品外で物議もかもしている本作ですが、
一個の作品として素晴らしいことは間違いがなく、
是非是非見逃さないで頂きたいと思います。

日本映画的な、
あまりに日本映画的な傑作です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「ファントム・スレッド」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ファントム・スレッド.jpg
名優ダニエル・デイ=ルイスの引退作で、
1950年代のロンドンを舞台として、
アメリカ製作ですがイギリス映画的な作品です。

ルイスはカリスマ的なオートクチュールのデザイナーで、
マザコンで死んだ母親と洋服のみを偏愛する変態ですが、
モデルとして見初めた、
ピッキー・クリープス演じるアルマという女給と付き合ったことから、
彼女に翻弄されて自滅への道を辿ります。

典型的な堅物男が若い女性に翻弄される話のようで、
お互いにかなりの変態なので、
決してそうも展開はしない、
という辺りが面白く、
特に女性が男性に毒を盛るというやり取りが、
生々しくて凄みがあります。
この辺り今世間をにぎわしている事件と、
良く似ている感じがするのが、
偶然とは言えちょっと不気味な感じがします。

映像は格調高くて美しく、
ルイスの芝居は確かに見応えがあります。

ただ、対するアルマ役の女優さんが、
どうも魅力に乏しいのでかなりゲンナリします。
後半は特にただのストーカーのようにしか思えず、
あまり入り込むことが出来ませんでした。
ラストはある意味常道から外れているのですが、
中途半端に終わっている感じもあります。
個人的にはもっと徹底して主人公が追い込まれで破滅し、
女優さんに十全な魅力がある方が好みでした。

そんな訳で芸術的かつ変態的な、
面白い映画ではあるのですが、
かなり好みは別れるように思います。
個人的には、ちょっと駄目でしたね。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「虎狼の血」(2018年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
虎狼の血.jpg
柚月裕子さんの同題の警察小説を、
白石和彌監督が外連味たっぷりに映画化した、
正調の東映ヤクザ映画を観て来ました。

これは原作を先に読みました。
詰まらなくはなかったのですが、
善悪があまりにはっきりしていて、
良いヤクザと悪いヤクザというような構図が、
最初から最後まで変化しないので、
個人的にはあまり面白いとは思えませんでした。
最後の展開のみちょっと面白いのですが、
後は意外に地味な話ですよね。

映画版はどう料理するのだろうと思っていると、
ほぼほぼ原作通りのストーリー展開で、
ラストはさすがに原作の通りだと、
映像的には尻すぼみになってしまうので、
派手な抗争場面をクライマックスとして付け加えていました。
ただ、それでも物語的には弱いなあ、
という感じが抜けきれませんでした。

最初から最後まで悪いヤクザと良いヤクザという構図が、
一切変わることがありません。
裏切りとか寝がえりとか意外な展開とか、
そうしたものが何もないのは詰まらないですよね。
原作はもう少し良いヤクザの人間模様などが描かれているので、
もう少し理解はしやすいのですが、
映画はそうしたことはないので、
江口洋介がどうして良いヤクザなのかなど、
さっぱり分からない感じになっています。

これは原作がそうなので仕方がないのですが、
主人公の役所広司さん演じる大上が、
クライマックスの前に姿を消してしまうのは、
矢張り詰まらないですよね。
姿を消すにしても、
その前にもっと派手なドンパチが欲しいと思います。

演出は最初など「仁義なき戦い」そのままにしたりして、
引用上等の外連味たっぷりなのは良いと思います。
映画オリジナルの松坂桃李さんと阿部純子さんの、
昭和の匂いたっぷりのラブロマンスも、
昔の東映映画のテイストで良いですよね。
真木よう子さんが過去を語る時の、
祭りの移動撮影も良い感じです。
ただ、「アウトレイジ」と比べると、
キャラは弱いですよね。
江口洋介さんも竹野内豊さんも、
もっと個性的で唯一無二の感じが欲しかったと思います。

総じて意欲作ではありましたが、
原作のストーリー的な弱さもあって、
突き抜けた魅力を持つまでには至らなかったのは、
やや残念に感じました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「友罪」(2018年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
友罪.jpg
薬丸岳さんが2013年に発表した小説を、
瀬々敬久監督が自作の台本でメガホンを取り、
瑛太さんや生田斗真さんを始めとする贅沢なキャストが顔を揃えた映画化が、
今ロードショー公開されています。

原作は酒鬼薔薇事件をモチーフとした、
14歳で殺人事件を起こした犯人が、
自分の友人であったらそれを受け入れることが出来るのか、
という難題に真っ向から取り組んだ小説で、
ちょっと子供じみた気恥ずかしくなるような部分もあるのですが、
全体に非常に熱量の大きな、
とても面白い小説です。

ただ、この映画版は、
非常に明快で誰にでも理解可能な原作を、
随分と内容をひねって、
良く言えば感性豊かに、
悪く言えば独りよがりに再構成した台本と演出が、
個人的にはどうも疑問で、
何より原作のストレートな魅力が、
全く消えてしまっているのがとても残念に感じました。

原作は生田斗真さん演じる益田の視点で、
その多くが展開されていて、
その心理の動きが一番の魅力と言っても良いのですが、
この映画版はその部分がぼんやりとしか描かれていません。
設定自体も原作はもっと小さな町工場なのですが、
映画では結構大きな工場となっていて、
原作では工場のベテランの作業員として登場する山内を、
タクシードライバーに変えて佐藤浩市さんが演じ、
原作では工場の事務員である美代子も、
別の会社の電話オペレイターに変えて夏帆さんが演じて、
夏帆さんと生田斗真さんと佐藤浩市さんの話が、
独立に群像劇のように進行する、
という変更を行っています。
富田靖子さん演じる犯罪を犯した少年の更生に当たる女性の設定も、
かなり改変されています。
佐藤浩市さんのパートは、
原作には概略的な描写があるだけなので、
ほぼ映画のオリジナルです。

ただ、夏帆さんと瑛太さんとの出会いが偶然になっていたり、
無理矢理原作を変えているので、
随所に不自然さが増していますし、
富田靖子さんと瑛太さんの関係や再会のいきさつなども、
説明がされないので無意味に分かりにくくなっています。
生田斗真さんの心理が描かれないので、
ラストもイメージ先行で、
あまり納得のゆくようなものになっていないのも、
非常に残念な感じです。

キャストは瑛太さんが非常に素晴らしい熱演ですが、
演出や構成が独りよがりなものなので、
ただの「瑛太ワンマンショー」のようになってしまい、
作品世界の中で安定感を持って存在していない結果になったのは、
これも監督の罪は重いと言わざるを得ません。
ただ、猟奇事件の内容も原作より穏当なものに変わっていることから、
原作を変えざるを得ないような、
外部の者には窺い知れない事情のようなものがあったのかも知れません。
夏帆さんの役は、
脱がなければ意味がないのに誤魔化していて、
これもとても残念な印象でした。

そんな訳で原作とキャストは大いに期待を持たせたのですが、
あまり皆さんにお勧め出来るような作品ではなく、
とても残念な鑑賞でした。
原作はとてもお薦めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
ウィンストンチャーチル.jpg
ゲイリー・オールドマンが凝ったメイキャップと演技で、
あまり似ているようには思えないチャーチルを演じ、
アカデミー賞の主演男優賞とメイクアップ賞を受賞した、
2017年のイギリス映画を観て来ました。

これはまあ、日本語の題名の通りで、
第二次大戦の初期、
ヒトラーが破竹の進撃でヨーロッパを席巻していた時に、
徹底してヒトラー嫌いで、
ヒトラーとの交渉を拒否し、
ドイツとの戦争を主張して民意をとらえた、
チャーチルの活躍を、
100%肯定的に捉えた戦意高揚映画です。

これは何か個人的にはひどいな、
と感じました。

結果としてはチャーチルが正しかった訳ですが、
相手がヒトラーだから絶対に譲歩も交渉もせず、
たとえ戦局が不利と思えても、
徹底して武力で戦い抜くというのが正義で、
いやいや交渉の余地も少しは残すべきだという、
穏健的な意見が全て悪という考え方は如何なものでしょうか?

そうなのかも知れないのですが、
ちょっとモヤモヤしてしまいます。

最初はチャーチルには政局は不利で、
ドイツと交渉しようという意見が大半だったのですが、
それが反転したのは、
1つは国王のジョージ6世がチャーチルに味方したことと、
世論が熱狂的に戦争を支持したことで、
その描き方としては、
迷ったチャーチルが1人で町に出て、
ロンドンで地下鉄に乗り、
そこで乗り合わせた庶民の皆さんと対話をして、
「ヒトラーと話し合いなんかするな、戦え!」
という意見が民意だと確信したからだ、
という流れになっています。

これはどうでしょうか?

良く悪し様に言われることの多い、
大衆への安易な迎合そのものではないでしょうか?

実際にはもっと客観的な戦況分析とか、
そうしたものが裏打ちとしてあったのだと思うのですよね。
しかし、この映画には全くそうしたことは描かれないで、
ただ勢いで戦争しろ、苦しくても最後まで戦え、
如何なる犠牲を払っても戦え、
というメッセージがあるだけです。
こんな描き方で良いのでしょうか?

はなはだ疑問です。

全体に丁寧な作りで退屈はしませんし、
演技陣は頑張っていると思いますが、
戦闘シーンなどもほぼ皆無で、
ひたすらウジウジした政局だけが描かれているので、
とてもテンションは上がりません。

オールドマンの芝居も、
作り込みが強すぎて、
人工的な上にとても汚らしいので、
個人的にはゲンナリでした。
でもこういうのが賞を取る演技なんですよね。

世界の一般的な意見が、
こうした映画に単純に拍手喝采するようなものだとすると、
絶望的な気分にもなりますが、
まあでもトルストイの「戦争と平和」も、
ヒューマニズムの金字塔のようで、
実際には戦意高揚小説ですし、
ヒューマニズムというのは、
結局は「悪」を見つけてそいつを殺すという、
戦争賛美と表裏一体のものなのかも知れません。
平和主義とか人道主義とかと言うのは、
「悪」を見つけるまでの、
束の間の休憩みたいなものなのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「君の名前で僕を呼んで」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
君の名前で僕を呼んで.jpg
「モーリス」のジェームズ・アイボリーが脚本を書き、
新進気鋭のスタッフとキャストが顔を揃えた、
原作は異なりますが、
「モーリス」のリメイクといった狙いの映画です。

北イタリアの優雅な別荘で、
17歳の高校生の大学教授の息子と、
24歳の大学院生の青年が一夏の恋に落ちます。
今ならすぐに同棲、結婚の流れにもなるのですが、
時代は1983年に設定されていて、
その恋は秘めたるもののまま終わります。

物語は繊細かつ濃厚に、
その一夏の美形の男性同士の恋愛を、
ひたすらに綴って終わります。
それ以外の要素、社会性とか貧富の差とか、
性感染症とか上流社会の嫌らしさとか、
そうした余計なものは何もありません。
エリートの美少年が美しくホモセクシュアルな初恋をして、
切なくなってお終いです。
その意味でとても純粋な映画です。
ただ、イージーリスニング風のバロックに、
ポップス調の主題歌がポイントで被ったり、
電車の別れなどの如何にもの構図や、
水や果実などを使った露骨な性愛の象徴的表現など、
ちょっと昔の文芸映画のようでいて、
そのまがい物のような胡散臭さもなくはありません。

それでも、かつての同性愛の文芸映画の系譜を、
ここまで忠実に再現した辺りは、
演出にもなかなかの技量が伴っているとは言って良いと思います。

主役を演じているのは、
もう人気者のセレブ俳優アーミー・ハマーと、
新鋭でこれ以上はない美少年のティモシー・シャラメで、
ハマーはやや風格があり過ぎて、
大学院生というより助教クラスに見えますが、
いずれ劣らぬ美しさであることは確かで、
その2人が北イタリアの抜けるような青空の下、
ほぼ全編半裸での営みを繰り返すのですから、
個人的にはあまりそうした興味はないので、
それほどのめり込む感じにはなりませんが、
好きな方にはたまらないのではないかと思います。

映像は陰の部分の表現が素晴らしく、
夜の木陰の青さの複雑な階層であるとか、
昼間の家の中の日差しの当たらない部分の色合いなどが抜群で、
これは是非映画館で観て頂きたいと思います。

客席は女性中心で結構大入りになっていて、
その一方で男性客は、
「ああ、よく寝た」というような感想を漏らしている方が多い、
という印象でした。

そうした訳でかなり好みが分かれる映画ですが、
映像のクオリティは非常に高く、
こうしたものだと割り切って、その世界に浸り込めれば、
なかなか極上の後味が待っている映画だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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「サバービコン 仮面を被った街」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
サバービコン.jpg
1950年代のアメリカ郊外の「理想の街」を舞台にした、
ブラックコメディ映画で、
コーエン兄弟が脚本を担当し、
ジョージ・クルーニーが監督を務めています。
主演はマット・ディモンとジュリアン・ムーアが夫婦を演じていますから、
非常に全てが豪華なメンバーで期待は高まります。

コーエン兄弟は近作の「ハイル・シーサー」でも、
ハリウッド黄金時代の裏の顔を描いていましたが、
この映画でもアメリカが最も輝いていた時代の、
「嫌な部分」をかなり辛辣に描いています。

ただ、今回の作品はかなりのB級テイストで、
下品でグロテスクで悪趣味な感じが強く、
人種差別の描写もあまりにステレオタイプで一方的です。

豪華キャストが、
普段はあまり演じないような、
かなり嫌な役柄を演じているのですが、
それが意外性や面白さに昇華しておらず、
演じた意味があまりないような結果になっていました。

物語自体もひねりがなく、
人種差別の話と主人公一家の話とが、
大して絡み合うこともなく終わってしまうので、
単調で工夫がなく感じましたし、
ギャグも不発に終わっていました。

要するに、
コーエン兄弟の欠点が全部出た、
という感じの映画で、
クルーニーの演出の力量も、
凡庸な台本を救うような物ではないと感じました。

このジャンルでは、
昨年「ゲットアウト」という快作があり、
良く似た宣伝がされていたので、
その再来を期待してしまったのですが、
実際にはコーエン印の失敗作でした。

個人的にはお薦めは出来ない映画でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「レディ・プレイヤー1」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日も連休のためクリニックは休診です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
レディ・プレイヤー1.jpg
スピルバーグ監督がバーチャルリアリティの世界を描いた、
何かと話題の映画をアイマックス3Dで観て来ました。

これは如何にもスピルバーグという感じの映画で、
娯楽作のツボをしっかり押さえていて、
善悪の区別がはっきりしていますし、
作り手にも観客にも迷うということがありません。

ただ、時代は変わっているので、
アメリカ一番的な世界を構築するのは、
かなり苦しいな、という感じはしますし、
最後の結論が1週間に2日はゲームを止めましょう、
というのは、あまりに金持ち老人の繰り言めいていて、
申し訳ないのですがやや滑稽な感じはしました。

近未来の話で、
アメリカの現実はかなり悪いようで、
そのために架空現実の世界に、
多くの若者はのめり込んでいるというお話です。
それが結局架空現実よりリアルが素晴らしい、
というおしまいになって、
主人公が大金持ちになって、
みんな大喜びというのですから、
何だか良く分かりません。
別に社会の生きづらさは格別変わっていないと思うのですが、
サラ金みたいな悪徳会社が、
1つ潰れればそれでめでたしになるのでしょうか?
その虚無的な感じのする楽観主義が、
如何にもスピルバーグという感じで、
決してオタクの味方のような映画では、
ないような気がするのですがどうでしょうか?

本当にオタクのための映画というのは、
仮想現実の方がリアルになって、
リアルが飲み込まれて消滅するような話だと思うのです。
この映画はそれとは真逆の、
「ゲームばかりしていないで○○しなさい!」
と言っているような世界です。

映像もかなり薄っぺらな気もするのですが、
その密度はなかなか凄まじくて、
実写ともCGアニメともゲーム画面とも、
微妙に質感の異なるその世界は、
スピルバーグ以外がこのクオリティで、
大真面目に作り上げることは、
間違いなく出来なかった、という気はします。
CGの出来上がる工程をそのまま見せていて、
ある種開き直りとも思えますが、
新しい見せ方と言えなくもありません。

そんな訳で個人的には全く乗れなかったのですが、
口当たりの良さは抜群ですから、
この脳天気な大金持ちのおじさんの宝探しの物語に、
乗ってみるのもまた一興かも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「パシフィック・リム アップライジング」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日も連休でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
パシフィック・リム アップライジング.jpg
2013年に巨大ロボットと怪獣とが対決する映画として、
オタク心をくすぐってヒットした「パシフィック・リム」の続編が、
今ロードショー公開されています。

本当はアイマックス3Dで観たかったのですが、
もう「アベンジャーズ」に乗っ取られてしまったので、
仕方なく2Dでの鑑賞となりました。
最近はアイマックスも週替わりで別の映画になってしまうので、
封切り直後に時間を作らないと、
観ることが適わないというおかしな状況になっています。

これは前作の10年後を舞台とした正調の続編で、
前作に登場したキャストの登場のさせ方も良いですし、
意外性のあるストーリー展開も面白く、
それでいてクライマックスは、
定番の巨大ロボット対怪獣の対決になります。
盛りだくさんな割には上映時間は2時間を切っていて、
その凝縮のさせ方に一番感心しました。
こうした娯楽大作で2時間半とか3時間というのは、
勘弁して欲しいですよね。

前作は夜の場面が多くて、
良く見えないようなところがストレスだったのですが、
今回は昼間の場面が多くて、
個人的には良かったと思いました。
ただ、感想などを見ると、
それが却って気にくわないというような意見もあって、
個人の感想というのは様々だと思いました。

菊地凛子さんは前作からの再登板で、
出番は少ないのですが、
なかなか良い感じのポジションで、
風格さえ感じさせました。
新田真剣佑さんの出番は、
ほんのちょっぴりです。

欲を言えばもっと個性的な怪獣が、
出て来て欲しいところですが、
今回も前作と同じように、
怪獣はどれも同じようで、
その造作も地味でした。

またトータルには、
トランスフォーマーとあまり見分けが付かない感じの映画に、
近づいているようには感じられました。

ただ、デル・トロ印はいつもオタク心は良く捉えていて、
今回もクオリティの高い、
楽しい娯楽映画には充分仕上がっていたと思います。

こうした物の好きな方にはお薦めします。
そこそこわくわくしますよ。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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