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「翔んで埼玉」(2019年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
跳んで埼玉.jpg
魔夜峰央さんのギャグ漫画を、
こうした企画には定評のある竹内英樹監督が実写映画化し、
二階堂ふみさん、GACKTさん、伊勢谷友介さんという、
魅力的かつ濃いキャストが顔を揃えた、
「翔んで埼玉」を観て来ました。

これはなかなか楽しい作品ではあるのですが、
物語的にはあまりひねりがなく、
トータルには少々退屈を感じました。

ディテールは仰々しくて面白いのですが、
ラストは都知事の不正を息子(?)が暴く、
というような形になり、
あまりに予定調和的で脱力してしまうのです。

また悪の元締め的な都知事役を、
中尾彬さんが演じているのですが、
失礼ながらラスボスとしては役不足と感じました。
中尾さんはどうしても小物感(失礼!)が漂うので、
「アウトレイジ」で威張っているのに途中であっさり粛正される、
というくらいの役柄がベストフィットだと思います。

そんな訳で個人的にはあまり乗れなかったのですが、
劇場は中高生中心にお客さんで賑わっていて、
埼玉をdisる台詞で笑いが起こっていましたから、
これはこれで成功だったのではないかしら、
下手に物語を複雑化せずに、
単純なお話に終始したことも、
緻密な狙いであったのかも知れません。

キャストではGACKTさんは想定通りのお芝居で、
伊勢谷友介さんは風格は充分ですが、
お芝居はややおとなしくて、
「ジャンゴ」の時のような狂気はありませんでした。
二階堂ふみさんはあっぱれと言って良い怪演で、
彼女のお芝居が個人的には一番のごちそうでした。
ただ、若手一番の演技派である彼女が、
こんなお芝居でいいのでしょうか?
ちょっと疑問を感じないでもありませんでした。
余計はお世話ですね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「グリーンブック」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
グリーンブック.jpg
今年のアカデミー作品賞に輝いた、
「グリーンブック」を観て来ました。

これはとてもいいですよ。
アカデミー賞受賞作としても、
個人的にはとても好きな映画です。
映画ファンでしたら見逃してはいけない、
というレベルです。

1962年を舞台として、
黒人の天才ピアニストと、
その運転手兼用心棒(?)として雇われた、
イタリア系移民の気の好い荒くれ男が、
人種差別が強い南部の演奏旅行に出掛けるという、
ロードムービーです。

要するに「ドライビング・ミス・デイジー」の入れ替え版で、
また人種差別の社会派映画か、
そんなものを日本で観てもなあ、
という気分に予告編などを見ると思うのですが、
実際に観てみると、
人種差別の問題は描かれてはいるものの、
もっと複雑かつ普遍的な人間ドラマになっていて、
とても綺麗なハッピーエンドに帰着するので、
ほっこりとした気分で映画館を後にすることが出来ました。

天才ピアニストのキャラクターが、
非常に複雑で面白いんですよね。
それが一番の成功のポイントであったような気がします。
非常にリアルで深みのある人間ドラマが展開されますが、
それでいて運転手が妻に送る手紙のくだりなど、
かなりベタな設定もあって、
その辺りのバランスが絶妙と思いました。

1962年という時代設定がとても見事に再現されていて、
キャメラも美しく演出も洗練されています。
とても綺麗な映画です。
それでいて「古き良きアメリカ」という、
懐古的なものではなく、
しっかり今の映画にもなっている、
という辺りに感心しました。

理想的な家族の姿がイタリアの移民の大家族、
という辺りにちょっと皮肉なものも感じます。

キャストはメインの2人がいずれも素晴らしく、
複雑な感情表現を見事に表現していました。

そんな訳で今「良い映画」を観たいと思われる向きには、
是非お薦めしたい1本だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「七つの会議」(2019年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
7つの会議.jpg
池井戸潤さんの連作短編形式の「七つの会議」が、
映画化されて今ロードショー公開されています。

これは「半沢直樹」や「下町ロケット」のテレビドラマをヒットさせた、
福澤克維監督がメガホンを取ったもので、
日曜劇場の池井戸潤作品の映画版、といった趣のある作品です。

「半沢直樹」のドラマと同時期に、
この作品はNHKで短期の連続ドラマ化をされていますが、
こちらも内容的にはなかなか高評価であったものの、
「半沢直樹」ほどの話題にはなりませんでした。

元々が連作短編による群像劇で、
各話によって主人公が違うという作品なので、
そのままでは映像化しにくく、
NHKドラマの時には脇役の扱いであって、
変わり者で出世競争から外れた一匹狼の社員の八角を、
この映画版では主役級に据えて、
野村萬斎さんに外連味たっぷりに演じさせています。

ツボを押さえた作劇なので、
原作に1本筋が通った感じで映画としては見やすくなり、
キャストも端役にもスターを配した豪華絢爛なもので、
日曜劇場の特別版と言った雰囲気で、
ドラマの好きだった方なら、
まずは楽しめる作品に仕上がっています。

複雑な原作を2時間を切る時間にまとめた点を含めて、
脚色と演出の勝利という感じがします。

ただ、弱い立場の者が逆転する、
というような痛快さがこの作品にはなく、
大企業の中のいざこざに終始しているので、
「半沢直樹」のような爽快感はそもそもありません。

その代わりにラストに萬斎さんによる「お説教」を付けているのですが、
これは蛇足であったように思いますし、
せっかくそれまで渋い仕上がりであったのに、
一気に醒めたような気分にはなりました。
ただ、これは僕の個人的な感想で、
見る人によってはこのお説教が良い、
ということもあるかも知れません。

キャストの中では、
徹底したゲス男を演じた藤森慎吾さんが楽しく、
演技者としての頭角を現した、
と言って良い好演でした。
萬斎さんのオーバーアクトは、
好みの分かれるところだと思います。

そこそこのお薦めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「アリータ バトル・エンジェル」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
アリータ.jpg
ヒットメイカーのジェイムズ・キャメロンが製作と脚本に関わり、
木城ゆきとさんの人気コミックを原作とした話題作が、
今ロードショー公開されています。

これはA級と考えて、
「アバター」なみのスケールを期待すると、
裏切られるのは確実です。

要するにB級映画で、
キャメロンとしても枝葉の作品的企画なのです。

ただ、B級の肩の凝らない娯楽映画として考えると、
なかなか充実度の高い面白い作品に仕上がっています。
昔「ロボコップ」の1作目や、
キャメロンの「ターミネーター2」を観た時と、
同じくらいの楽しさで、
スターウォーズシリーズの新作より3倍は楽しく、
ハリーポッターシリーズの新作より2倍は楽しいと、
個人的には思いました。

内容的には基本設定の部分と、
主人公のサイボーグ少女と不良少年との恋愛物語は、
原作のコミックをリスペクトした感じで構成されています。
勿論原作の全てを2時間強の尺には納められませんから、
ラストは尻すぼみの中断のような格好にはなるのですが、
それを承知の上でB級SF活劇として楽しめれば、
瑕にはなっていません。
昨年の「甲殻機動隊」の実写映画の、
原作を生かし切れていない脱力のショぼさと比較すると、
子どもと大人くらいの差はあります。

一応コミックの実写映画化ということになるのですが、
映像の9割は「絵」なので、
カット割りもアニメ映画に近い感じですし、
主人公もCGキャラということになると、
本当にこれを実写と言って良いのかしらと、
疑問に思う感じがしなくもありません。
ただ、それだからこその疾走感とアクションの冴えが、
ワクワクさせてくれますし、
主人公の造形はかなり緻密に考えられていて、
実際にはあり得ない大きさの瞳と、
人間のものとは違う表情の動きなどは、
その完成度の高さに感心させられます。

そんな訳でB級の楽しさに満ちた快作で、
何か暇つぶしに面白い映画を、
という向きには是非にとお薦めしたい娯楽作品です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「ファースト・マン」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日なのでクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ファースト・マン.jpg
「セッション」「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が、
今度はアポロ計画と最初の月着陸という、
アメリカの過去の夢の時代を、
徹底したドキュメンタリータッチで描いた作品が、
今ロードショー公開されています。

アポロ計画については「アポロ13」もありましたし、
宇宙旅行自体はさんざん映像化されているので、
何を今更という気がしないでもありません。
アポロ13号はミッション中にあわやという事故があって、
そこから生還したというドラマがありますが、
今回描かれたアポロ11号は最初の月面着陸という意義はあっても、
特にトラブルなく成功しているので、
あまり盛り上がるドラマにはならないのでは、
というようにも思えます。

ただ、物語はアポロ11号に至るまでの、
多くの犠牲者を出したアポロ計画の黎明期に、
むしろ主眼があり、
死屍累々という感じの計画の紆余曲折には、
事実だからこその凄みがあります。

その上で、主人公のニール・アームストロングが、
病気で幼い娘を失っているという逸話から、
1つの家族のドラマとして集束させています。

僕の大好きな「コンタクト」に似た味わいがありますし、
好みはありますが、個人的には好印象でした。

この作品は演出に特徴があり、
オリバー・ストーン監督に似たドキュメンタリータッチと、
目まぐるしい編集、
まるで実際に体験しているような主観的映像が、
巧みに構成されています。
単純に主観的映像というようなものではなく、
かなり複雑で高度な処理がされていると感じました。
宇宙の表現はリアル一辺倒ではなく、
「2001年宇宙の旅」がかなり意識的に引用されて、
彼方への希求という作品のテーマを表現しています。
しかも、通底音には叙情的な家族劇の水分があり、
所々に差し挟まれたロマンチックとも言える描写と、
抑制的で叙情的な音楽、
台詞や説明を最小まで絞った作劇も含めて、
1つの独自の世界を作り上げている点が、
さすがだと感じました。

社会的なテーマでもあり、
その要素も差し挟みながら、
物語自体はそうしたこととは無関係で、
別の次元のフィクションとして成立している点が、
個人的にはとても心地よく、
僕好みの映画でした。

端的に言えば、これは「死と家族」を描く映画で、
月とは死後の世界のことで、
そこで主人公は死んだ娘と出会い、
最後は生の世界に帰還しようとして、
ガラス1枚隔ててまだ戻れずに終わるのですが、
それを「コンタクト」のように幻想的に描くのではなく、
リアリズムで描いたところに趣があると思うのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「女王陛下のお気に入り」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
女王陛下のお気に入り.jpg
18世紀のイギリス王室における、
有名な女同士の権力闘争を題材にして、
ギリシャ出身でアクの強い映画を撮る、
ヨルゴス・ランティモス監督が演出し、
主役の3人にイギリスの演技派、
オリビア・コールマンとレイチェル・ワイズ、
アメリカの人気者エマ・ストーンが顔を揃えた、
米英・アイルランド合作映画を観て来ました。

これは映像が美しいですし、
3人のキャストの演技も抜群なので、
まずは面白く観賞することの出来る映画です。

ただ、物語にはあまり意外性のある展開などはなく、
ほぼ史実に沿った権力闘争が、
そのままに進んでゆくので、
あまり盛り上がる感じではありません。

ラストも心理描写に重きをおいた感じで、
明確な結論が出るという描写ではないので、
何となくモヤモヤする印象が残ります。

また、全裸の貴族に果物を投げつける趣向や、
女性が糞尿や泥まみれになったり、
兎を踏みつぶそうとする描写など、
かなりアクの強い、悪趣味ギリギリの表現が多く、
それがさほど効果的とも思えないので、
観ていて疑問に感じました。

悪趣味でグロテスクな映画は、
それはそれで良いと思うのですが、
この映画では物語自体はオーソドックスで、
あまり倒錯的な情熱などが描かれているという訳ではないので、
物語と演出とのバランスが、
やや悪いように感じたのです。

こうした演出を施すのであれば、
もっと物語の展開にも破天荒な部分が、
必要であったのではないでしょうか。

実際のアン王女はもっと聡明な指導者であったようですが、
抗リン脂質抗体症候群のために、
血栓症を繰り返し、
流早産を繰り返して多くのお子さんを失ったことや、
女官同士の権力闘争などは事実であるようで、
その辺りはほぼ史実に則った物語が展開されています。

ただ、結構リアルに18世紀の生活が描写されている一方、
ありえない振り付けのダンスがあったり、
イギリス王室の話の割には、
スケール感は地方の貴族のいざこざ程度にしか見えなかったりと、
疑問に感じるような点も多いことも確かです。

そんな訳で結果的にはあまり乗れなかったのですが、
凝りに凝った映像は美しく、
3人のキャストの演技合戦は見応えがあるので、
一見の価値はある映画だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「マスカレード・ホテル」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
マスカレードホテル.jpg
東野圭吾さんの「マスカレード・ホテル」が、
木村拓哉さんを初めとする豪華キャストで、
フジテレビ映画ならこの人という、
鈴木雅彦監督のメガホンで映画化され公開されています。

この作品は東野圭吾さんのミステリーとしては、
一般のあまりミステリーには馴染んでいない読者を対象とした、
かなり通俗的な部類のもので、
ガリレオシリーズのようなマニア向けの作品とはスタイルが違います。

内容的にも、
高級ホテルで警察が大規模な潜入捜査をするという、
かなり荒唐無稽なものなので、
むしろ映画向きと言って良いかも知れません。

ただ、原作の犯人の設定は、
かなり人工的で映像化するのが難しい性質のものなので、
これをどうやってそのまま映画にするのだろう、
というその一点に興味があって映画館に足を運びました。

これは悪くなかったです。

ほぼ原作の通りに映像化されているのですが、
犯人の設定も、ほぼギリギリの感じですが、
どうにか力技で成立させていました。
もう少し真相を分かりにくくして欲しかった、
というようには思いましたが、
及第点ではあると思います。

主役の木村拓哉さんと長澤まさみさんは、
はっきり言えばどちらもミスキャストと思いますが、
色々事情もあるのでしょうから仕方がありません。
合わない中では頑張っていたと思いますし、
それを周囲を固める多くの個性的で豪華な面々が、
巧みに支えていたと思います。

そんな訳で原作も映画も通俗的な娯楽作ですが、
その枠組みの中ではまずまず楽しめるミステリーに、
仕上がっていたと思いました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「十二人の死にたい子どもたち」(ネタバレ注意) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
12人の死にたいこどもたち.jpg
沖方丁(うぶかたとう)さんの小説を、
倉持裕さんが脚本を書き、
堤幸彦さんが監督した話題の映画が今公開中です。

12人の集団自殺を希望する少年少女が、
廃病院に集まるという話で、
キャストは杉咲花さん、新田真剣佑さん、北村匠海さん、
橋本環奈さんと、
人気者が顔を揃えています。

以下少しネタバレがありますが、
鑑賞後は多分多くの方がガッカリしますので、
先に読んで判断して頂いても、
特に問題はないかも知れません。

これは原作を先に読んでいたのですが、
原作は正直とても詰まらなくて、
読み続けるのが苦痛でした。

冲方丁さんは歴史小説の名手で、
「天地明察」などはとても面白かったのですが、
この作品はこの作者にとって初めての現代物ミステリーという触れ込みです。
ただ、この作者は正直ミステリーというものが、
分かっていないと思います。

この話は基本ラインは「12人の怒れる男」で、
そこに萩尾望都さんの名作「11人いる」が混ざっているのですが、
その余分の1人がどうやって病院の中に入ったのかが、
一番のミステリーの謎になっています。

この謎が全く読者の興味を惹くようなものではありません。

どうでもいいですよね。

このどうでもいい謎を、
本格ミステリー風に矢鱈とボリュームを使って、
ああだ、こうだ、と議論するのですが、
退屈で読むに耐えません。

そもそもミステリーというのは、
「悪」を描くジャンルだと思うのです。

それが冲方丁さんのこの小説には、
「悪」の要素が1つもなく、
皆が良い人で良い行いしかしていません。

勿論こうした小説があっても良いですし、
ラストのある種爽やかな感じなどは、
冲方さんならではのものだと思うのですよね。

決して悪くはないのです。
ただ、これはミステリーではありません。
ミステリーでないのに、
ミステリーもどきの議論を、
長々とやっているのがまずいと思うのです。

さて、この退屈な原作を、
映画版はほぼ忠実に再現しています。

原作のリライトという意味で、
倉持さんの脚本は良く出来ていると思います。

堤幸彦さんはご存じのように職人肌で多作で、
作品にはかなりのムラがあり、
三池崇史監督ほど極端ではないですが、
好きで作っている作品以外に、
やる気も興味も熱意も感じられない、
お仕事と割り切って作っているような作品が少なからずあり、
面白いものもある一方で、
落胆を覚える作品も多いのが実際です。

この作品に関しては、
あまり乗り気な仕事であったとも思えず、
多分監督自身も、
この原作が上出来とは、
思っていなかったと思いますが、
それでもかなり根気良く、
丁寧に仕上げていたと思います。

この作品が詰まらないのは、
従ってその多くが原作にあると思います。

ただ、橋本環奈さんの役に関しては、
せっかくある種の仕掛けがあるのですから、
もっと上手く活かして欲しかったな、
とは思いました。
原作の通りなのですが、
後半ほぼ出番なしという感じなのが物足りません。
ここは原作を変えて、
もっと見せ場を増やして欲しかったな、
と思いました。

そんな訳で詰まらない映画でしたが、
思ったほど映画としての落胆はありませんでした。
あの原作では仕方がありません。

でも、予告編はずるいですね。
あれじゃバタバタ殺し合いが起こりそうでしょ。
そんな話では全くありません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「バハールの涙」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
バハールの涙.jpg
名作「パターソン」で主人公の妻を演じたゴルシフテ・ファラハニが、
クルド人の女性兵士のみの部隊の隊長を演じ、
捕らわれた自分の息子を取り戻すため、
ISと戦闘を繰り広げるという、
現代ならではの物語を、
リアルに描出した話題作を観て来ました。

ハリウッド製では、
とても実現しないような企画ですが、
フランス・ベルギーなどの合作で、
現地の言葉とフランス語、英語の入り交じるリアルな作劇の、
観客に中東の戦争を体感させるような映画になっています。

全体のタッチはただ、
かなり映画的に誇張はされていて、
ご都合主義的な展開も多い一方で、
詩文を朗読したり、
闇の中に兵士の顔が浮かんでは消えたりと、
「地獄の黙示録」を思わせるような、
象徴的な表現も多く見られます。

物語自体も、
最後にあっさり主人公の女兵士が息子と出会ってしまうのは、
あまりに虚構に過ぎるような気がしますし、
リアルな戦闘シーンもありながら、
女性兵士は意外にへっぴり腰であったり、
善悪が極めて荒っぽく二分されていて断定的に描かれているなど、
内容的にも疑問に感じるところも少なくありません。

テロや戦争に家族を奪われて、
自身も片目を失った女性ジャーナリストが、
狂言回しになっているのですが、
隻眼のその姿とたたずまいは、
むしろ一番の凄腕兵士のように見えてしまいます。
この点にもやや計算違いがあったように感じました。
その描き方も、
戦地のジャーナリストを、
あまりに英雄的に捉え過ぎているように感じました。

そんな訳で、
何処までこれがリアルなのかしらと、
あまり知識もないだけに、
疑問に感じるところも多い映画でしたが、
ハリウッド製では絶対に実現しないタイプの作品であることは確かで、
ご興味のある方には一見の価値はあると思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「天才作家の妻 40年目の真実」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
40年目の真実.jpg
ジョナサン・プライスとグレン・クローズが、
ノーベル文学賞を受賞した天才作家とその妻を演じ、
熟年夫婦の危機に作家の創作の秘密を絡めた、
渋い大人の映画が今ロードショー公開されています。

これは傑作ですよ。

スウェーデンとアメリカ、イギリスの合作ですが、
ハリウッド製とは明らかに肌合いの違う、
ヨーロッパ映画のテイストです。

要するに熟年夫婦の夫婦げんかを、
延々と見せられるような映画なのですが、
それが夫婦という関係そのものの本質的な不条理さや危うさにまで、
深く深く到達しているところが見どころです。

そのままでも充分映画として成立するのですが、
舞台をストックホルムのノーベル賞授賞式に設定して、
作家の創作の秘密を絡めることで、
格調と華やかさを加えています。

夫婦げんかを藝術にする、
というとベルイマンが頭に浮かびます。

この映画はスウェーデンも制作に加わっていますし、
ベルイマン映画を意識したようなところがありますよね。
ベルイマン映画を観るように観ることが出来る映画です。

この映画は練り上げられた脚本が素晴らしいのですが、
舞台劇的な脚本を、
立体的に美しく構成して舞台臭を感じさせない演出が、
また完成度が高いと思います。

そして夫婦2人の演技がまた抜群です。
ジョナサン・プライスの俗物的表現の濃厚さも凄いですし、
グレン・クローズの後半の繊細かつダイナミックな感情表現も、
素晴らしいと思います。

そんな訳でとてもとても素晴らしい作品なのですが、
夫婦で一緒に観ることはお薦め出来ません。
鑑賞後に2人の間に不穏な空気が流れることが必定だからです。
そのくらいに夫婦という危うい関係に、
深く食い入った名作なのです。

ご夫婦は1人ずつでご覧下さい。
大人の観客の全てに絶対のお薦め品です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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