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神童寺「愛染明王坐像」 [仏像]

こんにちは。

北品川藤クリニックの石原です。

今日までクリニックは連休です。
明日は外来は金曜日で休診なので、
連休後の外来は土曜日から、
ということになります。

今日は奈良、京都の仏像の話題です。。

今日はこちら。
神童寺.jpg
京都の南で奈良の北方の南山城にある、
神童寺(しんどうじ)に伝わる愛染明王の坐像のお姿です。
これはお寺で売られている絵葉書の画像です。
特に許可は取っていないので、
問題があるようでしたらご指摘下さい。

南山城には、
蟹満寺や観音寺など、
平安時代以前の古仏を伝えるお寺が多いのですが、
その中でこの神童寺は、
これまで訪問する機会がありませんでした。

古仏の多くを収蔵する収蔵庫が、
改修工事をしていて、
その間に拝観が出来なかったのが、
その主な理由でした。

今回初めて拝観の機会を得て、
非常に感銘を受けました。

神童寺は非常に愛すべき小さな古寺で、
南山城ののどかな田園風景の中、
幾多の風雪を経て現在に至る古寺の魅力を湛えています。

このお寺は室町時代に造られた重要文化財の本堂があり、
そこには室町時代の蔵王権現立像が本尊として安置されています。
更に本堂から石段を登った背後の小山の上に、
鐘楼と共に収蔵庫があり、
その中には主に永安時代の古仏が、
十驅以上もズラリと安置されています。
全ての仏像がガラスケースやガラス越しではなく、
そのまま間近に拝観することが出来、
住職が丁寧に説明をして頂けます。
本堂もライティングがされていて、
拝観環境は申し分がありません。

仏像自体は写真では見ていて、
全体に造作が甘い感じがあり、
正直それほどの期待はしていませんでした。

しかし、実際に観るとその印象は大きく違いました。

平安時代の密教美術のプリミティブな魅力に満ち、
凄みのある迫力があるのです。

中でもこの愛染明王像は、
上方に弓を番う、
「天弓愛染」と呼ばれる他にあまり例のない構図が、
巧みに破格の感じを出していて、
多くの写真ではモノクロームな感じなのですが、
実際には護摩で燻された黒い姿の中に、
赤などの色彩が豊富に残っていて、
泥絵の曼荼羅のような、
不思議な魅力があります。

この像と白不動と称される不動明王の立像の二驅については、
間違いなく実物を拝むと印象が大きく変わると断言出来ます。

この仏像は京都国立博物館に出品されたことがあるのですが、
その時はライティングが悪く、
後背も欠損していて、
おまけにガラスケース越しの鑑賞でしたから、
とても今回のような感想を持つことは出来ませんでした。
あの博物館のライティングは、
本当に駄目だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

若狭小浜妙楽寺「木造千手観音立像」 [仏像]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

昨日から1泊で福井に行きました。
福井在住の友達と会い、
小浜に仏像を拝観に行って、
それから越前海岸の民宿で蟹を食べました。
ほぼ数年前からいつものコースです。

昨年拝観出来なかった妙楽寺で、
ご本尊の千手観音を拝することが出来ました。

そのお姿がこちら。
妙楽寺千手観音.jpg
二十四面千手観音と言って、
形相の違う3面のお顔があって、
その上に小さなお顔が21面乗っています。
腕も小さなものを含めると、
きちんと千本揃っています。

奈良時代に完成された千手観音の造形は、
唐招提寺の仏様など、
十一面千手観音が通常で、
このように二十四面千手というのは極めて珍しい作例です。
インドの神様に近い雰囲気ですね。

桧の一木造りで、
このような複雑な造形を、
破綻なく端正にまとめた技巧が素晴らしく、
また正面のお顔の優しい美しさにも魅了されます。

平安時代の中期、
藤原初期くらいの造仏だと想定されています。

お寺の雰囲気はなかなか素晴らしく、
田園地帯の中にあり、
参道をゆるやかに山の方に上って行くと、
鎌倉時代の藁葺きの本堂が、
静かに参拝客を迎えてくれます。
紅葉も少しずつ始まっていました。

静かで邪魔されるものもなく、
お堂のライティングもきっちりされていますし、
間近でしっかりと拝観することが出来ます。
仏像好きにはほぼ理想的な環境で、
なかなかこうしたお寺は、
奈良・京都にも数少ないと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

戒光寺「釈迦如来立像」 [仏像]

こんにちは。
石原藤樹です。

10月1日の北品川藤クリニック開院に向け、
バタバタとした日々が続いていますが、
今日は家で終日過ごす予定です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
戒光寺大仏.jpg
京都は泉涌寺の塔頭の1つである、
戒光寺のご本尊、
本丈六の釈迦如来立像のお姿です。

この仏様は本丈六の大きさです。
つまり、仏様の原寸大で、
背丈は5メートルを超えます。
制作は鎌倉時代で、
鎌倉まで遡る本丈六の釈迦如来立像というのは、
他にあまり類例がないと思います。

大仏という名称が不自然でない、
迫力と大きさです。

この仏様は大仏師運慶とその実子による作品と、
お寺では伝えられていますが、
それはにわかに信じ難い感じです。

運慶は日本の風土に根ざした、
写実的な造形を得意としたのですが、
この仏様は当時の中国であった宋風の様式で、
全体のフォルムは良く言えばおおらか、
率直に言えばかなり荒い感じの作品です。

ただ、これだけの大作ですから、
当時の一流の工房が、
全力を傾注しての仕事であったことは間違いがないと思います。

金箔などの彩色は当初からのものとは考えられませんが、
全体に違和感はなく、
金色に輝く神秘的な感じは、
当時の参拝者の気持ちを感じさせてくれます。

お顔の下、首の辺りに茶色い染みがあります。
寺伝によればこれは血の跡で、
これは後水尾天皇が暗殺者に狙われた時に、
この仏様が身代わりに立たれたのだとされています。

仏像として単独で観ると、
それほど優れたものとは言えないのですが、
お寺の雰囲気と合わせて考えると、
非常に忘れ難い印象が残ります。

お寺は大仏様のいらっしゃる本堂のみと言って良い、
小さなお寺ですが、
非常に気さくな雰囲気で、
特に拝観料などはなく、
フリーアクセスでお堂に入り、
ご本尊を拝観することが可能です。
一部の時期に、
特別拝観として有料でより仏様に近付ける機会があるようですが、
そこまでの必要は通常はないように思います。

それほど凝った照明をしている、
ということはないのですが、
それでもお堂の奥に、
神秘的に輝くように見えるのが不思議です。

この雰囲気だけでも得難い財産なのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

吉田寺「丈六阿弥陀如来坐像」 [仏像]

こんにちは。
石原藤樹です。

六号通り診療所での診察も、
残すところ2日となりました。

まだやらないといけないことは多く、
プレッシャーもきつく、
やり切れるかどうか分かりません。
今は全身を神経のようにして、
やれることをやれるスピードでやるだけです。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
吉田寺.jpg
奈良の斑鳩町、
法隆寺にほど近い場所にある吉田寺(きちでんじ)の本尊、
丈六阿弥陀如来坐像のお姿です。

ちょっと知名度的には地味な存在なのですが、
ご覧のように、
極めて完成度の高いフォルムをしています。
平安時代の後期に造られたものだとされていますが、
本丈六と言って、
このままお立ちになると5メートルを超える、
座像でもお身体だけで2メートルを超える、
非常に大きな仏様ですが、
それでいて、
工芸品のような完成度を示しています。

特徴的な光背は江戸時代のもので、
そう思って見ると、
ちょっと詰めの甘い感じがあるのですが、
お身体とのマッチングはしっかりと出来ていて、
お身体の金箔が、
状態良く残っているのが良いのです。
当初からのものではないと思いますが、
江戸時代に塗り直したような金箔は、
もっと大雑把で下品な感じのものになるので、
そうではないと思います。

お顔にちょっと神秘的な感じがあります。
これも平安時代の末頃の所謂定朝様の規格品の仏様には、
ない特徴であるように思います。

この仏様は、
本堂に続く収蔵庫に安置されていて、
薄暗い中、
お堂の奥に仄かに金色に輝いているように見えます。

この神秘的な感じが非常に良くて、
金箔を貼られた仏像本来の姿を、
昔の人になったような気分で、
そのまま感じることが出来ます。

まさに陰翳礼讃の世界です。

大谷﨑が言われるように、
暗闇の中で仄かに光る金色ほど、
美しくも幽玄なものはなく、
確かに浄土というのは、
そうしたものではないかというようにも思えます。

今はほぼ失われたその感触が、
斑鳩の古寺にひっそりと残っていることが、
一段と味わい深く思われるのです。

拝観環境はまずまずなのですが、
僕が行った時には、
ご住職はいらっしゃらずに、
遠目に仏様を拝むことしか出来ませんでした。
ネットの情報などを見ると、
お近くで拝観させて頂くことも可能であったようなので、
その辺りは不公平に少し感じました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

何とか今日一日僕も走り続けることが出来ますように。

石原がお送りしました。

東大寺四月堂 [仏像]

こんにちは。
石原藤樹です。

今日は日曜日で診療所は休診です。でも、色々とやることは山積みで、
更新は夕方になってしまいました。

休みの日は趣味の話題です。

今日は比較的マイナーな仏像とお堂の話です。

それがこちら。
普賢菩薩四月堂.jpg


東大寺の四月堂に安置されている、
普賢菩薩像です。

普賢菩薩は文殊菩薩と対のような存在で、
お釈迦様の両脇侍となっていることが多いのですが、
普賢菩薩が独立して祀られることもあり、
その場合はこのように、
象の上に乗った姿で造形されます。

対になる文殊菩薩は獅子に乗った姿で造形され、
こちらは作例が多く残っているのですが、
象に乗った普賢菩薩の仏像は、
それほど古仏としては見ることが出来ません。
その中では岩船寺の普賢菩薩像が有名で、
次に語られることの多いのが、
この東大寺四月堂の仏様です。
ただ、時代は室町と少し下るので、
重要文化財などの指定は受けていません。

四月堂は三月堂のすぐそばにある小さなお堂です。
現在のお堂は江戸時代の再建になるもので、
当初は普賢菩薩が本尊であったという記録があるようです。
ただ、お堂のご本尊としては、
現在安置されているお像は小さいので、
別個の仏像であった可能性の方が高いと考えられています。

このお堂には明治の頃から、
長く平安時代の千手観音像が本尊として安置されていました。

特異なフォルムを持つ魅力的な仏様で、
僕は小学生の時に、
一度そのお姿をこのお堂で拝観しています。

それが諸般の事情があり、
東大寺ミュージアムという博物館に、
その千手観音が移動したために、
平成25年から平安時代の十一面観音像が、
代わりにご本尊としてお出ましになっています。

それほどの特徴はない、
水準作という感じの仏像ですが、
このこじんまりとしたお堂には、
非常にマッチしているように思います。

その隣には鎌倉時代の阿弥陀如来坐像がおられて、
この2つの仏様が重要文化財の指定を受けています。

そして、お堂の右奥に、
ひっそりとした感じで、
普賢菩薩を安置した厨子の戸が開いています。

岩船寺の普賢菩薩像は、
最近LEDライトが入ったので、
細部をそのまま見て取ることが可能ですが、
この四月堂ではそうしたものはないので、
目の前で拝んでも、
仏様は殆どシルエットのようにしか見えません。

それが、
お昼間の時間帯にゆっくりと目を凝らしていると、
少しずつ闇の中から仏様の美しいお顔が、
静かに浮かび上がって来るのです。

要するに陰翳礼讃の世界です。

こうしたところに、
些細な感動が潜んでいるのです。

四月堂は最近とても気に入っているお堂です。

重要文化財の仏像を2躯蔵しながら、
控え目で静かな感じでそこにあって、
補修を終えてそれほど経たないので、
極めて清潔で埃も殆ど積もっていません。
拝観料を取るようなこともなく、
いつも静かで、
それでいて係の方は常駐しているので、
御朱印をもらうことも出来ます。

仏像を拝観する環境としては、
結構理想的なのではないかしら、
といつも思うのです。

最後に御朱印をお見せします。
東大寺四月堂.jpg
それでは今日はこれだけです。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

寳菩提院願德寺「如意輪観世音菩薩半跏像」 [仏像]

こんにちは。
石原藤樹です。

今日まで診療所は夏季の休診です。
やらなければいけないことは山積みですが、
なかなか捗りません。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
寳菩提院如意輪観音.jpg
京都の市内からは少し離れた山里に、
寳菩提院願德寺という小さな寺院があり、
その収蔵庫に平安初期の、
この見事な仏様が伝わっています。

昔から拝観したかったのですが、
不便な場所でもあり、
なかなかその機会がなかったのですが、
今回初めて拝観が叶いました。

ここはまず門前でインターホンで許可を得ないと、
中に入れてくれませんし、
案内の方の対応も、
かなり怖いのです。

収蔵庫で説明などはしてくれないのですが、
監視カメラでは監視されています。
あまり良い気分ではありませんが、
こんな世の中なので、
仕方のないことなのかも知れません。

拝観環境は非常に良いのです。
中央の厨子の中に仏様はいらっしゃり、
三種類の明かりが用意されていて、
手元の操作で1つずつ点けることが出来ます。
正面のみですが、
かなり間近に拝むことが出来ます。

木の木目をそのまま活かした仏像で、
自然とこの青い色に変化しているのです。
非常に美しいフォルムを持ち、
完成度は高いのですが、
お顔は菩薩にしてはかなり厳しく、
冷厳なものを強く感じさせます。

その辺りが貞観彫刻という感じで、
神護寺のご本尊にも似た風格を有しているのです。

迫力と優美さと凄みを兼ね備えた名仏です。

傑作の多い貞観彫刻の中でも、
他に類のない造形で、
欠かせない名品だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

「白鳳」(奈良国立博物館開館120年記念特別展) [仏像]

こんにちは。
石原藤樹です。

今奈良から戻って来たところです。

今日はそのお土産的な仏像の話です。
こちらをご覧下さい。
白鳳展.jpg
奈良公園の中にある奈良国立博物館で、
今「白鳳」と題する特別展が開かれています。

白鳳時代というのは、
飛鳥時代と天平時代の間を指す言葉で、
聖徳太子の時代の後で、
大化の改新後、奈良に都が移る前までの時期です。

飛鳥時代と一括りに論じられることが多いのですが、
一時的に全国的な仏教ブームが起こり、
今はその多くが遺跡としてしか残っていませんが、
巨大な仏教寺院が、
全国で一斉に建立されたのです。

飛鳥時代の仏像や仏教美術は、
基本的に大陸や半島の輸入品でしたが、
この時代にはそれが日本的に咀嚼され、
新たな文化として進歩を遂げました。

現存する仏像の名作としては、
薬師寺創建時の諸仏があり、
法隆寺の諸仏があり、
そして興福寺に伝わる山田寺仏頭があります。

今回の展覧会では、
その大部分が一同に会するという、
非常に豪華なものです。

中でも凄いのが、
薬師寺のご本尊薬師如来の脇侍である月光菩薩が、
そのまま会期中こちらにお出ましになっていることです。
ここまで大きな仏像を、
長距離移動させることは困難なので、
これは地元奈良でのみ実現可能な贅沢なのです。

そのお姿がこちらです。
月光菩薩正面.jpg
高さ3メートルを超える大作で、
薬師寺の金堂で拝観すると、
後背を含めて周辺の飾りが多く、
その彫刻としてのシンプルな見事さが、
却って見えづらいという面があります。

今回はこのように月光菩薩様のみ、
後背もない姿で陳列室の中に据えられ、
360度グルリを見ることが可能となっています。

ギリシャ彫刻やルネサンスの彫刻など、
世界の神像彫刻の名品に、
引けを取らないばかりか、
その上を行くと言って過言ではない、
素晴らしい完成度でありフォルムであることが、
この写真からもお分かりになるかと思います。

目の前で観てもまさに完璧で、
鳥肌が立ちます。

今回初めて、
その後ろ姿も観ることが出来ます。
それがこちらです。
月光菩薩背面.jpg
このシンプルな衣紋の感じなどが、
素晴らしく良いのです。
誰にも見られることが想定されていない背面に、
ある種の純粋な処女性のようなもの、
人間が決して触れてはならないような美が、
潜んでいるように思います。

それからもう1つ今回楽しみだったのがこちらです。
虚空菩薩.jpg
法隆寺にほど近い法輪寺に伝わる白鳳仏の珍しい木彫、
虚空菩薩のお姿です。

素朴で味があり、
非常にファンの多い仏様ですが、
法輪寺の収蔵庫で拝観すると、
このような美しい木の素地の色合いを、
観ることは出来ません。

全体が湿気て黒ずんでいて、
そのお顔などは黒い能面のようにしか、
観ることが出来ないのです。

とてもガッカリします。

それが今回、
すす払いをして、
絶妙なライティングにより、
こうした画像で観る美しさが、
そのままに鑑賞することが出来るのです。

必見です。

奈良国立博物館のライティングは素晴らしく、
その仏像を理想的な状態で拝観することを可能にしています。
良い仏像をここで観ると、
印象が大きく変わることが多いのです。
東京国立博物館もまずまずですが、
少し奈良と比べると暗すぎるのです。
京都は更に暗くて、
あそこのライティングはセンスを感じません。

優れた仏像を奈良国立博物館で観ることは、
今の日本では最高の贅沢だと断言出来ます。

他にも多くの素晴らしい展示があり、
お勧めの展覧会です。
ご機会の合う方は是非お出で下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

羽賀寺「十一面観音菩薩立像」 [仏像]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。

体調が悪いので駒沢公園には行かず、
今PCに向かっています。

休みの日は趣味の話題です。

今日は昨日に引き続いて、
先日拝観した福井県若狭の仏像の話題です。

今日はこちら。
羽賀寺「十一面観音」.jpg
若狭は小浜市の羽賀寺の本尊、
平安時代の十一面観音菩薩様のお姿です。

この仏様は多分、
若狭の古い仏像の中でも、
最も有名なものの1つです。

このお寺は奈良時代の女性天皇であった、
元正天皇の勅願寺として創建され、
この仏様は元正天皇の等身大のお姿を模したものとされています。

この話は奈良の法華寺の十一面観音を思わせますが、
そうした伝説がそれなりの説得力を持っているのは、
この仏様の醸し出す、
非常に艶やかで神秘的な雰囲気があるからです。

この仏像が有名なのは、
この独特の神秘的な雰囲気と共に、
長く秘仏であったために、
平安時代の造仏当時の、
鮮やかな色彩がそのままに残っているからです。

正直実際に拝見すると、
色彩はこの画像よりかなり煤けたような印象があります。

ただ、他の同時期の仏像にはあまりない、
独特の艶やかさと、
奈良や京都の仏様にはない、
地方仏としてのフォルムの個性が、
得難い魅力です。

古いお堂の雰囲気も最高でした。

本尊の安置された厨子の向かって左隣には、
客仏のような扱いの千手観音立像が、
こちらは静かに立っていますが、
この像は非常に静謐で端正な美しさを持っていて、
飾り気のないいぶし銀のような魅力を放っています。

こちらも非常にお薦めの見事な仏様です。

昨日も書きましたが、
拝観環境には多くの配慮があり、
本当に間近で堪能することが出来ました。
仏像はこうでなくてはいけません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

中山寺「馬頭観音坐像」 [仏像]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から紹介状など書いて、
それから今PCに向かっています。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

先日福井県若狭に仏像に出逢いに出掛けました。

若狭地方は平安時代中期から鎌倉時代に掛けての、
優れた仏像が多く残っていることで知られています。

時間の関係で今回は、
中山寺、羽賀寺、明通寺の3か所のお寺を訪れました。

いずれのお寺も、
拝観環境が非常に整っている点で感心しました。

仏像は古いお堂の厨子の中に大切に安置され、
厨子の中にはLEDのライトが付けられていて、
細部までしっかりと観賞することが可能です。
更には住職さんかそれに準ずるお寺の方が、
団体や個人に関わらず、
気さくに説明してくれるのです。

奈良の観光寺院よりも、
遥かに行き届いた対応と、
何より仏様を大切にしようという姿勢に、
とても感心しました。
意地悪なお寺では、
内陣には入れて頂くことが出来ず、
遠目に拝観するしかないところも多いのですが、
今回拝観した3か所とも、
厨子の目の前で、
拝ませて頂くことが出来ました。

観光行政の対応もきめ細かいのではないかと推察しました。

今日はその中で、
高浜町の中山寺の秘仏の本尊、
馬頭観音坐像のお姿を観て頂きます。
こちらです。
中山寺馬頭観音.jpg
この画像はお寺のパンフレットからお取りしたものです。

鎌倉時代の前期に、
大仏師運慶の系統の仏師により、
造仏された仏像で、
ご覧の通りの極めて見事な迫力のあるフォルムです。

御開帳は33年に一度と定められている秘仏ですが、
実際には今回のように、
特別開扉もちょくちょくあるようです。

馬頭観音は観音様の変身の1つですが、
日本の仏像としてはマイナーな存在で、
それほど明確な姿も決まっていません。

主に平安時代の後半から鎌倉時代に掛けて作例がありますが、
立ち姿が多く坐像はそれほと多くありません。

それがこの若狭の高浜町には、
中山寺と馬居寺という2つのお寺に、
共に重要文化財に指定されている坐像があり、
いずれも本尊として安置されています。

真言宗のお寺で馬頭観音様が本尊というのも、
良く考えるとかなり不思議です。

馬頭観音より愛染明王に似たフォルムですが、
非常に完成度が高く、
しかも長く秘仏として大切にされて来たので、
赤い彩色も含めて、
非常に優れた保存状態です。

実際に本物もこの画像と同じ状態で、
しかも色彩はより鮮やかで繊細です。

久しぶりに仏像を拝観する幸せを感じて、
お寺を後にすることが出来ました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍引き続き発売中です。
よろしくお願いします。

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高野山の名宝(サントリー美術館2014) [仏像]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。

ちょっと今日明日と福井に出掛ける予定です。

休みの日趣味の話題です。

今日はこちら。
高野山の名宝.jpg
サントリー美術館で12月7日まで、
「高野山の名宝」と題する展覧会が開催されています。

仏像好きとしては見逃せない内容で、
一番の目玉は運慶作(らしい…)、
上記の八大童子ですが、
それ以外にも快慶作の孔雀明王像や、
四天王像など、
鎌倉仏の秀作が揃っていて、
しかもその多くがガラス越しではなく、
お堂に安置されていたのとかなり同じような環境で、
かつ美しいライティングの下に、
間近で観賞することが出来ます。

僕は今回の出品作の多くが収蔵されている、
高野山の霊宝館には行ったことがありませんが、
ほぼ間違いなくもっと拝観環境は悪いと思います。

色々な制約があるのだと思いますが、
多くのお寺でも、
文化財指定を受けた仏像の多くは、
お堂から出されて、
味気のない収蔵庫に収められていることが常です。

そして、収蔵庫のライティングは、
興福寺国宝館など少数の例外を除けば、
極めて劣悪なのです。

そんな訳で、
今回は得難い機会です。

上記画像の八大童子像は、
阿修羅像で有名な奈良時代の興福寺八部衆像を、
1つの理想として、
大仏師運慶の工房が手掛けた、
鎌倉時代の八部衆像と言うべき傑作です。

厳密には封入品から運慶作という想定が、
最近なされている、というだけなので、
少し前まではそうは言われていませんでしたし、
本当にそうなのかしら、と疑問を感じることも事実です。

「運慶」というのは仏像界最大のブランドで、
確定した真作が極めて少なく、
運慶作と言うだけで、全てが規格外の傑作、
というようなイメージがありました。

ただ、最近になって、
続々と運慶の真作とされる作品が再発見され、
少しずつそのイメージは変わりつつあります。

今回の展覧会の図録を読むと、
「運慶工房」と言うような表現で、
運慶の指示の元に造られた作品、
という解釈が取られていて、
一番出来の良い制多伽童子が、
運慶自身の作で、
それ以外は工房の弟子の作ではないか、
というニュアンスになっています。

同じ作者であっても、
意外に出来不出来はあるように思いますし、
どのような分業が行われていたのかは、
推測するしかないのですから、
何となく出来栄えのみで誰の作かを決めるという考えは、
個人的はおかしいように思います。

同時期の並び称される名人の快慶は、
作品にサインも残している上に、
端正で緻密な作風も特徴的なので、
そのような感想はあまりないのですが、
運慶については情緒的な検討が多く、
未だその技量は謎に満ちています。

いずれにしてもこの一群の彫像が、
名品であることは間違いがなく、
その保存状態も非常に良くて、
鮮やかな色彩も見事に残っています。

仏像好きには是非にと、
お勧めしたいと思います。

それではそろそろ出掛けます。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。