So-net無料ブログ作成

歌舞伎座三月大歌舞伎(2019年夜の部) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
3 月大歌舞伎2019.jpg
今年初めて歌舞伎座の大歌舞伎に足を運びました。

夜の部で眼目は仁左衛門の「盛綱陣屋」です。

平成8年から10年に掛けてくらいの間が、
僕が一番歌舞伎にのめりこんでいた時期で、
ほぼ毎月一度ずつは歌舞伎座に通い、
現行上演されている全ての演目を制覇することを目標にしていました、

ただ、巡り合わせで観ることの出来なかった名作もあり、
その筆頭がこの「盛綱陣屋」と「新薄雪物語」です。

首実検というと、
「寺子屋」と「鮨屋」、「熊谷陣屋」は、
それぞれ何度か観ているのですが、
この「盛綱陣屋」は前3つの演目をお手本として、
それを更にひねって構成されているもので、
名戯作者でトリッキーで技巧的な構成を得意とする、
近松半二の代表作の1つです。

元々長編の浄瑠璃「近江源氏先陣館」の八段目ですが、
歌舞伎で上演されるのはほぼこの幕のみで、
記録を見る限り、戦後通し上演的な試みも、
これまで行われたことはないようです。

通常の首実検というのは、
主君の若君を守るために、
忠臣の子どもが犠牲になり、
それを知りながら敵側に心ならずも組みしているかつての忠臣が、
本物の首であると嘘を言う、
というパターンですが、
この「盛綱陣屋」は父親の計略のために、
父の偽首でありながら捕まっている息子が、
自分が腹を切って父親であることを証明しようとし、
それを目撃した今は敵方に組みしている兄の検分役が、
本物の兄の首だと嘘を言う、
という込み入った構造になっています。

父親が逃げ延びるために、
子どもの方が命を差し出すという話で、
今では絶対お話としても許されないようなプロットですが、
首実検の途中で急に子どもが腹を切るという場面があり、
それを見て兄が弟の偽首と知りながら、
その計略を悟り、
甥を無駄死ににさせまいと嘘を言うという心理を、
無言劇として数分掛けてじっくり演じるというのが、
他の歌舞伎劇にはあまりない特殊な見せ場になっています。

当代を代表する盛綱役と言えば、
東の吉右衛門と西の仁左衛門で、
今回仁左衛門丈の見事な盛綱の芝居を、
じっくり観られたことはしあわせでした。

盛綱の母親である微妙は、
三婆の1つと言われる難役ですが、
録画で歌右衛門の名演技などを観ているので、
今回の秀太郎丈の微妙は、
今ひとつの感が拭えませんでした。

女形の老け役は、
今はまともに出来る役者さんが殆どいませんよね。
残念なことだと思います。

それでもひさしぶりに重厚な時代物の雰囲気を、
堪能することが出来ました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(1) 

六本木歌舞伎「羅生門」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
羅生門.jpg
六本木のEXシアターで2年毎に上演されている、
海老蔵さんが主演し、三池崇史さんが演出する六本木歌舞伎が、
今回はV6の三宅健さんをゲストに迎えて、
先日まで東京で上演されました。

今回の新作は芥川龍之介の「羅生門」が原作とのことですが、
そこに「杜子春」や「蜘蛛の糸」を絡め、
更には「茨木」や忠臣蔵の七段目などの設定を入れ込んで、
休憩を含み2時間程度の作品に仕上げています。

前2作は台本作家にもビックネームを招聘していたのですが、
今回は特にクレジットはなく、
海老蔵さんを中心に松竹の文芸部のスタッフなどと、
相談して作品にしたのかな、と思いました。

海老蔵さんは勿論当代一の歌舞伎役者らしい歌舞伎役者で、
元禄歌舞伎の時代を彷彿させるような、
瑞々しい荒事の演技にその特質があると思います。

ただ、多くの演出家や作家と、
コラボをしつつ新作をクリエイトしているものの、
海老蔵さんが描く新しい歌舞伎作品の誕生には、
正直至っていないのが現状のようにも思います。

その中ではこの六本木歌舞伎のシリーズの1作目は、
宇宙人に対して歌舞伎の荒事のヒーローが、
徹頭徹尾歌舞伎で戦うという発想がなかなかで、
素の海老蔵本人が本人として登場して、
舞台上で歌舞伎役者に変貌する、という趣向も含めて、
面白い試みだと思いました。

2作目の「座頭市」は、
濃厚な濡れ場が特徴の世話物ですが、
ラストは唐突に荒事になるという珍妙な作品で、
意欲作ではあってもトータルには感心はしませんでした。

そして今回の3作目は、
三宅健さんが「羅生門」の下人を演じ、
悪事をなして斬り殺されると、
そこに私服の海老蔵さんが登場して、
三宅さんにもう一度別の人生を用意する、
という趣向になっていて、
それが何度も繰り返され、
ラストは天上からの救いの糸に乗って、
精神の呪縛から解放される、
というドラマになっています。

その中で海老蔵さんは歌舞伎のヒーローとなり、
荒事をしっかりと披露しますし、
ラストは一種の歌舞伎舞踊劇として盛り上がりを作っています。

これまでの3作品の中では、
若者の葛藤を主軸に据えて、
歌舞伎劇の要素を取り込み、
狂言回しのようなゲームマスターのような存在として、
素の海老蔵さんを登場させるという仕掛けを含めて、
最も分かり易い、意図も明確な作品に仕上がっていたと思います。

三宅健さんもとても頑張っていましたし、
まずは成功といって良いのではないかと思います。

ただ、これが新しい歌舞伎かと言うと、
いささか疑問の気はしますし、
希代の歌舞伎役者で、
元禄歌舞伎を体現出来る現存唯一の肉体である海老蔵丈が、
その本領を発揮しているとは言い難い側面もあります。

今後も海老蔵さんの芝居道と探求は続くと思いますし、
可能な限りそれを見守りたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 

第7回ブス会*「エーデルワイス」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
エーデルワイス.jpg
ペヤンヌマキさんのブス会*の新作公演が、
本日まで池袋で上演されています。
その初日の舞台に足を運びました。

ブス会*はもともとポツドールの別動隊のような形で始まり、
ポツドールの三浦大輔さんが、
ほぼ映像に軸足を移している中、
独自の舞台活動を継続しています。

矢張りポツドール的過激さに溢れて、
その女性復讐版という感じのあった、
「女のみち」が印象深いのですが、
それ以降は様々なスタイルで、
小劇場的テイストを守りつつ、
女性の生きざまを描く舞台を上演しています。

今回は鈴木砂羽さんを主演に据えて、
「美女と野獣」を模した結構大掛かりなセットを組み、
これまでより中劇場的なスタイルの作品となっています。

鈴木砂羽さんはスランプに悩む大物漫画家を演じ、
彼女の過去の純愛と、
それが元になった出世作の漫画、
そして年を重ねた現在迷いが、
交錯するようにして彼女の内面を立体的に浮かび上がらせる、
という作劇です。

高野ゆらこさんや金子清文さんが出演しているので、
ちょっとテイストは毛皮族の雰囲気もあります。

これは凄く良い、というような舞台ではないのですが、
雰囲気は悪くなく、
作劇も分かりやすいので、
まずは心地良く観ることが出来ました。

ペヤンヌマキさんの実際の経験や思いが、
かなり反映されているのだろうな、
ということは推察されますし、
構成的には過去と現在で、
同じパターンの恋愛が繰り返される、
という部分が面白いと感じました。

ただ、欲を言えばもっと過剰な部分、
演劇的な盛り上がりのある場面があれば、
という気はしましたし、
せっかくのセットが、
あまり活かされていない、という気はしました。
後半にもう少し幻想が膨らみを持って、
暴走しても良かったですよね。
その点は少し残念です。

鈴木砂羽さんは舞台がなかなか良くて、
独特のオーラがあり、僕は好きな女優さんです。
ただ、ちょっと桃井かおりさん的な、
「やる気のない芝居」なので、
それを演出がどう修正するのかが、
舞台での成功失敗の分かれ目のように思います。
今回に関しては、
もう少し本人の乗りで、
自由に出来るようなところがあると、
もう少し違ったのではないかしら、
というようには感じました。

そんな訳で今一つではあったのですが、
サラッとして悪くない芝居でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごしください。

石原がお送りしました。
nice!(9)  コメント(0) 

岩井秀人「世界は一人」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
世界は1人.jpg
ハイバイの岩井秀人さんが作・演出に当り、
前野健太さんの音楽に、松尾スズキさん、松たか子さん、
瑛太さんという、魅力的なキャストが顔を揃えた、
音楽劇が今上演されています。

これは演出は結構ドライな感じで、
トータルなイメージは、
マームとジプシーに近いような雰囲気でした。
鉄骨の骨組みだけみたいな抽象的なセットで、
最初に8歳の林間学校の夜で、
主役の3人の同級生がおねしょを巡る「事件」を起こして、
それが何度も劇中でリフレインされ、
最後もそこに回帰してゆきます。

オープニングがなかなか面白くて、
まず音楽が鳴って前野さんが狂言回し的に歌い出すと、
松尾スズキさんがそこに演技を合わせていって、
音楽が鳴り続けながら、
ボーカルのない合間に、
今度は松尾さんが台詞を合わせていって、
音楽と役者の芝居が、
不思議に混じり合うようにして、
次第にある種の高揚感が生まれて行きます。

この辺の音楽と演技の関係も、
マームとジプシーに近い感じです。
ただ、物語は岩井さんですからもっとウェットで、
ドロドロもしてリアルな感じですし、
音楽自体もアングラの劇中劇に近いような、
懐かしくもウェットな感じなので、
個人的にはとても心地良く聴くことが出来ます。

特にオープニングの「汚泥」の歌や、
何度か歌われる「また巡りあった」というような趣旨のラブソングは、
情緒的な水分が心地良く素敵でした。

ただ、お話自体はやや平板で盛り上がりには欠けました。

舞台が北九州のかつての炭鉱町で、
そこから一旦東京に移り、
後半はまた北九州に回帰する、
という筋立てになっているのですが、
セットも抽象的で変化がありませんし、
キャストも少人数である上に、
台本に情景描写的なものが殆ど書き込まれていないので、
その時間や場の変化が全く分からないというのが、
あまりお話が盛り上がらなかった、
大きな原因であったように感じました。

松たか子さんの役柄が一旦自殺未遂で死にかけたり、
瑛太さんの役柄が一旦引きこもりになったりして、
舞台上から消えてまた再登場するのですが、
その間にもナレーションで登場したり、
別の役柄を演じたりもするので、
そこも混乱の一因のように感じました。
松尾さんと松さんが東京で再会する場面など、
曲も良くてとても素敵なのに、
あまり観客の心に響かないのも、
その辺りに原因があったのではないでしょうか。

松たか子さんは最近の映画での吹っ切れたような芝居が素晴らしくて、
第二の黄金時代ではないかしら、
と密かに思っていて、
今回の芝居でもその歌声や表情など素晴らしかったのですが、
今回の役柄が松さんの本領発揮のものであったかと言うと、
いささか疑問で、
もっと舞台ならではの演技表現が、
観たかったのが本音です。

現在を代表する個性的な演技派が、
3人顔を揃えたと言って良い芝居なのですから、
もう少し演技の魅力に奉仕するような、
劇作であるべきではなかったでしょうか。

そんな訳でとても心地の良い観劇ではあったのですが、
正直物語世界にはかなり物足りなさを感じたお芝居でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(0) 

シベリア少女鉄道「いつかそのアレをキメるタイム」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
シベリア少女鉄道2019.jpg
大好きな異能の小劇場、シベリア少女鉄道の新作公演が、
今週の火曜日まで赤坂RED/THEATERにて上演されました。

この劇団の公演はネタバレ厳禁の性質のものなので、
上演が終わってから記事にするようにしています。

さて、今回の公演は、
池井戸潤さん原作のテレビドラマが元ネタで、
それを手探りで演じるいつもの役者さん達が、
ある特定の役割を果たそうと、
演技はそっちのけで競争を繰り広げる、
という話です。

いつもながらの他にない独自の世界ですが、
以前と比べると役者さんの演技レベルが、
非常に高くなっているので見応えがあります。

ただ、ラストは最近やや予定調和的になる傾向があり、
今回もラストのオチは、
あまりにベタ過ぎて脱力する感じがありました。

以前のもっとラジカルな時代には、
話がメタフィクション方向に走り出すと、
予想外に物語は拡散し、
ラストには世界の終わりのような虚無が待っていたのですが、
最近はそうした怖さを感じさせるような逸脱はなく、
予定調和的なオチに集束する感じがあるのが、
ちょっと物足りない点ではあるのです。

それはおそらく、
以前よりも主宰の土屋亮一さんに心の余裕があるからで、
それは土屋さんにとっては良いことだとは思いつつも、
もっと先鋭で破れかぶれででたらめな世界も、
笑いと恐怖が背中合わせの世界も、
また見てみたいという切実な思いもあるのです。

それはもう唯一無二の世界であったからです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0) 

月刊「根本宗子」第16号「愛犬ポリーの死、そして家族の話」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日からクリニックはいつも通りの診療になります。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
根本宗子2018年末.jpg
昨年も大活躍の根本宗子さんですが、
年末に本多劇場で行われた月刊「根本宗子」の新作公演に、
先日足を運びました。

根本さんと言えば、
昨年春の「紛れもなく、私が真ん中の日」が、
トラウマ少女群像劇の大傑作で、
とても感銘を受けました。
昨年のベストプレイに推しているくらいです。

それで今回の新作にも期待をしていたのですが、
残念ながら今回はあまりはじけた作品にはなりませんでした。

キャストもこれといった核のない地味なメンバーで、
おそらくは私小説的な側面のある家族のスケッチなのですが、
主人公の少女が家族の1人1人のエピソードを紹介する、
という構成が如何にも凡庸で回りくどく、
村杉蝉之助さん演じる怪しげな小説家のおじさんに、
少女が洗脳され影響されるというのも、
軽いスケッチ風に描かれるので、
深い描写に至りません。

いつもの演劇の枠を突き抜けるようなアジテーションもなく、
何か欲求不満のうちに終わってしまいました。

話が決して詰まらないということではなく、
人物スケッチに終始していて、
演劇的な展開や面白さが殆どないのが、
演劇としては致命的でした。

明らかな失敗作でしたが、
おそらく小説として書いた方が成功しそうな素材で、
今の根本さんは演劇より小説に振れているのかも知れません。

今年は「クラッシャー女中」というお楽しみもありますし、
他にも色々と企画が盛りだくさんのようなので、
次に期待して待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

2018年の演劇を振り返る [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

お正月、皆さん如何お過ごしでしょうか?

今日は昨年の演劇を振り返ります。

昨年は以下の公演に足を運びました。

1.別冊「根本宗子」第6号「バー公演じゃないです。」(再演)
2.歌舞伎座一月大歌舞伎夜の部
3.「テロ」
4.T-WORKS#1「源八橋西詰」
5.柿喰う客「俺を縛れ!」
6.伊東四朗コントライブ「生きるか死ぬか!」
7.唐組×東京乾電池コラボ公演「嗤うカナブン」
8.アガリスクエンターティメント「卒業式、実行」
9.「密やかな結晶」
10.オフィスコットーネプロデュース「夜、ナク、鳥」
11.「岸 リトラル」
12.三谷幸喜「江戸は燃えているか」
13.三浦大補「そして僕は途方に暮れる」
14.細川徹「さらば!あぶない刑事にヨロシク」
15.財団法人親父倶楽部「死んだと思って生きてみる」
16.TEAM NACS「PARAMUSHIR」
17.劇団☆新感線「修羅天魔~髑髏城の七人 Season極」
18.タクフェス「笑う巨塔」
19.「悪人」(2人芝居)
20.「火星の2人」
21.サモ・アリナンズ「ホームズ」(再演)
22.「PHOTOGRAPH51(フォトグラフ51)」
23.城山羊の会「自己紹介読本」(再演)
24.ナイロン100℃「百年の秘密」(再演)
25.シスカンパニー公演「ヘッダ・ガブラー」
26.月刊「根本宗子」第15号「紛れもなく、私が真ん中の日」
27.シベリア少女鉄道「今、僕たちに出来る事。あと、出来ない事。」(リニューアル)
28.マクドナー「ハングマン」(長塚圭史演出)
29.岩松了「市ヶ尾の坂」(再演)
30.カムカムミニキーナ「蝶つがい」
31.イキウメ「図書館的人生vol.4 襲ってくるもの」
32.ゴキブリコンビナート「情欲戦士ロボ単于」
33.山海塾「卵を立てることからー卵熱」(リ・クリエーション)
34.山海塾「金柑少年」(リ・クリエーション)
35.唐組第61回公演「吸血姫」
36.松尾スズキ「ニンゲン御破算」(再演)
37.ILLUMINUS selection「ナイゲン」
38.庭劇団ペニノ「蛸入道忘却ノ儀」
39.ジョンソン&ジャクソン「ニューレッスン」
40.ナイロン100℃「睾丸」
41.「マクガワン・トリロジー」(小川絵梨子演出)
42.藤田貴大「BOAT」
43.ナカゴー「まだ出会っていないだけ」
44.谷賢一「1961夜に昇る太陽」
45.阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」
46.劇団鹿殺し「俺の骨をあげる」
47.マーム&ジプシー「BEACH」
48.港.ロッ区.「ロックの女」
49.カンニング竹山「放送禁止2018」
50.「シティ・オブ・エンジェルズ」(福田雄一演出)
51.tsumazuki no ishi ×鵺的合同公演「死旗」
52.ほりぶん「牛久沼3」
53.劇団チョコレートケーキ「ドキュメンタリー」
54.前川知大「ゲゲゲの先生へ」
55.唐組第62回公演「黄金バット~幻想教師出現~」
56.カミュ「誤解」(新国立劇場レパートリー)
57.ケラマップ「修道女たち」
58.ゴキブリコンビナートなど「見世物ナイト」
59.「銀杯」(森新太郎演出)
60.タクフェス「あいあい傘」
61.劇団チョコレートケーキ「遺産」
62.「魔界転生」(堤幸彦演出)
63.NODA・MAP「贋作 桜の森の満開の下」
64.ナイツ独演会「ワッショイでない事だけは確か」
65.悪い芝居「メロメロたち」
66.「民衆の敵」(ジョナサン・マンビィ演出)
67.劇壇ガルバ「森から来たカーニバル」
68.城山羊の会「埋める女」
69.「ロミオとジュリエット」(クドカン演出)
70.唐十郎「腰巻お仙 振り袖火事の巻」(小林七緖演出)
71.月刊「根本宗子」第16号「愛犬ポリーの死、そして家族の話」
72.ジョビジョバ「keep on talking」(トークライブ)
以上の72本です。

映画と同じく本数は前年より少し減りました。
年の後半はかなりバタバタしていて、
もう少し観たい演劇があったのですが、
だいぶ観ることを断念しました。
歌舞伎は時間的に観るのは無理がありました。

今年の私的なベスト5はこちらです。
基本的に初演を対象としていますが、
再演でも大きく演出が変わっていたり、
前回の上演から時間が経っているものは含んでいます。

①月刊「根本宗子」第15号「紛れもなく、私が真ん中の日」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-05-03
2018年も精力的に活躍された根本さんですが、
若手俳優の群像劇として、
集団創作的な趣向に挑戦したこの新作が、
最も優れた舞台成果だったと思います。
途中でメインキャストが降板して、
根本さんが代役に立つ日があるなど、
舞台の出来には凹凸があったようですが、
僕が観た日はオリジナルキャストで、
素人に近い少女達の瑞々しいエネルギーと、
根本さんの緻密で老練とも言える演出とが、
見事に噛み合った素晴らしい舞台でした。
ここまで完成度が高く、躍動感に満ちた小劇場の舞台は、
そうざらにはありません。
内容的にも小児期のトラウマが、
その後の青春を支配するという根本さん得意のドラマで、
彼女のキャリアの中でも、
特筆するべき仕事であったと思います。
冬の本多劇場の新作は少人数の家庭劇で、
ホームグラウンドに戻った感じですが、
あまり舞台は弾みませんでした。

②唐組×東京乾電池コラボ公演「嗤うカナブン」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-02-11-1
これは2大劇団の精鋭のコラボというのも楽しいですし、
川村毅さんの台本が洒脱で力の抜けた楽しいもので、
それを受けた柄本明さんの演出が、
またバッチリと決まっていました。
おじさんだけの座組なのですが、
後半シュールになるハードボイルドタッチの物語が楽しく、
久しぶりに唐組関連の舞台に登場した、
稲荷卓央さんの芝居も感涙ものでした。
小劇場好きの方には絶対の贈り物です。
本当にいい芝居でした。

③ナイロン100℃「睾丸」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-07-15
2018年も精力的に活動を続け、
25周年記念公演として再演と新作が上演されました。
いずれも完成度の高い素晴らしい舞台でしたが、
特に新作のこの作品は非常に先鋭で刺激的な舞台で、
とてもとても感銘を受けました。
学生運動にのめりこんでいた学生が中年となり、
かつてを総括せざるを得ないような事件が起こる、
という物語ですが、
1993年を舞台にする、という辺りが巧みで、
現在からも過去からも距離を取り、
より普遍的で切実な青春と惜別と虚無のドラマとしていました。
演出も素晴らしく、
かつての大島渚映画を観ているような刺激がありました。
ケラさんの新たな挑戦とも言える力作です。
凄かった!

④tsumazuki no ishi ×鵺的合同公演「死旗」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
鵺的の高木登さんというのは、
独特の過激で病的なお芝居を書く人です。
アングラ演出では当代随一の寺十吾さんが演出に当り、
極めて刺激的で挑発的でグロテスクで暴力的な舞台が誕生しました。
何処とも知れない闇の部落で、
女を奪い合い犯し合う壮絶な抗争が展開されます。
明らかに昔のアングラとは肌合いの違う世界ですが、
この腹を括った悪趣味と過激の競演は、
これも小劇場の愉楽であることは間違いがありません。
ラストの愚者の行進のカタルシスは、
新たなアングラ芝居の誕生を告げる奇観でした。

⑤「PHOTOGRAPH51(フォトグラフ51)」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21
今年観た翻訳劇の中では、
最も好きだった1本で、
主役を演じた板谷由夏さんもなかなかでしたし、
シンプルな演出も良かったと思います。
ノーベル賞を巡る科学者の仁義なき競争に、
冷徹な仮面の下に愛を渇望する孤独な魂を秘めた、
1人の女性の人生を絡めた作劇は、
ほぼ日本人劇作家には書けない世界で、
それだけでも上演する価値はあります。
あまり評判にはなりませんでしたが、
繊細で良い芝居だったと思います。

これ以外には、
ベスト5には入れませんでしたが、
唐組の30周年記念公演として上演された2本は、
いずれも唐先生の戯曲の魅力を、
存分に感じさせる出来映えでした。
それから谷賢一さんによる福島原発事故を俯瞰する3部作の1作目は、
緻密な取材に裏打ちされた意欲作でした。
演出の小劇場的な安易さが、
作品の質を下げていたのが少し残念です。

今年何本くらいの舞台に出逢えるでしょうか?
一期一会の思いで作品に対したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良いお正月をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 

「魔界転生」(2018年堤幸彦演出舞台) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

クリニックは本日から年末年始の休診に入っています。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら、
魔界転生.jpg
山田風太郎の忍法時代劇の傑作「魔界転生」が、
日本テレビ開局65年記念舞台として、
マキノノゾミさんの脚本で堤幸彦さん演出で上演されました。

もう公演は終わっていますが、
その本年11月の明治座の公演に足を運びました。

これは高校生の時に原作を読みました。
山田風太郎さんは多彩な作品を書かれていて、
ミステリーの「十三角関係」などはとても好きなのですが、
忍法帳としてはこの「魔界転生」が抜群で、
とてもワクワクと読んだことを今でも覚えています。

これは柳生十兵衛を主人公にして、
彼がその全盛期の違う宮本武蔵や父親の柳生但馬守宗矩と、
それぞれの全盛期の状態で対決する、
という架空対戦ものなのですね。
それを成立させるために、
女体を借りて復活するという魔界転生という妖術を用い、
史上最強の剣豪軍団と我らが十兵衛の血湧き肉躍る戦いが描かれるのです。

1981年と2003年に映画化されていて、
1981年版はテレビで見ましたが、
正直原作の良さは殆ど打ち消されたような、
深作欣二風アクション映画になっていました。

今回の舞台版は、
どちらかと言えば原作より映画を原作としている印象で、
時代の違う剣豪が魔界転生でリセットされ、
最盛期の力で勝負する、
という基本設定の部分があやふやになっていました。

今回の舞台は端的に言えば、
劇団☆新感線の上演する舞台の世界を、
堤幸彦さんが職人芸で再現するという感じの代物で、
格別新しい趣向はなく、
テレビの番宣などで盛んに取り上げられていた、
3D映像とのコラボという代物は、
目を細めればそう見えるかな、
と言うレベルのお寒い仕掛けでした。

キャストはなかなか豪華で、
主役の十兵衛役の上川隆也さんは、
堂々とヒーローを演じていてなかなかですし、
天草四郎の溝端淳平さんも頑張っています。
そして何より素晴らしいのが、
柳生但馬を演じた松平健さんで、
上川さんと松平さんの対決が、
芝居としては全編のクライマックスです。

全体に新感線の同じような作品と比較すると、
テンポはまったりとしていて、
メリハリやスピード感には乏しいのですが、
それが却って見やすいという感じはします。
松平健さんに今以上のテンポを要求すれば、
その良さを殺してしまうと思いますし、
これが随所に配慮した、
大人の演出と言えるのかも知れません。

そんな訳であまり乗れない観劇だったのですが、
それなりにプロの仕事を感じて、
劇場を後にすることは出来たのでした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い年末をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(1) 

M&Oplays プロデュース「ロミオとジュリエット」(宮藤官九郎演出) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中のみ外来を開ける予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
ロミオとジュリエットクドカン.jpg
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を、
三宅弘城さんと森川葵さんというコンビで主役を務め、
宮藤官九郎さんが演出した舞台に、
先日足を運びました。

公演はもう終わっています。

「ロミオとジュリエット」はシェイクスピアの作品の中では、
展開的にドラマチックで青春物としての魅力もあるので、
日本での上演頻度は高く、
また非常に読み替えのような風変わりな演出が、
多いという演目ではないかと思います。

最近の藤田貴大さんが演出した舞台では、
原作の場面をバラバラにして入れ替え、
同じ場面を繰り返すという得意の手法を、
大胆に取り入れて、
それでいて原作の台詞はほぼ変えていないという、
特殊な演出がされていました。

蜷川幸雄さんも複数の演出の舞台を上演していますが、
かなり自由度の高い舞台になっていました。

翻案としては「ウェストサイドストーリー」など、
数限りなくありますし、
最も一般に馴染みのあるシェイクスピアの物語、
という言い方をして間違いはないと思います。

さて、今回のクドカン版ですが、
相当変わったことをしてくるのかと思いの外、
かなり原作そのものを再現した、
まっとうな舞台で、
勿論ギャグもあるのですが、
原作を解体するような性質のものではなく、
かなり穏当に始まり穏当に終わった、
という感じの作品になっていました。

主役に三宅弘城さんを起用した意味も、
あまり明確ではありませんでしたし、
それほど伸び伸びと芝居をしていた感じでもありません。
セットも紙芝居のようで安っぽく、
これといった見せ場もなく終わってしまった、
個人的にはかなりガッカリの舞台でした。

こんな保守的な仕上がりになるのであれば、
どうしてこうしたキャストと演出でやろうと思ったのか、
正直最後まで良く分からないままに劇場を後にしました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0) 

城山羊の会「埋める女」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
埋める女.jpg
大好きな城山羊の会の新作公演に足を運びました。
しばらく公演の予定はないとのことで、
とても残念ですが、
またいつかの再開を期待したいと思います。

今回のお芝居は、
コーエン兄弟の映画みたいな味わいで、
何処までが真面目で、何処までがリアルなのか分からない、
手探りのような快感に満ちたドラマが展開し、
闇の中に1人置き去りにされるようなラストが待っています。

主役はトラック運転手の岩谷健司さんで、
彼が客席を向いて観客に向かって1人語りをする、
というスタイルで始まります。
その後も随所で観客を意識するようなやり取りがあり、
これは一体どういうことなのかしらと思っていると、
主人公に降りかかった災難から、
それがラストに繋がるという趣向です。
観劇後に、結局観客の僕達は、
何に見立てられていたのかしらと、
頭をひねって不思議な気分になるのです。

途中でいつものように、
偏執狂的なキャラの岡部たかしさんが入って来ると、
城山羊の会ワールドがいつものペースで展開されます。
適度なエロチックさと、
何かが隠された隠微な感じ、
適度な不条理のスパイス、
現代社会の構造を巧みに捉えたディテールなど、
そのひねった魅力は健在です。

後半の急展開が暴力を梃子にしているという点が、
ちょっと引っかかりはあるところです。
「自己紹介読本」の素晴らしさは、
それがエロスのみで成立した楽しさでした。

今回は最後までその独特の不条理とエロスと暴力が貫徹された、
城山羊の会のクオリティの高い標準作であった、
という印象です。

この世界にしばらく浸れないというのはとても残念ですが、
またの機会を待ちたいと思います。

またいつか素敵なお芝居を見せて下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0)