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セフトリアキソン(ロセフィン)の使用量は適切なのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ロセフィンの適切な使用量.jpg
2019年のExpert Review of Anti-infective Therapy誌に掲載された、
1980年にその使用が開始されたセフトリアキソンという抗菌剤の、
市中肺炎に対する適正な使用量を検証したレビューです。

セフトリアキソン(商品名ロセフィンなど)は、
第3世代セフェム系と分類される抗菌薬の注射薬で、
広い抗菌活性を持つと言う点と、
胆道などへの組織移行が良い点、
半減期が長く1日1回の注射でも有効性が確認されている、
という点で今でも有用な抗菌剤として、
その評価が世界的にも高い薬です。

1日1回の注射で済むということは、
外来での治療が容易いということで、
その利便制から日本でも広く使用されています。

やや特異的な有害事象として、
胆石症が知られていますが、
概ね副作用や有害事象も少ない薬剤です。

さて、このように有効性の確立されているセフトリアキソンですが、
その主な使用目標の1つである市中肺炎の治療において、
適切な使用量がどのくらいであるかが明確ではありません。

そもそもの開発の時点で、
1日1グラムと1日2グラムという2つの臨床試験が、
並行して行われていて、
重症の事例や入院の事例では、
1日4グラムの使用が行われています。

WHOは現状1日2グラムの使用を推奨していますが、
臨床の現場においては、
1日1から4グラムの使用が、
1日1回もしくは2回というかなり幅のある形で、
あまり根拠なく行われているのが実際です。

ちなみに日本の添付文書においては、
1日1から2グラム、1日1から2回の使用で、
重症の事例は1日4グラム2回と記載されていて、
世界的に幅のある使用法を、
そのまま羅列した感じになっています。

そこで今回の検証では、
これまでの主だった臨床試験のデータを、
まとめて解析するメタ解析とシステマティック・レビューの手法を用いて、
市中肺炎に対するセフトリアキソンの適正な使用量を検証しています。

その結果、
1日1グラムの使用と2グラム以上の使用との間で、
その有効性には明らかな差は認められませんでした。

つまり、市中肺炎の治療に関して言えば、
セフトリアキソンは1日1グラム1回の使用で、
必要にして充分な可能性が高い、
ということになります。

こうした検証は臨床の現場ではとても重要ですが、
日本では添付文書が聖典のように扱われ、
あまりこうした検証が行われる素地がないことは、
大きな問題であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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