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食品中のヒ素が心機能に与える影響について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ヒ素と心機能.jpg
2019年のCirculation: Cardiovascular Imaging誌に掲載された、
食事や水などからのヒ素の摂取が、
その後の心機能に与える影響についての論文です。

ヒ素というのは、
地殻に多く分布する元素で、
土や水などに多く含まれ、
体内にも微量ながら存在しています。
土や水に含まれるヒ素は無機ヒ素ですが、
魚介類や海藻などには有機ヒ素という形で存在しています。

ただ、大量のヒ素を一度に摂ると、
急性の中毒症状が起こり、
下痢や嘔吐、神経症状や内臓障害を来し、
最悪は死に至ります。

また慢性に多くのヒ素を摂取していると、
膀胱癌や皮膚癌、肺癌の発症リスクとなることや、
高血圧や心疾患、糖尿病などのリスク増加に繋がることも分かっています。

ただ、心血管疾患との関連については、
疫学データではそうした傾向は見られるものの、
それがどのようなメカニズムで生じているのかは、
まだ明確な知見はありません。

そこで今回の研究では、
アメリカの先住民(インディアン)を対象とした、
心疾患の疫学研究のデータを活用して、
心エコーを活用した心機能の測定値と、
尿中のヒ素濃度から換算したヒ素の摂取量との関連を検証しています。

登録時に14から50歳で、
糖尿病や心血管疾患のない1337名を平均5.6年観察したところ、
左室肥大の発症リスクは、
ヒ素の摂取量が2倍になると1.47倍(95%CI: 1.05から2.08)
有意に増加していて、
血圧が高めか高血圧に限ると、
そのリスクはより上昇し1.58倍(95%CI: 1.04から2.41)
となっていました。
また左室機能などの指標も、
ヒ素の摂取量の増加に伴い低下が認められました。

このようにヒ素の摂取量が多いことが、
心肥大や心機能の低下に結び付く可能性があるという指摘は、
非常に興味深く、
日本人は米や海藻類などを通して、
欧米よりもヒ素の摂取量は多いので、
今後こうした検証は、
日本人においても行われる必要があるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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