So-net無料ブログ作成

タウリンのミトコンドリア病に対する効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
タウリンのMERASへの効果.jpg
2018年のJ Neurol Neurosurg Psychiatry誌に掲載された、
遊離アミノ酸で二日酔いに効くなどとして、
ドリンク剤などにも含まれているタウリンに、
難病のミトコンドリア病の1つに対する治療薬としての有効性がある、
という内容の論文です。

この臨床試験結果などにより、
大正製薬のタウリン散が、
2019年2月21日にミトコンドリア病の1つである、
ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)の、
脳卒中発作の抑制の効能・効果が、厚労省により承認されました。

ミトコンドリアは、
身体のエネルギー産生に必要不可欠な役割を果たしている、
細胞小器官で、
その異常により起こる病気が、
ミトコンドリア病です。

ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)は、
このミトコンドリア病の1つで、
ミオパチー、脳症、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作がその特徴的症状です。
脳卒中様の発作を繰り返すことにより、
その病状の悪化に繋がると考えられています。
その90%以上はミトコンドリアのロイシン転移RNA遺伝子の、
点変異が原因であることが分かっています。
この変異があると、
ミトコンドリア遺伝子の特定の部位に、
タウリンが結合することが出来ず、
そのためにミトコンドリアの蛋白合成が正常に起こりません。
ただ、ここに大量のタウリンが投与されると、
ミトコンドリア遺伝子にタウリンが結合しやすくなり、
それが病状の改善に繋がると想定されます。

今回のタウリンの第3相臨床試験においては、
10名のMELASの患者さんに対して、
体重40キロ以上で1日12グラムという、
比較的大量のタウリンを52週間継続的に使用したところ、
使用前の観察期間と比較して、
脳卒中様発作が6名では使用期間中完全に抑制され、
8人においては使用前と比較して50%以上抑制されました。
トータルで使用前には年間2.22回の発作回数が、
使用後には0.72回に減少していました。

例数が少ないのは元々稀少疾患であるからで、
この結果はかなり画期的なものと言って良いと思います。

特定の遺伝子変異による病気が、
食品にも含まれる成分の補充で、
劇的に改善するという結果は大変興味深く、
他の疾患の病態解明にも繋がることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(8)  コメント(0)