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2型糖尿病の検査値の季節変動(日本の大規模臨床データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
糖尿病患者の検査値の季節変動.jpg
2019年のDiabetes Care誌に掲載された、
2型糖尿病の患者さんの検査値の季節変動についての論文です。

これは糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)の臨床データを用いた研究です。

このJDDMというのは、
特定の糖尿病データ管理祖ストを導入している、
全国の糖尿病を専門とする医療機関が、
そのデータを集積して解析し、
多くの臨床研究を行っている団体です。

東京都では7つの医療施設のみが参加していて、
そのうちの2カ所は大学病院で、それ以外はクリニックです。
北海道などは多くのクリニックが参加している一方、
長野県では1カ所のクリニックのみが参加しているといった感じで、
全国規模の組織であるのは事実ですが、
自由に専門医療機関が参加出来る、
という感じのものではなく、
施設の分布にもかなりばらつきはあるようです。

ただ、日本でこれだけまとまった、
2型糖尿病の一般臨床の大規模データは他には存在せず、
非常に貴重なものであることは間違いがありません。

糖尿病の患者さんの血糖値や、
その1から2ヶ月のコントロールの指標であるHbA1c値が、
冬に高く夏に低くなるということは、
これまでに多くの報告があり、
このブログでも2009年の世界規模のデータを解析した論文を、
ご紹介したことがあります。

その論文では世界各地のデータを検証した結果として、
気温の変動が血糖値に影響を与える可能性が高い、
という結論になっていました。

今回の研究では、
JDDMの大規模な臨床データを用いて、
糖尿病の治療における検査目標の達成率が、
季節によりどのように変動するのか、
という視点でこの問題の解析を行っています。

対象となっているのは、
日本全国で治療を継続している、
2型糖尿病の患者トータル104601名で、
HbA1c、血圧、そしてLDLコレステロール値が、
どれだけ適切な治療目標に達していたのかを、
季節毎に検証しています。

治療の目標値としては、
HbA1c値が7%未満、血圧が130/80未満、
LDLコレステロールが100mg/dL未満が採用されています。

その結果、
最終的にデータが揃っていて解析されたのは4678名で、
3つの検査指標のいずれもが、
夏より冬が高いという季節変動を示していて、
その目標達成率は、
HbA1cが夏が53.1%で冬が48.9%、
収縮期血圧が夏が56.6%で冬が40.9%、
LDLコレステロールが夏が50.8%で冬が47.2%となっていました。

まあ気温が低くなる時期に血圧が上昇するのは、
まあ当然と言えなくもありません。
HbA1c値とLDLコレステロール値も冬に高くなるという数値の変動は、
興味深いのですが、
以前のデータの解釈は低温が原因というニュアンスでしたが、
今回の検証では冬場に運動量が減り、
食事も偏りやすいなどの環境要因が、
データの悪化に繋がっているのではないか、
というニュアンスの解釈となっています。

気温の低下する冬は心血管疾患のリスクも高くなる季節でもあり、
夏と冬の糖尿病治療は、
その特性を理解した上で別個に考える必要があるのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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