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アルツハイマー型認知症の最も早期の症状は何か?(J-ADNI研究の解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アルツハイマー型認知症の最も早期の症状は何か?.jpg
2018年のAlzheimer's & Dementia誌に掲載された、
日本の疫学データを元にして、
アルツハイマー型認知症の最も初期の兆候について検証した論文です。

これも昨日の論文と同じ、
認知症の早期診断を確立する目的で施行された、
J-ADNIという疫学研究の解析結果です。

どうやらこのように、
小出しで多くの論文を量産する方針のようです。

昨日の論文では認知機能低下のない対象者と、
軽度認知機能障害のある対象者、
そしてアルツハイマー型認知症と臨床的に診断されている対象者の、
3群の経過を2から3年経過観察した結果を、
アメリカで行われたADNI研究と比較した結果がまとめられていました。

今日ご紹介する論文では、
60歳以上で認知機能が登録時に正常の154名のうち、
検査でアミロイドβの蓄積の有無の検査が施行された84名のみを対象として、
登録時から3年後までに定期的に行われた認知機能検査と、
アミロイドβの蓄積の有無やアポEε4遺伝子の変異などとの関連を検証しています。

その結果、
昨日の論文にもあったように、
認知機能正常で検査を受けた84名中、
22.6%に当たる19名が検査でアミロイドβの蓄積を認めました。
つまり、臨床的には正常でも、
2割以上の人はもう水面下では認知症への変化が、
既に始まっているということになります。

それでは、
通常より早期のアルツハイマー型認知症を、
臨床的検査で推測することは出来ないのでしょうか?

今回の検証においては、
アミロイドβの蓄積は、
アポEε4遺伝子型の保有者で、
有意に多く認められました。

登録時の認知機能にはアミロイドβ蓄積の有無で、
特に変化は認められませんでしたが、
MMSEなどの認知機能検査を繰り返し行った時の学習効果は、
アミロイドβ蓄積群で低下が。認められました。

更に脳脊髄液中のリン酸化タウ蛋白が増加していた事例においては、
増加していなかった事例と比較して、
関連のある言葉(たとえば「あ」から始まる言葉)を、
1分間でなるべく沢山思い出す試験や、
特定の時間を指した、時計の文字盤を描く試験、
鉛筆で順番に数字を繋いで行く試験などの、
遂行機能の試験の学習効果も低下していました。

今回の検証は例数は十数名と少数なので、
これで確証的なことをいうのは、
難しいという気がしますが、
同じ遂行機能の試験を繰り返した場合の学習効果の低下が、
最も早期のアルツハイマー型認知症の臨床所見である、
という指摘はなかなか興味深く、
この点に特化したより詳細で例数の多い検証を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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