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糖尿病性網膜症に対するスタチン治療の効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
スタチンと糖尿病性網膜症.jpg
2019年のJAMA Ophthalmology誌に掲載された、
スタチン治療が糖尿病性網膜症に与える影響についての論文です。

2型糖尿病の治療は新薬の開発などもあり、
日々進歩をしていますが、
それでも全身の血管に影響を与える合併症は、
血糖コントロールが安定していても、
完全には予防出来ないのが実際です。

糖尿病性網膜症は小血管合併症の1つで、
網膜の血管に出血などの変化が起こり、
進行すれば失明のリスクも高い深刻な合併症です。

ただ、その予防については、
血糖やコレステロール、血圧を正常に保つ、
ということ以外には、
現状決め手がないのが実際です。

スタチンはコレステロール合成酵素の阻害剤で、
コレステロール降下作用のみならず、
抗炎症作用なども併せ持っていて、
動脈硬化の進行予防薬として、
その評価は確立している薬剤です。

ただ、血糖を上昇させるような作用も持っているため、
糖尿病の患者さんへの使用については、
その適応について色々な見解があります。

今回の研究は台湾のもので、
年齢などをマッチングさせた、
スタチンを使用している2型糖尿病で脂質異常症の患者さん18947名を、
スタチンは未使用の18947名と比較して、
中央値で7.6年の経過観察を行い、
糖尿病性網膜症の進行を比較検証しています。

その結果、
観察期間中にスタチン使用群の2004名と、
未使用群の2269名が糖尿病性網膜症を新規発症しています。
スタチン使用群は未使用群と比較して、
糖尿病性網膜症全体のリスクを14%(95%CI: 0.81から0.91)、
増殖性網膜症のリスクを36%(95%CI: 0.58から0.70)、
硝子体出血のリスクを38%(95%Ci: 0.54から0.71)、
網膜剥離のリスクを39%(95%CI: 0.47から0.79)、
黄斑浮腫のリスクを40%(95%CI: 0.46から0.79)と、
それぞれ有意に低下させていました。

つまり、スタチンの使用により、
かなり明確に糖尿病性網膜症が予防されている、
という結果です。

ただ、この研究では、
血糖値やコレステロール値などの臨床検査値が、
殆ど検討されていないので、
そうした数値の影響が実際には大きい、
という可能性も否定は出来ません。

今後スタチンが本当に独立して網膜症を予防可能なのか、
より詳細かつ厳密な検証に期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていいい日でありますように。

石原がお送りしました。
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