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インスリン未使用での血糖自己測定の有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
血糖自己測定の有効性JAMA.jpg
2017年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
2型糖尿病の患者さんが血糖の自己測定をすることの、
意義について検証した論文です。

現行日本の保険診療においては、
インスリンの注射を使用中の患者さんでは、
血糖の自己測定を行うことが認められていますが、
インスリンを使っていない2型糖尿病の患者さんでは、
認められていません。

それは何故かと言えば、
インスリンの強化療法を施行中の患者さんでは、
重症の低血糖などの有害事象も起こりやすく、
運動量などにより血糖値を見てインスリン量を調節する必要が、
あるようなケースもあるので、
その必要性が認められているのです。

その一方で飲み薬で血糖値が安定しているような、
2型糖尿病の患者さんでは、
血糖値の自己測定を行ったとしても、
それほどのメリットはないと考えられているからです。

ただ、そうは言っても多くの2型糖尿病の患者さんは、
自分で血糖を測定してコントロールをしたい、
という希望を持っています。
自費で血糖測定器を買って、
定期的に測定をしている人も多いと思います。

上記文献の記載によれば、
2型糖尿病の患者さんの75パーセント以上が、
実際には自己測定を行っているそうです。

それでは、自己測定をすることで、
しない場合と比べて、
血糖コントロールが改善したり、
患者さんの予後が改善する、
というようなことはあるのでしょうか?

この点は実はあまり厳密な意味で、
これまで検証されていませんでした。

今回の臨床研究はアメリカのノースカロライナ州において、
15か所のプライマリケアの医療機関を受診した2型糖尿病の患者さんのうち、
年齢が30歳を超えていて、診療を継続しており、
血糖コントロールの指標であるHbA1cが、
6.5を超え9.5パーセント未満の条件を満たす、
450名の患者さんを登録してくじ引きで3つの群に分け、
第1群は血糖自己測定を施行せず、
第2群は毎日1回の自己測定を患者さん本人の管理で行い、
第3群は毎日1回の自己測定後にその値による指示をフィードバックして、
52週間の経過観察を行なっています。

その結果52週間の時点でのHbA1cの低下率には3群間で有意な差はなく、
低血糖のリスクやインスリン導入などのリスクについても、
3群間で有意な差は見られませんでした。

ちょっと興味深いことに、
観察期間の真ん中の6か月の時点では、
HbA1cは自己測定を施行した2群において、
未施行群より明らかに低値となっています。
しかしその差はその後縮まって、
1年後には差がなくなっていました。

このように今回の臨床に即した研究においては、
血糖の自己測定を行なっても行わなくても、
患者さんの血糖コントロールには影響はありませんでした。

数か月という観察期間で同様の研究をすれば、
一定の有効性があるという結果が得られた訳ですが、
少なくとも1年を超えるような期間においては、
その効果は充分なものではないようです。

ただ、これをもって、
全てのインスリン未使用の2型糖尿病の患者さんにおいて、
血糖自己測定が無意味だと断じるのは、
また誤りであるように思います。

血糖の変動が大きな事例や、
内服薬でも低血糖を来しやすいようなケースでは、
自己測定にインスリン治療時と同じような有効性が、
当然期待は出来るからです。

問題はどのような事例で自己測定が有用であるのか、
その点の検証にあるように思います。

この問題はまだ解決されてはいないのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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