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心血管疾患リスクと認知症発症との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診です。
明日11月3日は祝日のため連休の形となりますので、
受診予定の方はご注意下さい。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
認知症と14年前の心血管疾患リスク.jpg
2018年のJAMA Psychiatry誌に掲載された、
認知症の発症における心血管疾患リスクの関与についての論文です。

認知症の予防に有効な手段は何でしょうか?

現状その有効性が確認されているのは、
心血管疾患のリスク因子を管理することです。

具体的には、
肥満にならないように体重をコントロールし、
血圧や脂質、血糖値を正常に保つことで、
血管性認知症のみならず、
アルツハイマー型認知症の発症も、
一定レベル予防可能であることが分かっています。

ただし、それはまだ認知症に結び付く脳の変化が、
それほど進行していない場合の話です。

概ね40代から50代くらいの時期において、
体重や脂質、血圧や血糖を正常に保つことは、
その後の認知症の発症を予防することが確実です。

それでは、65歳以上くらいの年齢で、
同様のリスク管理を行うことは、
認知症の発症予防に結び付くでしょうか?

この点についてはまだ明確な結論が得られていません。

少なくとも認知症が発症した時点では、
生活改善の効果はそれほどないことはほぼ明らかです。

しかし、認知症というのは発症の15から20年前には、
既にその初期の兆候は、
脳には認められるという知見があるほど、
発症までに時間の掛かる病気です。

その間のどの時点までリスク因子の管理は、
意味のあるものなのでしょうか?

この問題を明らかにする目的で、今回の研究では、
フランスの3つの都市で65歳以上の一般住民を、
長期間観察した疫学データを活用し、
785例の経過中の認知症の発症事例を、
年齢などの条件をマッチさせた、
3140名のコントロール群と比較して、
経過中の認知症の発症と、
肥満や血圧、脂質や血糖との関連を検証しています。

認知症発症14年前の時点でのリスク因子が、
認知症の発症とどの程度の関連があるのかを、
主に検証している点が一番のポイントです。

その結果、
診断14年前の体格の指標であるBMIと血圧の数値は、
より低いほどその後の認知症の発症と結び付いていました。
コレステロールや中性脂肪の脂質の数値と、
認知症の発症との間には明確な関連はなく、
血糖値のみは診断14年前においても高いほど、
その後の認知症リスクの増加と結び付いていました。

つまり、診断の14年前においては、
もう既に認知症に結び付く変化は起こっていて、
その時点での血圧の低下やBMIの低下は、
その後の発症予防には、
結びつかない可能性が高いのです。
唯一血糖値に関しては、
認知症診断からその14年前までのいつの時点においても、
高いほど認知症リスクの増加と関連を持っていました。

これは降圧剤を使用して血圧を下げるような、
介入試験のデータとは違うので、
血圧を持続的に下げることの効果を、
否定している訳ではありませんが、
少なくとも平均的に認知症を発症する14年以上前の時点において、
血糖値が高いことは将来の認知症のリスクとして判断出来ても、
それ以外の指標をそのために使うことは、
あまり有効とは考えられない、
というようには言えるように思います。

おおざっぱに言って、
加齢に伴い発症する認知症の予防のためには、
50代くらいまでの時期には、
血圧や体重、脂質を正常に保つことが重要ですが、
65歳を超えたくらいの時期以降では、
その意義はあまり明確ではなく、
血糖の管理のみが重要になる、
というように考えて、
現状は対応することが良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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