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ベラパミルの1型糖尿病進行予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ベラパミルの糖尿病改善効果.jpg
2018年のNature Medicine誌のレターですが、
ベラパミルという頻脈性の不整脈や狭心症の治療薬が、
1型糖尿病の進行を予防したという、
最近注目をされている知見についての論文です。

1型糖尿病というのは、
主に小児期に発症して、
早期にインスリン分泌が高度に低下し、
インスリンの注射が、
治療にはほぼ必須となるタイプの糖尿病ですが、
その原因は膵臓の細胞に起こる自己免疫的機序による炎症が、
強く関与していると考えられています。

これまでにインスリン以外の多くの薬剤が、
1型糖尿病の進行予防のために使用されていますが、
現状満足のゆく進行予防効果が得られた薬剤はありません。

ところが、2012年にアメリカの研究グループが、
カルシウム拮抗薬のベラパミル(商品名ワソランなど)に、
動物実験のレベルで1型糖尿病による膵臓のβ細胞の壊死を、
予防する作用があることを発表しました。

ベラパミルというのは狭心症や頻脈性不整脈の治療薬で、
今では主に脈拍のコントロールに使用されている薬です。

研究によれば、
ベラパミルには細胞壊死を誘導する蛋白質である、
チオレドキシン相互作用蛋白質(TXNIP)の阻害作用があり、
これにより膵臓のβ細胞の壊死を、
食い止めているのではないかと推測されました。

今回の研究では、
実際に1型糖尿病を発症して早期の患者さんに対して、
ベラパミルもしくは偽薬を処方し、
12ヶ月までの治療効果を比較検証しています。

対象となっているのは、
3ヶ月以内に1型糖尿病を診断された32名で、
そのうちの26名が登録され、
患者さん本人にも治療者にも分からないように、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方はベラパミルを1日120から360mg使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
インスリン治療に上乗せする形で、
その後の経過を検証しています。

患者さんは18歳以上の事例が選択されていて、
小児発症ではありません。

すると、
ベラパミル投与群では偽薬群と比較して、
インスリン分泌の低下が有意に抑制されていて、
インスリンの使用量もより少なく抑えられていました。

つまり、ベラパミル使用により、
1型糖尿病の進行が予防されていたのです。

今回の研究は第2相臨床試験の位置づけで、
対象者は少数のため、
今後より多数例での検証を待ちたいと思いますが、
安価な古い薬に糖尿病の進行予防に繋がる、
新たな効果が確認された意義は大きく、
今後の進捗に期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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