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劇団チョコレートケーキ「ドキュメンタリー」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ドキュメンタリー.jpg
社会派の作風で緻密な舞台を上演し続けている、
劇団チョコレートケーキの新作公演が、
本日まで下北沢の楽園で上演されています。

これは11月に「遺産」という公演が予定されていて、
その2つの作品が交互に影響し合う、
という構成になっているようです。

この「ドキュメンタリー」は、
薬害エイズ事件を扱ったもので、
上演時間は85分ほど、
チョコレートケーキの劇団員である、
西尾友樹さん、浅井伸治さん、岡本篤さんによる、
3人芝居のスタイルです。

西尾さんが狂言回し的にフリーのジャーナリストを演じ、
浅井伸治さんがミドリ十字(劇中ではグリーン製薬)のMRを、
岡本篤さんがかつてミドリ十字に関わっていた小児科医を演じます。

メインはその小児科医の懺悔のような告白にあり、
観客と共に残りの2人のキャストは、
その話を聞く、というスタイルのシンプルな会話劇です。

これは僕も医者で、薬害エイズの時は医学部の学生でしたし、
ちょっと弱ったなあ、という感じの作品でした。

あまりに一部の情報に振り廻され過ぎではないかしら。

以下ネタバレを含む感想です。
鑑賞予定の方は鑑賞後にお読み下さい。

これは要するに731部隊の主力メンバーであった医者が、
ミドリ十字という会社を作ったので、
人体実験を平然と行うような体質が、
そこに脈々と生きていて、
それが薬害エイズ事件を生んだのだ、
そうした体質を改めなければ、
日本の医療に明日はない、
というようなお話です。

劇中ではミドリ十字の創業者である内藤良一氏(劇中では内田紘一)の、
部下であった医師を岡本さんが演じ、
その内幕を赤裸々に告白するという趣向になっています。

この医者のモデルになった人物が、
おそらくはいたのだと思われますが、
今の時点ではよく分かりません。
「ミドリ十字と731部隊」という本が参考になっているようなので、
古本で取り寄せることにしました。
ただ、まだ届いていないので未読です。

しかし、高齢の小児科医の戯れ言としても、
その台詞はあまりに酷くて、たとえば、
「小児科の開業医など、ほとんど風邪の子供しか診ないので、
楽な仕事だが、たまに診断に困るような患者がいて、
その時は解剖して内臓を見ればすぐ分かるのに、
という誘惑に駆られる(記憶違いはあるかも知れません)」
というような意味の台詞があり、
唖然とするような感じがありました。

こんなことをもし本気で発言した医者があるとすれば、
それはもう頭がおかしいだけなので、
そんな人の話をまともに聞くこと自体に、
何の意味もない、という気がします。

731部隊と薬害エイズを結びつけることに、
そもそも無理があると思うのです。
人間は急にこの世に出現するような存在ではないのですから、
こうしたことを言えば、
何だって関連のあることになってしまいます。
しかし、そうした考え方はあまりに強引ではないでしょうか。
日本の現代史をそうして単純化することは、
とても危険なことであるように思います。

薬害エイズ事件の時はもう医療には関わっていたので、
この問題についても当時の空気のようなものは知っています。
個人的には厚労省(当時は厚生省)と医師、製薬会社とが、
患者さんの生命に関わる意思決定を、
協力して行うということの難しさ、
非人間的な悪意というようなものではなく、
ことなかれ主義や無責任体質のようなものが、
その大きな部分を占めていたように、
個人的には思います。

今回の作品はあくまで次回作へのプロローグとしての側面が大きく、
731部隊の告発という意味合いが大きいのだと思いますから、
それはそれで良いと思いますが、
また是非別個の取材の元に、
出来れば「普通の」医者の意見なども聞いて頂いて、
「今の医療の問題」を、
ドラマとして取り上げて欲しいと思いました。

多分作り手の方やその情報源に、
少し偏りや誤解があるのだと思いますが、
医者という人種には多くの問題があるとは思いますが、
決してこのドラマに描かれているような性質のものでは、
それはないような気がするからです。

頑張って下さい。
応援しています。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「クワイエット・プレイス」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
クワイエット・プレイス.jpg
これは1950年代頃のユニヴァーサルやAIPが連発していた、
チープで世紀末的なSFホラーの世界を、
リニューアルしたようなB級SFホラー映画で、
こうしたものが好きなので、
まずは楽しく鑑賞することが出来ました。

お話はエイリアンに侵略された近未来が舞台で、
そのエイリアンというのが目を持たず、
音にだけ反応して、
物音がすると、
たちまち襲いかかってくる、
という設定になっています。

そのために、生き残った人類は、
何も音を立てないようにしてひっそりと生活しています。

と言っても、大仕掛けな話になる訳ではなく、
両親と3人の子供の一家が、
アメリカの田舎を逃げまわるだけ、
というような最小限度のお話になっています。

設定は正直かなり穴があるんですよね。
人間以上に聴覚が発達しているエイリアンなのですが、
その割には後半は少しくらい音を立てても、
小さな音なら大丈夫という感じになっています。
本当なら、人間の立てる音なら、
微細な音でも感知する筈ですが、
仮にそうだとすると、
多分多少息を潜めたところで無駄だと思いますから、
設定自体が成立しなくなってしまうのですね。

まあでも、こうしたB級映画では、
そのくらいはお約束で、
目を瞑って楽しむのが正解なのだと思います。

設定上前半は殆ど台詞はなく、
手話と字幕でストーリーは展開されるという、
サイレント映画的な趣向がミソで、
そこに音の効果が最大限に利用される、
というのがなかなか面白いのです。

低予算でエイリアンの登場シーンも、
最小限度しかないのですが、
最近の怪物やエイリアンが最初からじゃんじゃん登場する、
という派手な作品と比較すると、
その抑制されたタッチが、
むしろ新鮮に感じられます。
そのビジュアルも、
新味はないのですが、
なかなかリアルで悪くありませんでした。

そんな訳で、
上映時間も90分と昔の映画と同じ手頃な長さですし、
こうしたチープな娯楽作が好きな向きには、
決して悪くない1本だと思いました。

お好きな方のみにお薦めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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隔日のカロリー制限と運動の肥満改善効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日なのでクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療と産業医面談などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
1日おきのカロリー制限の効果.jpg
2018年のBMC Public Health誌に掲載された、
1日おきのカロリー制限と運動療法とを組み併せた生活指導が、
肥満症の患者さんの予後改善に与える影響を検証した論文です。

肥満症を食事指導と運動療法で改善しよう、
というのは現代社会において間違いなく必要な医療介入ですが、
その方法の詳細をどうするべきか、
と言う点についてはまだ結論が出ていません。

カロリー制限で体重を落とすのには、
一種の飢餓状態にしなくてはいけませんが、
そうした状態が長く続けば栄養失調になってしまいますし、
何よりそうしたダイエットを持続することは、
大きなストレスになるので長期の持続は困難です。

そこで一定期間のみ飢餓状態に近いダイエットをして、
それ以外の期間は比較的自由に食べてもらう、
という介入法が生まれました。

以前ご紹介した方法では、
週に2日間のみ極端な低カロリーにする、
というものがありましたが、
今回の方法は1日おきに週に3日は、
通常のカロリーの25%程度に当たる、
400から500キロカロリーに制限し、
それ以外の週に4日は基本的には自由に飲み食いをしてもらいます。
そして運動としては、
週に3回以上、
40分の筋力トレーニングと20分の有酸素運動を、
組み合わせたプログラムを専用のジムで行います。

韓国において45名の過体重もしくは肥満
(これはアジア基準で23.0以上が過体重です)
の対象者35名を登録し、
何も介入しないコントロール群、
隔日の食事制限のみ、週3回以上の運動のみ、
食事制限と運動の両方、の4群に割り付けて、
8週間の介入を継続します。

その結果、
運動のみ、食事のみでもコントロールと比較して、
体重減少効果と代謝の改善は認められましたが、
運動と食事をミックスした場合に、
よりその有効性は明確となりました。
具体的には体重減少効果は運動より食事で顕著でしたが、
インスリン抵抗性の改善などは、
単独ではあまり認められず、
運動と食事を組み合わせた場合のみで、
低下する傾向が認められていました。

今回のデータは例数が少なく、
まだ学会発表レベルのようにも思いますが、
食事制限自体は連日するのではなく、
隔日や週に3回程度の方が、
合理的でリスクが少ないことは間違いがなく、
今後はその方向にシフトしてゆくように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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少量の抗凝固剤の心不全治療効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
リバーロキサバンの心不全悪化防止効果.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
直接作用型経口抗凝固剤と呼ばれる薬剤を、
少量で他の抗血小板剤に上乗せした場合の、
心不全に対する効果と安全性を検証した論文です。

リバーロキサバン(商品名イグザレルト)は、
直接作用型経口抗凝固剤と呼ばれる薬の1つで、
通常心房細動と呼ばれる不整脈の脳卒中予防のため、
などに使用されています。

その場合の用量は1日1回で10mgか20mg(日本では15mg)です。

その一方で1日2.5mgを2回という少量を、
他のアスピリンなどの抗血小板剤と併用することで、
急性冠症候群や虚血性心疾患の患者さんにおける、
心血管疾患の予後を改善したというデータが得られています。

しかし、心不全の患者さんの予後を、
リバーロキサバン少量の上乗せ使用が、
改善するかどうかは明らかではありません。

そこで今回の世界32カ国628の専門施設が参加した臨床試験では、
3ヶ月以上継続する慢性心不全があり、
3週間以内に急性増悪により入院した患者さんを、
くじ引きで2つに分けると、
患者さんにも主治医にも分からないように、
一方はリバーロキサバンの少量を上乗せで使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
心不全の予後を比較検証しています。

対象者は5022名で、
観察期間の中央値は21.1ヶ月です。

その結果、総死亡と急性心筋梗塞および脳卒中を併せたリスクは、
リバーロキサバン群と偽薬群とで有意な差はありませんでした。
個別のリスクに関して見ると、
総死亡と心筋梗塞のリスクに関しては両群で有意差はなく、
脳卒中の発症リスクについては、
リバーロキサバン群で34%(95%CI: 0.47から0.95)、
有意な抑制効果が認められました。

このように、
心不全の急性増悪期において、
通常の治療に少量の直接作用型経口抗凝固剤を上乗せしても、
その予後にはトータルには明確な効果は得られませんでした。

ただ、事例によっては一定の有効性がある、
という可能性は否定出来ず、
この問題は今後研究を継続する必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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新規抗肥満薬ロルカセリンの有効性と安全性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日のため診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ロルカセリン.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
抗肥満薬のロルカセリンの有効性と安全性を検証した臨床試験の論文です。

肥満症は特に先進国においては、
重要な健康上の問題です。
肥満は内臓脂肪の増加から糖尿病や高血圧の原因となり、
動脈硬化を進行させ、
膝や腰を痛めて転倒や骨折などの原因ともなります。

生活改善による無理のないダイエットが、
肥満症のベストの治療であることは間違いありませんが、
それを補助する有効な治療薬の必要性も、
また同じように確かなことです。

今のところ明確に有効で安全な肥満症の治療薬は、
存在していません。

ただ、その候補となる薬には多くの種類があり、
使用出来る薬の選択肢には、
現状日本と欧米でかなりの差が付いています。

日本で現状健康保険の適応されている治療薬は、
マジンドール(商品名サノレックス)のみですが、
欧米では脂肪の吸収を抑制する薬として、
オルリスタット(商品名ゼニカル)が使用可能で、
更に食欲の抑制剤として、
2Cサブタイプのセロトニン受容体作動薬である、
今回のロルカセリンが、
アメリカでは2012年に既にFDAの承認を得ています。

日本ではオルリスタットは未発売で、
同様のメカニズムを持つ脂肪吸収抑制剤の、
セチリスタット(商品名オブリーン)は、
2013年に製造販売承認が取得されたものの、
その後薬価収載の審議の段階で異論が出て、
結局販売はされずに塩漬けで数年が過ぎた上、
2018年の7月に武田薬品が未発売のまま権利を導入元の海外企業に返還する、
という奇々怪々な経過を辿って未発売となっています。

現状発表されている情報によると、
体重の減少効果が約2%で心血管疾患の予防効果も確認されなかった、
という点が問題視されたようですが、
それがそれほど問題であるのなら、
その前に承認がなされているのは何故なのか、
重大な安全性への懸念などではないのですから、
発売後に再度検証するという選択肢はなかったのか、
色々と疑問の残る判断ではあります。

欧米で発売済みの抗肥満薬であっても、
心血管疾患の予防効果が明確な薬など、
ほぼないのが実際であるからです。
明らかにもっと問題の多い薬であるマジンドールが、
使用を継続されているのは何故でしょうか?

どうも何か表に出ていないような事情はありそうです。

閑話休題(それはともあれ)…

今回のロルカセリンはアメリカでは2012年に承認されていますが、
同種のメカニズムを持つフェンフルラミンという薬が、
過去に心臓弁膜症などの有害事象のために使用禁止となった、
という経緯があるため、
その心血管疾患の対する予後への影響については、
まだ疑問視する声がありました。

そこで今回の市販後の臨床試験においては、
心血管疾患の既往があるか、そのリスクの高い肥満の対象者を、
くじ引きで2つの群に分け、
本人にも治療者にも分からないように、
一方はロルカセリンを1日20ミリグラム使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
1年間の治療後にその心血管疾患に関わる予後を比較検証しています。
対象者は12000名です。

その結果、
治療1年の時点で、
ロルカセリン治療群の38.4%が5%以上の体重減少を認めたのに対して、
偽薬群ではその比率は17.4%に留まっていました。

そして中間値で3.3年の経過観察において、
心血管疾患の発症リスクや生命予後において、
ロルカセリン群と偽薬群に有意な差は認められませんでした。

このようにこうした抗肥満薬では初めて、
比較的長期の観察期間において、
その有効性と、
生命予後を含む心血管疾患の予後においての、
安全性が確認されたのです。

日本においても今後肥満対策は、
健康施策の大きな柱となることは間違いがなく、
勿論公正な審査で治療薬を承認することは、
重要であることは間違いがありませんが、
抗肥満薬の内外格差については、
今後早急に検証をなされるべきではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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母親妊娠中のグルテン摂取と1型糖尿病との関連について(2018年デンマークの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
グルテンと1型糖尿病.jpg
2018年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
小麦に多く含まれるグルテンという蛋白質と、
1型糖尿病の発症との関連についての論文です。

グルテンは小麦などに含まれる蛋白質で、
パンやパスタ、ピッツァなどのモチモチしているのは、
このグルテンの食感によるものです。

セリアックスプルー(Celiac Sprue)という病気があります。

これは白人に多く日本人には極めて稀な、
一種の自己免疫疾患で、
小麦蛋白に含有されるグルテンの成分が、
小腸の粘膜に刺激を与え、
そこに免疫反応が惹起されることで、
自分の身体の小腸上皮細胞を、
免疫系が攻撃するようになり、
小腸の炎症によりその機能が失われて、
重篤な吸収不良に至る、
という病気です。

HLA-DQ2/DQ8という遺伝子を持つ人に発症し易いとされ、
グルテンを食事から除去することにより、
通常症状が改善します。

このように、
体質によってグルテンが異常な免疫反応を惹起することは、
ほぼ間違いのない事実です。

もう1つグルテンと関連があると想定されている病気が、
1型糖尿病です。

1型糖尿病というのは5歳以下で主に発症する、
インスリンの分泌が高度に低下するタイプの糖尿病で、
その病因は膵臓の細胞に対する、
自己免疫機序による炎症であると考えられています。

この病気は欧米のライフスタイルに関連があると想定されていて、
その原因の1つと考えられているのがグルテンです。

高率に糖尿病になるネズミを利用した実験によると、
妊娠している母親のネズミを、
通常の食事ではなくグルテンを含まない食事で栄養すると、
通常の食事では子供のネズミの64%が糖尿病を発症するところ、
グルテン・フリーでは8%に抑制されたと報告されています。

ただ、これは敢くまで動物実験であるので、
人間でも同様の影響があるのかという点については、
まだ明確ではありません。

今回の研究は国民総背番号制を敷いているデンマークのもので、
91745名の女性の101042件の妊娠事例のうち、
妊娠中の食事調査が行われた70188件を対象として、
グルテンの摂取量と子供の1型糖尿病の発症リスクとの関連を検証しています。
最終的に対象となっているのは67565件の妊娠事例です。

食事調査によるグルテンの摂取量は、
平均で1日13.0グラム、
7グラム未満から20グラム以上まで分布していました。

平均で15.6年の経過観察中に、
0.37%に当たる247件で1型糖尿病が発症していました。
妊娠中の食事のグルテンの摂取量が、
毎日10グラム増加する毎に、
子供の1型糖尿病の発症リスクは、
31%(95%CI: 1.001から1.72)有意に増加していました。
グルテンの摂取量が7グラム未満と最も少ない群と比較して、
20グラム以上と最も高い群では、
子供の1型糖尿病の発症リスクは、
2.00倍(95%CI: 1.02から4.00)と、
これも有意に増加していました。

このように今回の大規模な疫学データにおいて、
グルテンの妊娠中の摂取量と、
お子さんの1型糖尿病の発症リスクとの間には、
動物実験と同様の関連が認められました。
ただ、これは食事調査のみのデータで介入試験のような厳密なものではなく、
データ自体信頼区間からは有意と言って良いか微妙なレベルです。
この問題は今後への影響も大きいので、
より厳密な方法での検証が、
急務であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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ほりぶん 第6回公演「牛久沼3」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ほりぶん牛久沼3.jpg
ナカゴーの怪人鎌田順也さんの別ユニット、
ほりぶんの第6回公演として、
「牛久沼3」が本日まで上演されています。

ほりぶんはワンピース姿の女性しか登場しない、
というお芝居を上演し続けていますが、
はえぎわの怪女優川上友里さんがメインで、
周囲も大暴れ上等の肉体派の皆さんが揃っているので、
ある意味ナカゴーよりラディカルでシュールな世界が展開されます。

今回の作品は2017年に第4回公演として上演された、
「牛久沼」のシリーズ第3作で、
前作は牛久沼の最後のウナギを釣り上げた親子が、
それぞれの理由でウナギを求める女性達と、
壮絶なウナギ争奪戦を繰り広げるというお話でした。

今回の続編は第1作から3年後という設定で、
今度は母親のために子供が1人で、
もう絶対にいないと思われていたウナギを釣り上げるのですが、
同じように因縁のある女性達が次々と出現して、
再び仁義なきウナギ争奪戦が繰り広げられます。

今回のメインは最強の敵と称される、
ナイロン100℃の菊池明明さん演じる「疲れ知らずさん」で、
もう妖怪と言って良いような怪演で、
大バトルが何もない素舞台で展開されるのです。

当日渡される資料には、
何とまだ上演すら未定の「牛久沼4」まで網羅した、
あらすじ集が付いていて、
鎌田さんの独特の拘りが感じられます。

本当に子供の空想のように、
牛久沼の世界が拡大されて行く様が面白く、
是非末永い上演を期待したいと思いました。

さて、鎌田さんの劇作は、
そのシュールで奔放な想像力はそのままに、
最近の作品ではドラマの部分で成熟度が増しています。
今回の作品でも、
主人公となった文子という娘が、
追っ手が迫っているにもかかわらず、
絶対に走らないという母親との約束を守り、
そのために却って危機に陥るも、
最後にはトラウマを克服して走り出す、
というドラマとしての縦筋が明確にあり、
母親との対話が練り上げられていることで、
その部分の説得力が増している、
と言う点が大きな特徴です。

こうしたドラマに説得力があり、
かつしっかりと笑いの要素もそこに散りばめられている、
と言う点に劇作としての成熟があり、
鎌田さんの世界が、
新たなステージに昇りつつあることが感じられました。

キャストのエネルギー全開の大暴れはいつも通りでしたが、
今回はやや粘着でウェットな芝居の人が多く、
やや腹にもたれる感じがあったのと、
あまりに体当たりで皆さん傷だらけなのが痛々しく、
特に菊池明明さんはそのとぼけたキャラが、
個人的には大好きであったので、
今回の捨て身の妖怪演技は、
さすがにちょっとなあ、と、
これも痛々しい感じを覚えてしまいました。

もう少し女優さんの美しさもいかした、
素敵な感じもあると良かったですね。
肉体派ばかりでは少しきついな、と感じました。

たとえばですが、
菊池さんは前半はもっと乙女チックに登場して、
後半で妖怪化しても良かったのではないでしょうか?

いずれにしても、
鎌田さん以外ではなし得ない唯一無二のお芝居で、
初見の方なら呆然自失を約束する怪作です。
是非体力を付けてご覧下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「プーと大人になった僕」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
プーと大人になった僕.jpg
ディズニーが熊のプーさんの後日談を実写映画化しました。

これはディズニーの作品としては、
趣味的な感じのする小品で、
作り手が作りたい作品を作った、
というその意味では愛すべき映画です。
そもそもヒットを狙った感じではなく、
公開後1週間の映画館もガラガラでした。

元々アニメ化されたプーさんは、
かなりアメリカナイズされたもので、
公開当時には原作者サイドから批判のあったようです。

それを意識したものかどうか、
今回の実写映画は、
原作通りにイギリスを舞台にしていて、
時代も1949年に設定され、
非常にノスタルジックな感じのする物語になっています。

原作は7歳のクリストファー・ロビン少年が、
ぬいぐるみのプーさん達との生活に、
別れを告げることで終わるのですが、
今回の映画はその場面から始まって、
その後大人になり仕事人間となってしまったクリストファー・ロビンが、
20年ぶりにプーとその仲間たちに再会する、
というドラマになっています。

ロビンがなくした仕事の書類を、
彼の娘とプーさん達森の仲間が、
届けようと旅をするのがクライマックスですから、
とてもとても地味なお話しなのですが、
原作のキャラクターを忠実に再現した細部には、
かなりのこだわりが感じられます。

ロビンは総合商社のカバン部門を指揮している、
と言う設定で、
お金持ちのバカンス用のカバンを作っていたのですが、
戦後すぐという時代で、
お金持ちもバカンスをするような余裕はなく、
カバンが売れなくなってしまいます。

それでボンボンの2代目社長(?)からは、
コストを20%削減しなければ、
カバン部門を廃止すると宣告されてしまいます。

困ったロビンは家族との約束を反故にして、
旅行もキャンセルしてその削減案の書類を作るのですが、
プーさんとその仲間が書類を失くしてしまうのです。

書類もなしに会社の会議に行ったロビンは、
果たしてどのようなプランを出すのでしょうか?

皆さんはどう思いますか?

要するに、
「家族でディズニーランドで遊ぼう。そうすれば経済も廻って上手くいくよ」
というディズニーに都合の良い結論になるのですが、
その道徳的な結論が、
にわかに首肯出来ないものの、
「なるほど、これが1つの今の時代の正解とされることなのか」
とそう思うと興味深くも感じます。

原作を知らない方には、
汚れたぬいぐるみがそのまま動くビジュアルは、
ちょっと異様に感じるかも知れません。
ただ、これが原作の通りなのです。

まあ、ぬいぐるみが本物の動物と一緒に、
森で楽しく暮らしているという物語を、
そのまま実写で表現する、
というのはかなり無理がありますよね。

童話をそのまま実写にするというのは、
今のような高度の技術をもってしても、
基本的に無理のあることなのかも知れません。

そんな訳でかなり観客を選ぶ作品だと思いますが、
ディズニーとしては本気で趣味に走ったと思える1本で、
人によってはかつての「不思議の国のアリス(アニメ版)」のように、
偏愛の対象となる作品となるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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プッチーニ「マノン・レスコー」(2018年ローマ歌劇場来日公演) [オペラ]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
マノンレスコー.jpg
ローマ歌劇場の来日公演の演目として、
プッチーニの「マノン・レスコー」が上演され、
その神奈川県民ホールの舞台に足を運びました。

プレヴォーの小説「マノン・レスコー」は、
オペラやバレエとして、
これまでに何度も劇化されています。

今上演されている中で最も古いのが、
フランスのオーベール作曲によるオペラで、
これは日本で上演されたことは、
本格的にはほぼないと思います。
海外で上演された録画がDVDなどで観ることは出来て、
それを観るとロッシーニに近い、
超絶歌唱連続の楽しい作品です。

次にフランスで作曲されたのがマスネによる「マノン」で、
デセイ様やネトレプコなどの名歌手が上演したことで、
最近は上演されることの多いヴァージョンです。
如何にもフランスオペラらしい、
楽しく情感や切なさにも満ちた素敵な作品で、
場が多すぎて、やや長く繰り返しの多い点が難です。
僕は新国立劇場で上演されたものと、
英国ロイヤルオペラで、
アンナ・ネトレプコが演じたものを生で聴いています。
ネトレプコ版は同じ公演を2回聴きましたが、
これはもう抜群でした。
大興奮!

そしてもう1つのオペラ版マノンが、
このプッチーニの「マノン・レスコー」です。

プッチーニのマノンは彼の出世作ですが、
ドラマを重視したより新しいオペラとなっていて、
音楽を利用した情景描写が非常に長いということと、
ダイナミックで膨らみのある感情表現が魅力です。

こちらもこれまで日本で上演される機会は決して多くはなく、
僕は2012年に新国立劇場で上演したものを1回聴いているだけで、
今回が2回目の機会です。

今回の上演は主役のマノンを歌った、
クリスティーネ・オポライスの初来日が目玉で、
相手役のグレゴリー・クンデも、
オテロなどを得意とする名テノールです。

正直僕の聴いた舞台は、
まだオーケストラと歌手とのコンビネーションが今ひとつで、
とても良いところがある一方で、
オケと声とのタイミングが合わなかったり、
声が消されるような部分も多く、
やや欲求不満の気味の出来であったように思います。

大柄で恰幅の良いクンデが、
純真な学生役というのもちょっと違和感があります。

オポライスはさすがの迫力で、
2幕の二重唱の部分など、
もの凄くエロチックで肉感的であることに驚きました。
ビジュアルも抜群の美しさです。

これでもう少し音と歌のバランスが良ければなあ、
とは何度も思いましたが、
これはもう舞台は生ものなので仕方がありません。

演出もセンスのあるもので、
トータルにはさすがのクオリティであったと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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新規インフルエンザ治療薬パロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ)の臨床試験データ [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ゾフルーザの臨床データ.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
インフルエンザの新薬である商品名ゾフルーザの、
発売前の臨床試験データをまとめた論文です。

インフルエンザの治療薬には、
世界中で広く使用されている、
オセルタミビル(商品名タミフル)、
吸入薬のザナミビル(商品名リレンザ)以外に、
使用が1回で済む吸入薬のラニナミビル(商品名イナビル)、
注射薬のペラミビル(商品名ラピアクタ)、
ファビビラビル(商品名アビガン)があります。

注射薬のイナビルは日本以外では殆ど使用されておらず、
注射薬のラピアクタは日本以外では、
重症時やハイリスク時のみの使用が一般的です。
アビガンはそれまでとはメカニズムの異なる治療薬で、
現状はパンデミック時など国がその使用を許可した場合のみ、
その使用が可能となる医薬品という特殊な位置づけとなっています。

そこに更に今回、
また新たなメカニズムを持つインフルエンザ治療薬として、
ゾフルーザが加わりました。

メカニズムから見ると、
タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタは、
いずれもノイラミニダーゼ阻害剤で、
感染した細胞内で増殖したウイルスが、
他の細胞に感染することを防ぐ仕組みの薬です。

一方でアビガンは、
感染細胞内でウイルスが増殖するのに必要な、
RNAポリメラーゼの阻害剤です。

そして今回のゾフルーザは、
アビガンとは別個の、
細胞内でウイルスが増殖するのに必要な酵素である、
キャップ依存性エンドヌクレアーゼの阻害剤です。

ゾフルーザは通常より早いペースで日本では承認が進み、
2018年の3月に発売されました。
当初はアビガンと同じように、
パンデミック時などの使用とする方針もあったようですが、
実際に発売されてみると、
特にそうした制限はなく、
製薬会社の担当の方のお話を聞いても、
現行どのような場合に使用するべきという指針はなく、
自由に処方して問題はないというお話でした。

この薬剤は感染細胞でのウイルスの増殖を抑えるので、
タミフルやリレンザより効果が迅速で、
体内で49から91時間という長い半減期を持っているため、
内服で1回のみの使用で充分という特徴があります。

今回発表された第3相臨床試験の結果では、
12から64歳のインフルエンザ症状の患者に対して、
ゾフルーザ使用群と、
タミフルを1日150mgの5日間使用群、
そして偽薬群の3群に分けて、
その予後を比較検証しています。
最終的に解析された人数は1064名で、
その8割は日本での登録者です。

その結果、
症状改善までに要する時間は、
偽薬で80.2時間であったのに対して、
タミフル群では53.8時間、
ゾフルーザ群で53.7時間となっていました。
つまり、ゾフルーザを使用することにより、
インフルエンザの発熱などの症状が、
タミフルと同様に1日程度短縮する効果があります。
ウイルスが検出されなくなるまでの期間は、
タミフルよりゾフルーザがより短くなっていました。

ただ、ゾフルーザの効果が減弱するような遺伝子変異も、
9.7%に認められていました。
仮にこうした変異のあるウイルスの感染に対して、
ゾフルーザをすると、
使用しない場合と比較して、
むしろウイルスの排泄に時間の掛かることが想定されます。

本来こうした薬剤の有効性は、
重症化予防や生命予後の改善効果などで判断されるべきですが、
通常健常者の感染の予後は良いインフルエンザの場合、
こうした臨床試験で当面の判断はせざるを得ず、
現状はその効果はタミフルと同等と、
そう考えるのが妥当であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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