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インフルエンザ生ワクチンと不活化ワクチンの比較(2018年カナダ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インフルエンザ生ワクチンと不活化ワクチンの比較.jpg
2018年のJAMA Pediatrics誌に掲載された、
インフルエンザの生ワクチンと不活化ワクチンとを比較した論文です。

現状日本で使用されているインフルエンザワクチンは、
皮下注射のタイプの不活化ワクチンですが、
海外では鼻からスプレーをする方法の生ワクチンも使用されています。

この生ワクチンはアメリカでは2003年には認可され、
ヨーロッパでは2011年に認可されて、
2011年以降に本格的に接種が開始されました。
導入されたのはアメリカ、カナダ、イギリスなどです。

ただ、その対象年齢や位置づけは国によっても異なっています。

アメリカは2014から2015年のシーズンには、
2から8歳の年齢層において、
不活化ワクチンより生ワクチンを優先して接種の方針としましたが、
2013年から2016年における有効性の検証により、
H1N1pdm09(2009年に流行した「新型」ウイルス)に対する効果が、
ほぼ無効であったという結果がまとまり、
2016年のシーズンでは「推奨しない」という判断になりました。
しかし、2018年の2月には、一転して、
2018年から2019年のシーズンにおいて、
再度生ワクチンを推奨するという方針を打ち出しています。

今回の研究が行われたカナダでは、
2011年から2013年には2から17歳で生ワクチンが採用され、
2014年から2016年には2から6歳で生ワクチンが採用されています。

このように生ワクチンと不活化ワクチンの有効性に、
どの年齢でどの程度の差があるのかについては、
まだ一定した結論が得られていません。

今回の研究はカナダにおいて、
2から17歳の年齢層における、
生ワクチンと不活化ワクチンの有効性の比較を、
検査で確定したインフルエンザに限って検証しているものです。

2012年から2016年の4シーズンにおいて、
インフルエンザ感染が疑われた2から17歳の鼻腔もしくは咽頭の検体、
トータル10779件に遺伝子検査を施行したところ、
3161件がインフルエンザウイルス感染と診断されました。
これをワクチン接種歴とその種類を聞き取りし、
検査の陰性例をコントロールとする手法で解析したところ、
2015から2016年のシーズンのB型インフルエンザ感染に関しては、
不活化ワクチンの方が生ワクチンより有効でしたが、
それ以外のシーズンの全てのウイルス型に対するワクチンの有効性には、
生ワクチンと不活化ワクチンとの間で、
有意な差は認められませんでした。

このように、
今回のカナダの解析においては、
生ワクチンと不活化ワクチンとの間に、
2から17歳の年齢層において効果の差は認められませんでした。

従って、この年齢層においては、
その使用のし易さやそのお子さんの健康状態などを勘案して、
どちらかを選択するという考え方が、
どうやら妥当であるように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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