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喘息治療における長時間作用性β2刺激剤の安全性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
LABAのステロイド併用の安全性.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
現在広く使用されている喘息治療薬の安全性を検証した論文です。

気管支喘息の治療の柱は、
吸入ステロイド剤です。

吸入ステロイド剤は喘息に伴う気管支壁の炎症を抑え、
呼吸状態を改善して、
喘息発作やその急性増悪を予防します。

これは多くの精度の高い臨床試験において、
実証された事実です。

吸入ステロイドと並んで、
長く喘息の長期管理に使用されていたのが、
長時間作用性β2刺激剤です。
これを略してLABAと呼んでいます。

LABAは吸入により持続的に気管支を広げ、
喘息の症状を改善する効果があります。
その一方で交感神経の刺激作用が持続することにより、
短時間作用性の薬と比較すれば軽微であるとは言え、
心臓に負担を掛け不整脈などを誘発することも想定されます。

LABAの安全性についてアメリカのFDAは2010年に、
LABAを気管支喘息の第一選択薬として使用するべきではない、
という見解を公表しました。

これはLABA単独の治療についてですが、
現状気管支喘息の吸入薬の多くは、
吸入ステロイドとの合剤となっています。
専門家の間でも、
この合剤の安全性には問題がないとする見解があったのですが、
FDAはステロイドとの合剤についても、
LABA単剤と同様の警告を表示するように指示していました。

2010年にFDAは、
ステロイドの単独の吸入剤と比較した場合の、
ステロイドとLABAの合剤の安全性についての臨床試験を、
各メーカーに施行するように指示をしました。

そして、その結果がほぼ確認されたとして、
2017年の12月に、
ステロイドとLABAの合剤の、
安全性についての警告を取り消す決定をしたのです。

今回の論文はその決定の根拠となった、
4つの臨床試験の結果をまとめて解析したものです。
主な対象となっている合剤は、
日本でも発売されている、
アドエアとシムビコート、
そして日本未発売のデュレアです。

その結果36010名の対象者をまとめて解析した結果として、
6ヶ月の治療期間における患者さんの予後には、
有意な差はないことが確認されました。
また、ステロイド単独の治療と比較して、
ステロイドとLABAの合剤による治療は、
喘息の急性増悪のリスクを、
17%(95%CI: 0.78から0.89)有意に低下させていました。

このように、
少なくとも半年程度の治療期間においては、
吸入ステロイドとLABAの合剤は、
吸入ステロイド単独の治療と比較して、
その予後を悪くすることはなく、
むしろ急性増悪のリスクについては、
より低下させるという可能性が示唆されました。

LABAの安全性は、
吸入ステロイドとの併用に限っては、
ほぼ実証されたと言って良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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