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心房細動の発症と個々のリスク因子による推測(フラミンガム心臓研究による解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
AFの生涯リスク.jpg
2018年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
心房細動の生涯発症リスクを計算した論文です。

心房細動は年齢と共に増加する不整脈で、
その存在は脳卒中や心不全のリスクを高め、
生命予後にも大きな影響を与えることが分かっています。

その生涯の発症リスクは、
40歳以上の男性においては17から26%、
女性では21から23%と推計されています。

ただ、実際にこの生涯リスクが、
年齢以外の血圧や喫煙などの心血管疾患リスクで、
どの程度の影響を受けて変動するものなのかについては、
あまり正確なデータがこれまでに存在していませんでした。

そこで今回の研究では、
アメリカにおける最も有名な疫学データである、
フラミンガム心臓研究のデータを活用して、
現在知られている心房細動のリスクと、
心房細動の生涯発症リスクとの関連を検証しています。

一般住民の55歳と65歳と75歳の時点での、
その後の生涯(95歳まで)の心房細動発症リスクが対象となり、
関連するリスク因子としては、
喫煙、飲酒量、BMI、血圧、糖尿病、心不全もしくは心筋梗塞の既往、
が検討されています。

個々のリスク因子を、
リスクなし、ボーダーライン、明確なリスクの3段階に分けていて、
喫煙は喫煙歴なしがリスクなしで、
喫煙の既往があるのがボーダーライン、
喫煙者が明確なリスクです。
BMIは25未満がリスクなし、25から29がボーダーライン、
30以上が明確なリスクです。
糖尿病は空腹時血糖で100mg/dL未満がリスクなし、
100から125がボーダーラインで、126以上が明確なリスクです。
アルコールは男性で週4単位以下、女性で週7単位以下がリスクなし、
それを超えるのが明確なリスクです。
血圧は上が120mmHg未満で下が80mmHg未満がリスクなし、
上が120から139で下もしくは80から89がボーダーライン、
上が140以上もしくは下が90以上か投薬治療中の高血圧が明確なリスクです。
心不全や心筋梗塞の既往については、
既往なしがリスクなしで、
既往ありが明確なリスクです。

55歳の時点で心房細動のない5338名の住民を解析した結果、
その時点以降の心房細動の生涯発症リスクは、
37.0%(95%CI: 34.3から39.6)と算出されました。
このリスクは女性より男性が高くなっていました。
リスク因子が全てリスクなしの場合の、
生涯リスクは23.4%(95%CI:12.8から34.5)であるのに対して、
ボーダーラインリスクが1つ以上あって明確なリスクはない場合には、
33.4%(95%CI: 27.9から38.9)となり、
明確なリスクが1つ以上ある場合には、
38.4%(95%CI: 35.5から41.4)と更に増加していました。
65歳時点と75歳時点で同様の解析をすると、
生涯リスクはより低くはなりますが、
同様の傾向が認められました。

このように心血管疾患リスクが増加するに従って、
心房細動の生涯リスクが明確に増加することが、
信頼性の高い疫学データで確認された意義は大きく、
心房細動の発症予防のためには、
まずはこうしたリスクの軽減が重要であると考えられます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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