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日照時間と急性心筋梗塞との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日からクリニックは通常の診療に戻ります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
日照時間と心筋梗塞リスク.jpg
2018年のJournal of the American Heart Association誌に掲載された、
急性心筋梗塞の発症と季節や日照時間との関係についての論文です。

急性心筋梗塞というのは、
主に心臓を栄養する冠状動脈のという血管の、
動脈硬化による変化を原因として、
狭くなった血管に血栓が詰まるなどして、
心臓の筋肉の一部に血液が流れない状態となり、
その部分の心筋の細胞が死んでしまう状態のことです。

ここで心臓の筋肉の一部ではなく全層が死んでしまうと、
心電図においてはST上昇という変化が見られます。
このためにこうしたタイプの心筋梗塞のことを、
ST上昇型急性心筋梗塞と呼んでいます。
最も典型的な心筋梗塞と言って良いのがこのタイプの梗塞です。

このST上昇型急性心筋梗塞は、
その発症時期に季節性があり、
冬の寒い時期に多く、夏は少ないという報告が、
以前から複数寄せられていました。
また、1日の中でも昼間に多く夜には少ないという違いがありました。

ただ、その原因についてはあまりはっきりしたことが、
分かっていませんでした。

今回の研究は、
経度も緯度も異なる世界中の7つの地域、
具体的には日本、中国、シンガポール、
オーストラリア、フィンランド、イギリス、イタリアにおいて、
季節や時間帯とST上昇型急性心筋梗塞の発症頻度との関連を、
比較検証するという、これまでにない性質のものです。

その結果、
日照時間が長く日差しが強い夏の時期には、
世界の地域に関わらず急性心筋梗塞は減少し、
昼夜の差は小さくなって、
他の季節より夜の発症が増えるという、
一種のサマーシフトが起こるという現象が確認されました。

ビタミンDは紫外線により合成されるため、
血液中のビタミンD濃度(25水酸化D濃度)は、
その日の日照時間と強く相関しているのですが、
このビタミンD濃度と急性心筋梗塞の夜間帯へのシフトとの間にも、
北欧のデータの解析において強い相関が認められました。

この事実は急性心筋梗塞の発症リスクのサマーシフトが、
日照時間と関連の深いことを強く示唆しています。

こうした現象が何故起こっているのかは現時点では不明ですが、
ビタミンDの関与も含めて、
今後急性心筋梗塞の発症メカニズムに直結した、
新しい知見の発見に結び付くことを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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