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寒いと何故風邪をひくのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
低温と風邪との関係.jpg
2007年のINT J TUBERC LUNG DIS誌のレビューですが、
何故気温が低いと風邪に罹りやすいのかについての、
これまでの知見をまとめたものです。

10年前のものなので、
これ以降の新知見があるのかも知れませんが、
検索した範囲ではあまりめぼしいものがありませんでした。
多分大したブレークスルーはないのでは、
という気がするのですが、
ちょっと自信はありません。

もし何かご存じの方がいれば、
是非ご教授頂きたいと思います。

さて、今は真冬で、
インフルエンザが猛威を振るっています。

一般的に言って、冬は風邪のシーズンです。
夏風邪というものもありますが、
インフルエンザも季節性と呼ばれる流行を示すようになると、
気温が低くなると流行することは、
科学的に証明するまでもなく、
皆さんが肌で感じている事実です。

しかし、
何故気温が低くなると風邪が流行るのでしょうか?

これが実はそれほどクリアに分かっていません。

まず気温が低い時には、
心血管疾患や呼吸器疾患の死亡率が高い、
というデータが存在しています。
イギリスで施行された大規模な疫学データによると、
冬の高齢者の死亡率は他の季節より30%余り上昇していました。
また別のヨーロッパの2都市の4年間のデータでも、
寒さは死亡リスクを増加させていました。

イギリスにおいて、
低温と上気道および下気道感染のリスクとの関連が、
報告されています。
概ね気温が5℃を下回ると感染のリスクは増加していました。
急性咽頭炎が気温が低い時に多いことも報告されています。
クループによる入院の統計でも、
低温時に多いことが報告されています。
急性扁桃炎などを起こすEBウイルスは、
低温の環境下でより増殖し、
低温下では細胞性免疫が低下していた、
というデータも存在しています。

低温下では気道感染症時の死亡率を、
増加させることも報告されています。
インフルエンザのパンデミック時に、
その死亡リスクの増加はより顕著であった、
という報告も存在しています。

身体を一時的に低温に曝すことで、
上気道感染症に罹りやすくなった、
という報告も存在しています。
ただ、これは別の研究では再現はされていません。

外傷後などに脳を損傷から守るために、
低体温療法が行われることがありますが、
その低温環境により、
肺炎などの感染症のリスクが増加することが報告されています。
一方で感染症は低体温療法では増加しなかった、
という報告も複数存在しています。

上記のようなデータからは、
低温下では免疫力が低下して、
それで感染が増加するという可能性が想定されます。

しかし、実験的な研究においては、
低温による免疫の低下や、
易感染性は証明されていません。

身体が健康な状態であれば、
寒冷の刺激により鳥肌が立ち、
身体は震えて熱を産生します。
手足など末梢の血管は収縮して、
身体の中心の温度を一定に保とうとするのです。
鼻の粘膜が低温に曝されることにより、
血流は低下してその防御力が低下し、
感染を起こしやすくなるという仮説もあります。
低温では虚血性心疾患や脳卒中は、
その温度差による影響や、
血流の低下によって悪化しやすいことは実証されているので、
それが免疫の低下にも結び付く、
という仮説もあります。

このように、
冬のような低温において、
上気道や下気道の感染に罹りやすくなり、
またその重症化や死亡率が増加することは、
ほぼ事実と考えて良いのですが、
その正確なメカニズムはまだ分かっているとは言えず、
免疫が低下するかどうかについても、
まだ結論が出ているとは言えないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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