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くしゃみを無理にこらえることのリスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
雪が残っていて滑りやすいのでご注意下さい。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
あくびこらえによる喉頭破裂.jpg
2018年のBMJ Case Rep誌に掲載された症例報告で、
鼻と口を押えて、無理矢理くしゃみをこらえることで、
咽喉(咽頭)に穴が開いたという、
ビックリするような事例です。

くしゃみや咳は体の中にある異物を、
外に押し出すような一種の反射ですが、
大きな音を立てて、
周りにも不快な印象を与える行為でもあるため、
状況によっては、
出かかったくしゃみや咳を、
口や鼻を閉じて無理矢理に出ないようにこらえる、
という行為もしばしば行われることがあります。

僕自身もくしゃみや咳が連発するのは嫌なので、
時々そうしたこらえ方をしています。

ただ、無理矢理にこらえると、
身体の中の圧力が、
一時的にはかなり高まっているのを自覚します。

こうした無理をして、
何か身体に弊害は生じないのかどうか、
ちょっと不安に感じることも確かです。

今回報告されたケースは、
それ自体は極めて稀なものですが、
34歳の男性が鼻と口を塞いでくしゃみを我慢したところ、
その後で首や背中が膨らんだような違和感があり、
声の変化と物を飲み込む時の痛みがあったため、
救急外来を受診した、というものです。

こちらをご覧ください。
あくびこらえによる喉頭破裂1.png
患者さんの救急受診時のレントゲン画像ですが、
黒い矢印の部分は後咽頭と呼ばれる咽喉の後ろ側に、
本来はない気腫が出来ている所見で、
白い矢印は咽喉の前方の皮下組織に、
矢張り気腫が出来ている所見です。

これはつまり、
くしゃみを無理にこらえたことにより、
咽喉の一部が裂けて破れ、
そこから空気が漏れ出した、
ということを示しています。

次にこちらをご覧ください。
あくびこらえによる喉頭破裂2.png
同時に撮影されたCTの画像ですが、
レントゲンよりクリアに、
気腫となった部位が同定されています。

激しい嘔吐などに伴って、
食道に穴が開くというケースがあることが報告されていますが、
食道には特に問題はないようです。

気腫の範囲から、
後咽頭の梨状窩と呼ばれる部分に、
穴が開いた可能性が高いと考えられました。

患者さんは抗生物質の使用と、
経口摂取は中止して経鼻のチューブからの栄養補給を行い、
保存的な治療で経過を見ました。
1週間後には気腫は吸収され、
2か月後のフォローでも再発や合併症を認めませんでした。

これは極めて稀な事例として報告されていますから、
くしゃみや咳をこらえること自体が、
害があるとは言えないのですが、
鼻と口を塞いでくしゃみをこらえることは、
咽頭の圧力を不必要に高め、
元々筋肉の裏打ちがなく弱い部位である梨状窩に、
穴が開くような危険を高めることは事実なので、
なるべく行わないことが安全とは言えるようです。

くしゃみや咳は、
無理にこらえずに出してしまう方が間違いがないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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