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大腸癌の予後と喫煙との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
大腸癌の予後と喫煙.jpg
今年のAnnals of Oncology誌に掲載された、
喫煙と禁煙が大腸癌の予後に与える影響についての論文です。

喫煙が多くの病気のリスクとなっていることは、
多くの疫学データで実証されている事実です。
その中には大腸癌もあります。

以前発表されたメタ解析の結果では、
非喫煙者と比較して喫煙者では、
トータルな生命予後が26%低下するとされています。
ただ、禁煙をした以前の喫煙者では、
どの程度そのリスクに差があるのか、
といった事項については、
あまり明確なことが分かっていませんでした。

そこで今回の研究では、
禁煙してからの期間と大腸癌の予後との関連に、
主なターゲットを絞って、
14の前向きコホート研究をまとめて解析するメタ解析の手法で、
この問題を検証しています。

対象は14の臨床研究の個人データ、
トータル12414名の大腸癌の患者さんです。
大腸癌の生命予後についての観察期間の平均は5.1年です。

その結果、
観察期間中に5229名が死亡しており、
そのうちの3194名は大腸癌が原因でした。

非喫煙者と比較すると、
診断の時点での喫煙者は、
総死亡のリスクが1.29倍(95%CI; 1.04から1.60)、
診断の時点では禁煙していたかつての喫煙者も1.12倍
(95%CI; 1.04から1.20)それぞれ有意に増加していました。

診断の時点での喫煙者と比較して、
その時点で10年以上禁煙していたかつての喫煙者は22%
(95%CI; 0.67から0.85)、
禁煙期間が10年未満のかつての喫煙者は22%
(95%CI; 0.69 から0.88)、
それぞれ総死亡のリスクが有意に低下していました。

大腸癌による死亡のみについて見ると、
10年以上禁煙をしていた患者さんでは、
死亡リスクが24%(95%CI; 0.67から0.85)有意に低下していましたが、
禁煙している時間が10年未満では、
死亡リスクの有意な低下は認められませんでした。
大腸癌の進行度と喫煙との関連については、
データが不充分な物が多く、
明確な関連は得られませんでした。
喫煙と大腸癌の部位との関連では、
結腸癌より直腸癌において、
より明確な関連が認められました、

このようにそれほど明確とまでは言えないものの、
禁煙から10年以上が経過すれば、
大腸癌による死亡リスクは有意ではなくなるので、
大腸癌の予後を改善するという意味合いからも、
1日でも早い禁煙を、
喫煙者には促すことが必要だと言って良いように思います。

これは蛇足ですが、
この論文が代表的な医療サイトの1つに紹介されているのですが、
その内容が明らかに誤っていました。

大腸癌の診断後に禁煙すると、
その予後が改善する、という内容になっていて、
それが本当ならビックリですが、
常識的に考えて5年程度の観察期間で、
その時点で禁煙した場合と喫煙を続けた場合で、
癌の生命予後にそれほどの違いが生じるとは考えにくいと思いますし、
それだと禁煙期間を10年未満と10年以上で分けたことと矛盾します。
実際には癌と診断もしくは登録された時点で、
それ以前の禁煙期間がどの程度あったのかを比較しているのです。

医師のコメントが複数寄せられていますが、
指摘しているものは1つもないので、
コメントをされた皆さんも1人も原文は読まれていないようです。
(2017年12月25日午前6時11分確認)

このサイトの署名記事は、
出展は論文以外記載されていないので、
論文の要約のみのソースであるようなのに、
海外の医療ニュースの引用のように、
研究者の発言のようなカギ括弧の記載をしているなど、
内容や様式にかなり問題があるように個人的には思います。

皆さんもくれぐれも、
こうした記事を鵜呑みにはされないで下さい。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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