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URASUJI 2017「ちんもく」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日二本目の更新も演劇の話題です。
それがこちら。
ちんもく.jpg
元BARBEE BOYSの杏子さんと、
マツコ・デラックスの元ネタのような深沢敦さんがタッグを組み、
松村武さんの作・演出で、
歌あり踊りあり殺陣ありの、
仕事人シリーズのパロディ芝居が、
URASUJIと題されて2005年から不定期に上演され、
上演の度に人気を集めています。

僕はあまりご縁がなかったのですが、
前回の2015年は行きたいな、
と思っているうちに終わってしまったので、
今回は初めて実際に足を運びました。

今回は「ちんもく」という題名で、
今年スコセッシ監督が映画にしたことで話題になった、
遠藤周作の「沈黙」が元ネタになっています。
まあ、原作と言うより映画版が元ネタです。

杏子さんや池田有希子さん演じる仕事人が、
長崎で迫害されているキリシタンを助けるために、
長崎奉行と対決し、
実は奉行の側は、
深沢敦さん演じる化け猫などに乗っ取られている、
というお話です。

懐メロ歌謡が上手い具合に差し挟まれて、
歌合戦みたいになるのがなかなか良い感じです。
トータルには劇団新感線の昔のネタ物に近いお芝居で、
今はもうスズナリのような小さな小屋で、
新感線がこうしたお芝居をするようなことはありませんから、
楽しく贅沢な気分に浸ることが出来ました。

ただ、今回は元ネタがかなり暗い話で、
真面目な松村さんは、
かなり元ネタの設定を活かして、
「神の沈黙」みたいな神父の長台詞まで、
そのまま入れているので、
ちょっと重すぎる気もしました。

キャラも藤田記子さんの大暴れなどは、
勿論楽しいのですが、
キャラの中だけで完結してしまうような感じがあって、
物語の構造をかき乱すには至らないので、
その点もやや物足りなく感じました。
キリシタンの踏み絵を利用して、
踏み絵のタップダンスになるという面白い趣向があるのですが、
もっと面白くなりそうで、
なんとなく消化不良に終わっていました。

そんな訳で大満足という感じではなかったのですが、
スズナリにしては前方の客席はゆったりしていて落ち着けましたし、
とても贅沢で楽しい気分を味わうことが出来ました。

お薦めです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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劇団チョコレートケーキ「熱狂」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

今日は祝日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
熱狂.jpg
劇団チョコレートケーキが、
ナチス・ドイツの歴史を描いた連作のうちの2作品を、
連続上演の形で再演しました。
そのうちの「熱狂」に足を運びました。

もう1本の「あの記憶の記録」と、
合わせ鏡のようになっている連作なので、
出来れば両方観劇したかったのですが、
丁度レセプト作業が厳しくて、
結局「あの記憶の記録」の方は断念しました。

この「熱狂」はナチス・ドイツが、
まだ弱小の政治団体としてスタートを切ってから、
ミュンヘン一揆などの何度かの挫折を経て、
ついにヒットラーが国会で首相に就任するまでの出来事を、
ナチス親衛隊に入隊する浅井伸治さん演じる、
ナチス党員の若者を狂言回しとして描いています。

この人物のみが架空の人物で、
それ以外はヒットラー本人を含めて、
実在のナチの大物達を、
全員男性の8人の役者が演じます。

ナチスの戦争前の時期を描いた日本の戯曲と言えば、
三島由紀夫の「わが友ヒットラー」が有名で、
これはヒットラー、レーム、クリップ、シュトラッサーによる4人芝居です。
この「熱狂」でも触れられる、
ヒットラーの親友で一番の同士でもあった突撃隊長レームを、
ヒットラーが粛正しなければならなかった心理を、
三島流に描いたもので、
その作品の中ではヒットラーとレームは、
同性愛のカップルのように描写されています。

それから最近では三谷幸喜の「国民の映画」が、
もう少し時代の下った開戦後の時期に、
ナチの宣伝相ゲッペルスとその夫人を主人公として、
宣伝映画の制作に、
時の芸術家達が巻き込まれ利用される様をコメディで描き、
三谷さんならではの鋭い視点と、
抜群の構成力が素晴らしい優品となっていました。
ここではナチの高官として、
ゲッペルス以外にヒムラーとゲーリング元帥が登場します。

今回の「熱狂」は、
「わが友ヒットラー」の影響は受けていると思うのですが、
レームを粛正した「長いナイフの夜事件」は敢えて描かず、
狂言回しの主人公に「その後の出来事」として、
語らせるにとどめています。

その代わりにレーム以外のゲッペルスやシュトラッサー、
ゲーリングなどによるヒットラーを核にしたナチス内部の権力闘争を描き、
その中でヒットラーが独裁者としての地位を、
確立するまでを濃厚な会話劇として描いています。

これは矢張り良いですよね。

「悪」の魅力ということである訳ですが、
善玉より権力闘争は悪玉揃いの方が盛り上がりますし、
ゲッペルスにヒムラー、ゲーリングにヘス、レームと、
本当に魅力のある怪物が揃っているので、
これはもう面白くない訳がありません。

キャストも滑舌が悪い役者さんが多いのがやや残念ですが、
それぞれに気合いを入れた役作りをしているので、
その造形にはなかなか趣があります。
ラストずらっと舞台前方に揃うと、
これはもう歌舞伎の「白浪五人男」を思わせるようで、
思わず掛け声を掛けたくなるような素敵さがあります。
ゲーリングとゲッペルスが僕は特にお気に入りです。
髭のないヒットラーを演じた西尾友樹さんは、
あまりにポピュラーなキャラなので、
正直かなり損な役回りですが、
内面で演じきった感じがあって、
なかなかの芝居だったと思います。

こういう物語は悪の礼賛のように取られかねないので、
かなりリスクのある素材ですが、
ラストには狂言回しの主人公による、
その後の悲劇の説明を入れて、
更にもう1本の悲劇を扱った作品と同時上演することで、
その危険を回避した計算も巧みだと思います。

ただ、この作品の魅力は、
矢張り描かれた「悪の魅力」にこそあることは、
間違いはないのだと思います。

今日は後でもう1本演劇の記事をアップする予定です。

それでは一旦失礼致します。
石原がお送りしました。
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