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HbA1cが冬に高いのは何故か? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
HbA1cと季節.jpg
2009年のJournal of Diabetes Science and Technology誌に掲載された、
季節により血糖コントロールの指標が変動する、
という以前から指摘されている現象を、
多角的に検証したものです。

この現象についての論文はこれ以降も幾つか出ているのですが、
あまりこれ以上その原因に踏み込んだものはないようです。

HbA1cというのは前2か月くらいの血糖の高さを示す検査値で、
糖尿病のコントロールの指標としては国際的に高く評価され、
それを7%以下とすることが、
多くのガイドラインで糖尿病コントロールの目標と記載をされています。

このように重要な指標であるHbA1cですが、
実は夏に低く冬には高くなるという季節変動が、
1985年以降複数報告されています。
最初の報告は日本発のものです。
その後台湾やスウェーデン、デンマーク、
イギリスやアメリカからも同様の報告が寄せられています。

ただ、これが気温の差による変動であるのか、
それとも寒い季節には運動量が減るなどの、
温度以外の環境変化によるものなのか、
はたまたインスリン抵抗性や血糖を上昇させるホルモンなどの、
身体の変化によるものなのか、
というようなメカニズムについては、
諸説があってまだ確定的な結論に至っていません。

今回ご紹介する論文では、
シンガポール、オーストラリア、カナダ、アメリカという、
緯度や環境の異なる4つの地域において、
2年間糖尿病の患者さんのHbA1cの値を計測し、
季節や気温と数値の変動との関連を検証しています。

オーストラリアという南半球の地域が含まれているのがポイントです。
これまでの研究はほぼ全て北半球のものであったからです。

その結果、
北半球の地域では気温の低い冬に、
南半球のオーストラリアでは矢張り気温の低い夏に、
HbA1cは数値が上昇していました。
その変動の幅は、年間の気温差が大きい、
アメリカのウィスコンシン州でもっとも大きく、
平均で0.4%に達している一方、
年間の温度変化が最も少ないシンガポールでは、
平均で0.1%程度にとどまっていました。

要するに今回の検証においては、
HbA1cの季節変動は、
気温の変動に最も良く相関していて、
気温変化が直接的に血糖変動に関連している可能性が高い、
ということが言えそうです。

そのメカニズムについては、
まだはっきりと解明はされていないのですが、
他の条件が一定であっても、
気温が低い時期には少しHbA1cが高くなるのは通常のことで、
その差に振り回されることは賢明ではない、
ということは間違いがないようです。
また、糖尿病の治療をしていて冬場にコントロールが良好である時には、
夏場の低血糖にはより注意が必要である、
ということも言えそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

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