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総合ビタミン剤の心血管疾患予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
総合ビタミン剤の心血管疾患予防効果.jpg
今年のthe Journal of Nutrition誌に掲載された、
総合ビタミン剤の健康への効果についての論文です。

総合ビタミン剤のようなサプリメントは、
アメリカから入って来たものですが、
日本でも使用者は増加しています。
本家のアメリカでは人口の3分の1以上が、
総合ビタミン剤を最近飲んだことがある、
という統計があるようです。

ビタミンというのは確かに、
身体で合成されない成分なので、
その不足により多くの病気が起こります。
逆に過剰であると、
それが病気の原因となることもありますが、
総合ビタミン剤というのは多くのビタミンの成分を、
少量ずつ混ぜたものですから、
そうしたリスクは殆どないと考えられる反面、
その効果は欠乏している少数の人に、
限定されるのではないか、
というのが一般的な考えではないかと思います。

ただ、そんなことでは、
ビタミン剤を売るメーカーとしては困るので、
何とかそれ以外の付加価値を実証しようと、
疫学の研究者のお尻を叩いて、
データを取らせている、
というのが実情のように思います。

一方で研究者としては、
非常に多くの人が、
実際にはこうしたサプリメントを使用しているので、
仮にそのことによる弊害や良い影響があれば、
それは非常に大きなインパクトを持つ物なので、
メーカーから尻を叩かれることがなくても、
意義のある研究であることは間違いがないのです。

総合ビタミン剤の心血管疾患の予防効果を検証した臨床研究では、
男性の医師を対象としたPHSⅡと呼ばれる臨床試験が、
対象は男性のみですが、
二重盲検の介入試験という厳密な方法を取り、
7000人を超える人数のビタミン剤群と偽薬群を登録して、
10年以上観察した大規模なものとして有名です。

その結果は2012年のJAMA誌に掲載されました。

それがこちら。
総合ビタミン剤の予防効果(JAMA).jpg
平均の観察期間は11.2年で、
偽薬と比較して総合ビタミン剤を継続して使用していても、
心血管疾患の発症や死亡のリスクに、
トータルでは差はありませんでした。
個別の解析では、
唯一心筋梗塞による死亡リスクのみが、
総合ビタミン剤群で39%のリスク低下を示しました。
ただ、HRの95%CIは0.38から0.995ですから、
それほどクリアな結果ではありません。

今回の研究結果は、
基本的に同じ対象の疫学データの解析なのですが、
登録時に総合ビタミン剤を使用していたか、
そうでないかで分類し、
その後平均で12.2年の観察期間中の、
心血管疾患の発症と死亡のリスクを比較しています。

すると、
基本的には未使用との間で差はなかったのですが、
心臓のカテーテル治療のリスクについては、
総合ビタミン剤使用群で、
14%のリスクの低下が認められました。
また、
登録時に20年以上総合ビタミン剤を使用している人のみで解析すると、
未使用と比較して44パーセントの発症リスクの低下が認められました。
ただ、これはかろうじて有意になった、
という感じのかなり厳しいものです。

要するに、
様々な手法を用いて総合ビタミン剤の効果を検証したのですが、
それほど明確に心血管疾患を予防する、
というような結果は得られなかったのです。

ただ、はっきりと言えることは、
総合ビタミン剤を数十年飲むことによる、
有害な作用というのは全く認められず、
その安全性は確立している、
ということです。

場合により虚血性心疾患に対しては、
若干の予防効果が、
数十年という長期の使用において、
解析によっては認められるのですが、
それは他の関連する生活習慣との関連を、
除外することは難しいので、
まあ「悪くないかもね…」
というくらいで判断するのが妥当なように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。