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ダパグリフロジンの心疾患における有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ダパグリフロジンの効果NEJM.jpg
2019年のCirculation誌に掲載された、
新しい糖尿病治療薬の心筋梗塞後の患者さんにおける有効性を、
検証した論文です。

2型糖尿病の飲み薬としては、
メトホルミンが世界的に第一選択薬ですが、
その単独の治療で十分な血糖コントロールが達成されない場合には、
DPP4阻害剤やピオグリタゾン、
SGLT2阻害剤やSU剤などの単独もしくは組み合わせての上乗せが、
治療として考慮されます。

現実的にはこのうちの3剤以上の併用も、
決して稀なことではありません。

これらの薬剤のうち、
現時点で最も新しいのは、
尿へのブドウ糖の排泄を促進する作用を持つ、
SGLT2阻害剤で、
最近血糖値を低下させるばかりではなく、
心血管疾患のリスクの低下や、
生命予後の改善に関する有効性を示すデータが、
複数報告されて非常に注目を集めています。

SGLT2阻害剤には多くの薬剤が存在していますが、
その全てが同じような有効性を確認されている、
という訳ではありません。

最も信頼のおけるデータがあるのは、
エンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)で、
次にデータが多いのがカナグリフロジン(商品名カナグル)ですが、
こちらは糖尿病性壊疽が治療群でより多かった、
というような安全上の危惧を感じさせる報告もあります。
ダパグリフロジン(商品名フォシーガ)も広く使用されている薬ですが、
その心血管疾患の予後改善効果は、
今のところ心血管疾患の既往があるような集団でのみ確認されています。

そのダパグリフロジンについての、
大規模臨床試験の結果をまとめた論文が、
2019年1月のthe New England Journal of Medicinen誌に掲載されています。
それがこちらです。
ダパグリフロジンの心筋梗塞後の効果.jpg
この臨床試験においては、
心血管疾患の既往があるかそのリスクのある、
2型糖尿病の患者さんトータル17160名を対象として、
ダパグリフロジンの治療効果を偽薬との比較で検証しています。

その結果、
トータルでは心血管疾患のリスクを、
ダパグリフロジンは有意に低下させませんでした。
ただ、心不全による入院のリスク単独では、
27%(95%CI:0.61から0.88)有意に低下していました。

そこで今回ご紹介する論文では、
同じ大規模臨床試験のサブ解析として、
心筋梗塞を起こした患者さんに絞って検証を行ってます。

その結果、
心筋梗塞の既往のある患者さんは3584名で、
その患者さんに限って解析すると、
ダパグリフロジンの使用はその後の心血管疾患のリスクを、
16%(95%CI: 0.72から0.99)有意に低下させていました。
このリスク低下は、
心筋梗塞の既往のない患者さんでは見られませんでした。

正直これはやや微妙な結果で、
矢張りトータルに見ると、
SGLT2阻害剤の現時点の第一選択は、
エンパグリフロジンかなあ、というようには思いますが、
心疾患や心不全においては、
ダパグリフロジンの有効性がより高いという今回の結果は興味深く、
今後の知見の蓄積を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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