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谷賢一「2011年:語られたがる言葉たち」(福島三部作・第三部) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2011語られたがる言葉達.jpg
福島原発事故に至った時代を描いた、
谷賢一さんの福島三部作が、
今池袋で一挙上演されています。

この作品は緻密な取材を元に、
福島の出身でもある谷賢一さんが、
3つの時代の物語として、
福島原発事故を3つの連作の芝居にしたもので、
僕は以前第一部の「1961年:夜に昇る太陽」は観ていて、
今回は第三部の「2011年:語られたがる言葉たち」に足を運びました。

本当は第二部の「1986年:メビウスの輪」も観たかったのですが、
ちょっと時間が取れませんでした。

ただ、今回第三部を鑑賞して、
とてもとても素晴らしかったので、
無理しても第二部も観ておきたかったな、
とそれだけでは残念でなりません。

帰りにはパンフレットと3作品全ての台本を買いました。

この連作はまず構成の勝利という感じがします。

福島原発事故を福島の悲劇として描くのに、
原発導入のきっかけとなった1961年と、
チェルノブイリ原発事故が起き、政治も揺れていた1986年、
そして原発事故の2011年の3つの時代で描く、
という発想が秀逸です。
今回の第三部も原発事故の年を舞台にしながら、
その年の12月に時間を取っています。
これもとてもクレヴァーな設定だと思います。
事故が少し距離を持って語られるようになり、
それでいて当事者にとっては生々しい現実でもあるという、
最も複雑な思いの交錯する時間であったからです。

そして、現実に谷さんが取材された、
双葉町の元町長をモデルとした一家を主軸に据え、
一種の家族年代記としての設定も付加しています。

この辺りとても古典的な歴史ロマンの設定を、
組み入れている点も面白く、
それが古典的な風格をこの作品に与えています。

第一部もとても面白かったのですが、
犬を擬人化してミュージカル仕立てにしたりと、
ちょっと小劇場テイストの趣向が、
せっかくの作品のリアルな重厚さを、
減殺しているようなきらいはありました。
(初演時の感想です。今回は観ていません)

その点今回の第三部は題材のせいもあるでしょうが、
ぐっとシリアスで、
一部に死人を戯画的に出したりという、
小劇場の諧謔的趣向があるのですが、
それほど鼻につくようなことはなく、
実際に取材された現地の生の声を主体にして、
メディアのありかたに切り込んだ台本の完成度は素晴らしく、
役者も熱量のある芝居で舞台をもり立てていました。

特にずっと語ることを拒んでいた男が、
震災当日の出来事を語る場面と、
主人公である元双葉町町長の弟の独白は、
とても感動的で心に残りました。
最近涙腺が緩いのでグズグズに泣いてしまいました。

とても感動的で考えさせる素晴らしい舞台で、
濃密で目を離せない2時間の、
最近では希有な演劇体験が皆さんを待っています。
是非にとお薦めしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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