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脂肪細胞と終末糖化産物受容体との関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
脂肪細胞と終末糖化産物.jpg
2019年のCell Reports誌に掲載された、
終末糖化産物と脂肪細胞との関連についての興味深い報告です。

終末糖化産物(AGEs)というのは、
蛋白質が糖化反応により糖と結合して生じる物質で、
一種の変性した蛋白質です。

糖尿病では血糖値が増加することにより、
この終末糖化産物が増加します。
血糖コントロールの指標として測定されるHbA1cというのは、
血液のヘモグロビンが糖化した物質の割合のことです。
この終末糖化産物は細胞の老化や炎症の発生に大きな影響を与え、
糖尿病の血管合併症の原因であるとも考えられています。

また、喫煙は終末糖化産物を増やしますし、
動物性の脂肪を加熱すると終末糖化産物が増えるので、
高脂肪食やお菓子、加工食品などによっても、
体内で増加します。

このように多くの病気と関連する終末糖化産物ですが、
肥満との関連については、
これまでそれほど明確なことが分かっていませんでした。

血液中で終末糖化産物が増えると、
その結合する受容体も増加します。
その受容体の1つであるRAGEという蛋白質は、
脂肪細胞において多く発現しています。

今回主にネズミの脂肪細胞を使用した実験で明らかになったことは、
脂肪細胞で増えたRAGEに終末糖化産物が結合すると、
それが細胞内の代謝を調節して、
脂肪の燃焼を強力に阻害します。

つまり、終末糖化産物はRAGEを介することによって、
脂肪細胞を「燃焼出来ない状態」に変える働きがあるのです。

今回の研究において、
このRAGEの遺伝子を働かなくしたネズミを作成したところ、
そのネズミは高脂肪食で飼育しても、
肥満になりませんでした。

つまり、
肥満で血液中の終末糖化産物が増加した状態では、
脂肪を燃焼する働きがないので、
脂肪はどんどんたまる一方になって、
これが肥満の患者さんがやせることが難しい、
大きな要因であると想定されます。

仮にこれが事実であるとすれば、
RAGEの阻害剤を開発することにより、
脂肪の燃焼を正常に戻し、
肥満の患者さんを無理なくダイエットする、
というようなことが可能になるかも知れません。

最近新しい知見の多いこの分野ですが、
次のブレイクスルーや画期的な新薬は、
この辺りから生まれる可能性が高そうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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