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カフェインの内臓脂肪燃焼効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
カフェインの脂肪燃焼効果.jpg
2019年のScientific Reports誌に掲載された、
カフェインの脂肪燃焼効果を検証した論文です。

脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。

白色脂肪細胞は脂肪をため込む細胞で、
その一方で褐色脂肪細胞は、
脂肪を燃焼させて熱を発生させる細胞です。

褐色脂肪細胞には、
UCP1(ミトコンドリア脱共役蛋白質1)という、
一種のエネルギー変換器のような蛋白質があります。

身体の細胞はブドウ糖などを代謝して、
それをATPというエネルギーに変えるのですが、
そのエネルギーを熱に変換するのがUCP1です。

よく運動で脂肪を燃焼させて熱に変える、
というような言い方をしますが、
これは概ねUCP1を持つ細胞でのみ成り立つ理屈です。

UCP1を活性化させる刺激は、
交感神経の緊張なので、
運動のみならず、寒冷やストレスなど、
交感神経が緊張するような刺激であれば、
それが熱産生に結び付いて、
UCP1が発現している脂肪細胞であれば、
脂肪は溶けて熱になるのです。

問題は人間においては褐色脂肪細胞が非常に少ない、
という点にあります。

これが、運動しても脂肪が減り難い主な理由です。

ところが…

通常はUCP1が発現していないとされる白色脂肪細胞でも、
たとえば交感神経のβ3受容体が刺激されると、
白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞様に変化して、
UCP1の発現が見られるようになる、
という知見が存在しています。

つまり、場合によっては、
脂肪をため込むだけの細胞が、
脂肪を燃焼させて熱に変えるような細胞に、
変化することがあるのです。

この白色脂肪細胞が変化した、
褐色脂肪様細胞を、
元々の褐色脂肪細胞と区別する意味で、
ベージュ細胞と呼ぶことがあります。

ちなみに医師の方が、
ベージュ細胞という報道を見て、
これは「褐色脂肪細胞」という言い方が正しい、
というニュアンスの発言をされているのを読みましたが、
それは誤りだと思います。
両者は違うものだからこそ、
「ベージュ」という言い方をしているのです。

内臓肥満のあるような人では、
内臓脂肪の多くが白色脂肪細胞であると考えられますが、
それを適切な刺激によってベージュ細胞に変えることが出来ると、
そうした人でも脂肪を簡単に燃焼することが可能になり、
内臓脂肪や肥満の解消に繋がることが期待されます。

さて、寒冷の刺激や唐辛子の辛み成分であるカプサイシン、
またコーヒーやお茶などに含まれるカフェインには、
代謝を促進して脂肪燃焼を促すような働きがあることが、
これまでの研究により明らかになっています。

ただ、カフェインが褐色脂肪細胞に、
直接的な影響を与えているのかどうかについては、
あまり明確なことが分かっていませんでした。

今回の研究では、
幹細胞由来の脂肪細胞を使用した基礎実験と、
サーモグラフィーなどを用いた臨床実験により、
カフェインの脂肪燃焼効果を検証しています。

その結果、カフェインがUCP1の活性化を介して、
褐色脂肪細胞の熱産生を刺激していることが確認されました。

こちらをご覧下さい。
カフェインの脂肪燃焼の画像.jpg
これは左側がコーヒーの摂取前で、
右が65ミリグラムのカフェインを含むインスタントコーヒーを、
1杯飲んだ後で計測したサーモグラフィーです。
上の画像は生データで、
下は熱産生が行われた部分を差し引きで示したものです。

少し分かりにくい感じはあるのですが、
鎖骨の上の部分の温度上昇がコーヒー摂取後に見られていて、
この部位には褐色脂肪細動が多いので、
その燃焼に結び付いた可能性を示唆しています。

このようにカフェインには一定の脂肪燃焼効果があり、
それが代謝の亢進や体重減少効果に、
結び付いている側面はあるようです。

ただ、これがどの程度全身的に影響するものであるかは、
あまり明らかではなく、
UCP1の活性化自体はこれまでにも、
トマトや青味魚など多くの食品でも報告があるので、
特にカフェインの特性というようには、
考えない方が良いようにも思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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