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塩分摂取量と肥満との関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
塩分と肥満.jpg
2019年のthe American Journal of Clinical Nutrition誌にウェブ掲載された、
塩分の摂取量と肥満との関連についての論文です。

塩分の摂取量が多いと、
血圧が上昇し易くなり、
心血管疾患のリスクを増加させることは、
その程度や摂取量はともかくとして、
大筋ではほぼ確立した事実です。

最近幾つかの報告で、
塩分の摂取量と肥満や過体重との間に、
関連があるのではないかという知見が得られています。

糖質や脂質、総カロリーが多いと、
肥満に結び付くということは常識的に想定されますが、
塩辛いものを食べるだけで、
カロリーは変わらなくても太りやすくなるというのは、
にわかに納得はいかない感じがします。

結局カロリーが多かっただけの話ではないでしょうか?

これまでの研究では、
塩分摂取量を推測する方法が、
食事のアンケートだけであったり、
1回のみの尿のナトリウム濃度測定であったりしているので、
本当の日々の塩分の摂取量が、
反映されているないという可能性が高かったのです。

そこで今回の研究では、
日本、中国、イギリス、アメリカの4か国で行われた、
高血圧と食事との関連を検証する国際的な疫学研究のデータを活用して、
時期をおいて2回測定された尿中ナトリウム濃度と、
肥満との関連を検証しています。

対象者は登録時に40から59歳の、
日本が1145名、中国が839名、イギリスが501名、アメリカが2195名、
トータル4680名の一般住民です。

摂取カロリーなどを補正した結果として、
尿中ナトリウムから推測した塩分摂取量が、
1日当たり1グラム多いと、
体格の指標であるBMIは、
日本で0.28、中国で0.10、イギリスで0.42、アメリカで0.52、
それぞれ有意に増加していました。
また同様に塩分摂取量が1日1グラム多いことにより、
過体重と肥満になるリスクは、
日本で21%、中国で4%、イギリスで29%、アメリカで24%、
それぞれ有意に増加していました。

要するに人種差や地域差はおそらくあるものの、
塩分の摂取量が多いほど、
過体重や肥満が多いことはほぼ一致した傾向が認められたのです。

それでは、
何故塩分を摂ると肥満になるのでしょうか?

塩辛いものが好きな人はカロリーも多くなりやすい、
というのがシンプルな推論です。

勿論データとしてはカロリーの違いを補正しているのですが、
総カロリーは食事調査を元にして算出しているので、
それほど正確ではない可能性があるからです。

ただ、近年ネズミの実験などで示された知見として、
塩分摂取量を多くすると果糖の分解が抑制されて果糖が増え、
それが脂肪の蓄積を促進するというものがあります。
また、脂肪細胞のインスリン感受性を高め、
それにより脂肪細胞の肥大化を招く、
というような報告もあります。

今回の4か国調査では、
中国だけが塩分摂取量と肥満との関連が薄いのですが、
その理由は良く分かりません。

いずれにしても塩分摂取量と肥満との間に、
カロリーに関わらない関連があるかも知れない、
という今回の知見は非常に興味深く、
今後の研究の進捗を見守りたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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