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魚の良い脂と水銀との微妙な関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
終日レセプトの事務作業をしています。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オメガ3脂肪酸と鉛.jpg
2019年のBMJ Heart誌に掲載された、
魚に含まれる健康に良い脂の成分と、
同時に含まれるメチル水銀との関連についての論文です。

興味深いテーマですが、
研究自体の詰めは甘いという感じのする研究です。

青魚などの身に多く含まれる、
EPAやDHAなどの、
ω3系多価不飽和脂肪酸は、
心血管系疾患のリスクを下げる作用が、
複数の研究で確認されています。

そのサプリメントとしての使用は、
必ずしも満足の行く結果に至っていませんが、
魚を多く摂る食生活が、
概ね健康的で長寿であり、
動脈硬化に関連する病気も少ない、
ということはほぼ確実で、
その大きな原因が、
このω3系多価不飽和脂肪酸にあると考えられています。

この点では、
どしどし魚を食べましょう、ということになります。

しかしその一方で、
魚には毒性の高いメチル水銀が、
非常に濃縮されて存在している、
という報告があります。

このメチル水銀はEPAやDHAとは反対に、
心血管疾患のリスクを増加させると報告されています。

つまり、魚は心血管疾患を予防する成分と共に、
それを促進するような成分も同時に含んでいる、
ということになる訳です。

それでは、より水銀の多い魚を摂ることによって、
良い脂による健康効果は、
相殺されてしまうのでしょうか?

この点については、あまり明確な知見がありません。

今回のデータはフィンランドにおいて、
動脈硬化のリスクを検証した男性のみの疫学データを解析したものですが、
運動負荷を行なって診断した心筋の虚血の有無を、
血液中のω3系脂肪酸の濃度と、
髪の毛のメチル水銀濃度と比較しています。

髪の毛の水銀濃度は、
主に食事由来のメチル水銀の摂取量を示し、
血液中のEPAやDHAの濃度も、
その摂取量を示しているという推測によるものです。

その結果、
血液中のEPAやDHAの濃度が高いほど、
心血管疾患の既往のある患者さんでの、
負荷検査の陽性率は低下していました。

つまり、動脈硬化が進行した人では、
EPAやDHAを多く摂ることで、
一定の病気の予防効果があるのでは、
ということを示唆する結果です。

その一方で髪の毛の水銀濃度は、
高いほど心筋虚血の陽性率が高くなっていて、
それは心血管疾患の既往によりませんでした。

この研究は必ずしも食事の摂取量を反映していませんし、
心血管疾患の既往のある人で、
負荷検査の陽性率が高いのは当たり前のことですから、
全てが間接的な所見のみで、
研究としては詰めが甘いという印象があります。

ただ、「魚を沢山食べましょう」
という指導があまり深い考えなく行われがちな医療現場において、
その一端にあるリスクを指摘した点が興味深く、
今後のより精度の高い検証を期待したいと思います。

論文の記載によれば、
マグロは水銀の含有が多く、
鮭は少ないのでお勧めのようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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