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貧血に対する手術前単回治療の効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
貧血の超短期治療の効果.jpg
2019年のLancet誌に掲載された、
心臓の手術の前に、
1回のみ行う貧血治療の効果についての論文です。

大きな手術の予後に影響を与えるものとして、
患者さんの貧血の有無は重要な位置を占めています。

手術は出血を伴うものですから、
術前に貧血があると、
それだけ手術中の出血の身体に与える影響は大きくなり、
輸血が必要となる機会も増えることが想定されます。

そして、実際鉄欠乏で貧血はない軽症の状態であっても、
鉄欠乏のない場合と比較すると、
輸血の必要となるリスクや、
重篤な合併症の発症するリスクが、
より高まるということが報告されています。

それでは、大きな手術の前に、
一時的に鉄や他の造血剤などの投与を行なうことで、
手術の予後を改善することが出来るのでしょうか?

今回の研究はその疑問を検証するために、
心臓の手術の術前において、
造血剤などの使用を1回のみ行って、
術中と術後の予後の違いを比較したものです。

スイスの単独施設において、
心臓の手術を予定された患者さんのうち、
貧血(ヘモグロビン値が男性で13.0g/dL未満、女性で12.0g/dL未満)
のある253名と、
貧血ではないものの、
貯蔵鉄の指標であるフェリチン値が100ng/mL未満と、
鉄の備蓄が少ない252名を対象として、
患者さんにも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は鉄剤と注射と、赤血球の造血因子製剤であるエリスロポエチンの皮下注射、
ビタミンB12の皮下注射と葉酸の内服を、
術前(通常は前日)に1回のみ施行し、
もう一方は偽薬を使用して、
術後7日までの輸血施行の有無などを比較しています。

その結果、
術後7日までに輸血が必要となるリスクは、
治療群で有意に低下していました。
術後90日までに必要とした輸血量は、
治療群が平均で1.7単位であったのに対して、
偽薬群では2.3単位となっていました。

このように術前の単回治療においても、
貧血の治療が手術の予後に影響を与えるという知見は、
非常に興味深く、
今後の更なる検証を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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