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匂いの刺激でタバコの離脱症状を治療する [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療となります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
匂いの刺激でタバコの離脱症状を治療する.jpg
2019年のJournal of Abnormal Psychology誌に掲載された、
タバコの離脱症状に対するユニークな試みについての論文です。

喫煙が多くの生活習慣の中でも、
最も健康に悪影響を与える習慣であることは、
医学に携わっていて否定する人はほぼいない事実です。

ただ、長年の喫煙者が禁煙をしてそれを続けることは、
決して容易いことではありません。

一旦は禁煙に成功しても、
それが長続きしないことが多いのは、
タバコには強い離脱症状があって、
タバコを止めることにより、
それより以上に強いタバコへの渇望が生まれるからです。

現行の禁煙治療である、
ニコチン補充療法にもバレニクリンのような飲み薬にも、
その離脱症状を取り除くような力はありません。

現状は、
強い精神力で個人が乗り越えるしかない、
ということになるのです。

しかし、それで本当に良いのでしょうか?

医学者はこの離脱症状への有効な手立てを、
提示する義務があるのではないでしょうか?

それでは、どのような方法があるでしょうか?

タバコには特有の匂いがあり、
それはタバコを吸わない人にとっては不快な臭いですが、
タバコを吸う人にとっては好ましい匂いであり、
特に禁煙をしたばかりの人にとっては、
非常に強い喫煙への誘惑となります。

つまり、タバコの匂いは、
タバコの離脱症状の大きな構成要素です。

匂いを感じる嗅覚神経というのは、
脳に直接的な刺激を与え、
アルツハイマー型認知症では最初に障害されるという知見もあるように、
認知機能にも大きな影響を与えている場所です。

それでは、
タバコの臭いに対して、
別の匂いをぶつけることで離脱症状を軽くすることが、
出来るのではないでしょうか?

この仮説を検証するために今回の研究では、
1日10本から30本くらいのタバコを吸っている喫煙者に、
しばらく喫煙を我慢してもらい、
好ましいと思う匂いを選んでもらった上で、
喫煙再開の誘惑を与え、
その時に好ましい匂いの刺激を与えた場合と与えない場合とで、
喫煙の誘惑への反応を比較しています。

その結果、好ましい匂い刺激により喫煙への渇望は低下し、
93%の被験者は好ましい匂いの刺激を思い出すことで、
自分の喫煙への欲望を抑えることが可能となりました。

このように、
ある種の匂いがタバコの離脱症状を和らげるという結果は、
非常に興味深く、
今後匂い刺激の有用性が、
これまでのアロマテラピーなどの枠を超えて、
議論されるようになるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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