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日本にやせ形の糖尿病が多いのは何故か? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で外来は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などで都内を廻る予定です。

明日18日木曜日は臨時休診とさせて頂きます。
受診予定の方はご注意下さい。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
日本人のやせ形インスリン抵抗性.jpg
2019年のthe Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌に掲載された、
日本人が肥満がないのにインスリン抵抗性が生じるメカニズムを解析した、
順天堂大学などの研究者による論文です。

肥満になるとインスリンの効きが悪くなる、
インスリン抵抗性が生じますが、
その2つ橋渡しているのが、
血液中を流れる脂肪である、
遊離脂肪酸です。

血液中の遊離脂肪酸濃度は、
インスリン抵抗性や肥満と強い関連があります。
遊離脂肪酸を血液中で増加させると、
それが筋肉や肝臓におけるインスリン抵抗性を生み出すことが、
実験的に証明されています。

通常は余分なエネルギーは中性脂肪として、
皮下脂肪の組織に蓄えられています。
皮下脂肪組織に脂肪を蓄える作用を促進しているのがインスリンです。

しかし、これが一旦病的な肥満の状態になると、
筋肉や肝臓においてインスリン抵抗性が生じ、
皮下脂肪組織から遊離脂肪酸が放出されて、
それが内臓の周辺や肝臓の中に沈着するようになります。
これがメタボや脂肪肝です。

日本人を含むアジア人では、
肥満のない2型糖尿病の患者さんが多いという特徴があります。

その理由の1つとして、
皮下脂肪組織におけるインスリン感受性の低下が、
体質的に多く見られるのではないか、
という仮説があります。

通常ならもっと皮下脂肪に余分が脂肪が蓄えられるのに、
それが出来ずに血液中に遊離脂肪酸が放出されやすい体質があると、
血液中の遊離脂肪酸が増加しやすく、
それが筋肉や肝臓におけるインスリン抵抗性を招く、
原因となっているのではないか、という仮説です。

この仮説を検証する目的で今回の研究では、
BMIが21から25kg/㎡で高血圧や糖尿病のない、
ボランティア男性52人を対象として、
人工膵臓を用いた検証を行っています。

人工膵臓を用いて皮下脂肪組織におけるインスリン抵抗性を測定し、
それをそれを高い群と低い群の半数ずつに分けて検証したところ、
皮下脂肪におけるインスリン抵抗性が高いと、
それだけ遊離脂肪酸は高くなり、
結果として肝臓と筋肉におけるインスリン抵抗性も増加して、
肝臓内の脂肪や内臓脂肪の蓄積が起こりやすくなることが確認されました。

つまり、
アジア人では皮下脂肪におけるインスリン感受性の低下があるので、
肥満がなくても血液中の遊離脂肪酸が増加し易く、
それが全身のインスリン抵抗性を惹起して、
肥満のないメタボの状態に結び付いているのでは、
という仮説を支持するようなデータが得られたのです。

今回のデータは1度のみの検査での判断なので、
今後観察期間をおいて、経時的な変化を観察したり、
違う地域や人種で同様の検証を行うなど、
今後更なる研究が積み重ねられることで、
これまで謎の多かった、
肥満のないメタボの謎が解き明かされることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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