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心房細動治療に対するカテーテルアブレーションと内服治療の比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
カテーテルアブレーションの生命予後に対する効果.jpg
JAMA誌に掲載された、
心房細動における2種類の治療を比較検証した論文です。

心房細動は心房が痙攣様に収縮して、
脈拍が乱れた状態が続く不整脈で、
75歳までに人口の10%はこの不整脈を発症すると報告されています。
(海外データ)

その最も深刻な合併症は、
心臓に生じた血栓による脳卒中ですが、
それ以外に心不全などのリスクも増加し、
抗凝固剤の適切な使用により、
脳卒中のリスクが予防されても、
総死亡のリスクは心房細動がない場合の、
2倍に増加すると報告されています。

また命に関わることはなくても、
不整脈発作時の動悸や息切れなどの症状は、
人によってはかなり不快なもので、
日常生活にも大きな制限が生じることも稀ではありません。

心房細動の治療としては、
不整脈を電気ショックなどの方法で元に戻すことと、
抗凝固剤や抗不整脈剤を使用する内服治療があります。

また、最近では不整脈の原因となっている部分を、
カテーテルを利用して焼却する、
カテーテルアブレーションと呼ばれる侵襲的な治療が、
広く行われるようになっています。

カテーテルアブレーションは成功すれば、
患者さんは不整脈から解放されることになるので、
患者さんにとって大きなメリットのある治療です。
ただ、一方で再発は稀ではなく、
何度も繰り返し治療が必要となることもあります。
また、長期的に患者さんの予後を、
薬物治療と比較して改善するかどうかは、
まだ比較的小規模の研究でしか検討されていません。

今回の研究は、
カテーテルアブレーションの治療と薬物療法の間で、
その生命予後や脳卒中の発症、出血系の合併症、心停止などのリスクを、
これまでにない多数の事例で比較検証したものです。

世界10か国の126の専門施設において、
慢性心房細動もしくは過去6か月に2回以上一過性心房細動の確認された、
トータル2204名の症状のある心房細動の患者さんで、
年齢は65歳以上、もしくは65歳未満でも、
脳卒中のリスクが高い患者さんは対象となっています。
治療としては各種ガイドラインにおいて、
抗凝固療法の適応があると判断された患者さんでは、
全例で抗凝固療法が施行されています。

その上で、
対象者をくじ引きで2つの群に分けると、
一方はカテーテルアブレーションを施行し、
もう一方は抗不整脈剤などを含む投薬治療を施行して、
中央値で48.5か月の経過観察を行い、
両群の生命予後や脳卒中のリスクなどを比較しています。

その結果、
総死亡と後遺症を残す脳卒中、重篤な出血系合併症、
そして心停止を併せた頻度は、
カテーテルアブレーション群の8.0%、
薬物治療群の9.2%に認められ、
両群に有意な差は認められませんでした。

個別のリスクの解析では、
総死亡のリスクについては両群では差はなく、
心血管疾患による死亡と入院を併せたリスクは17%、
心房細動の再発のリスクは48%、
いずれも薬物治療群と比較してアブレーション群では有意に低下していました。

このように、
確かにカテーテルアブレーションは、
心房細動の再発の抑制などの点において、
一定の優位性はあるのですが、
トータルに患者さんの生命予後に見た時には、
明確な差は薬物治療と比較して認められない、
というのが結論になっています。

同じ雑誌の紙面にもう1篇、
同じ研究の別の側面をまとめた論文が掲載されています。
それがこちらです。
カテーテルアブレーションのQOLに対する効果.jpg
これは同じ臨床試験において、
患者さんの自覚症状などのQOLの差を見たものです。

ここでは治療開始後12か月の時点で、
カテーテルアブレーション群が薬物治療群と比較して、
明確にQOLの改善を認めていることが示されています。

つまり、心房細動の不快な症状のコントロールと言う面では、
明確にカテーテルアブレーションが、
薬物治療と比較して優れている、
と言って良いようです。

このように、
カテーテルアブレーションの治療は、
薬物治療と比較して多くの利点を持っており、
心房細動の不快な症状に苦しんでいる患者さんにとっては、
積極的に施行するメリットのある方法です。
ただ、その再発率は4年間では5割を超えており、
決して再発が少ないとは言えません。
また、トータルな生命予後や脳卒中の発症などの点においては、
明確にアブレーションが優れているという根拠はなく、
その点も良く理解した上で、
どちらの治療を選択するか個別に検証する必要があると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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AF冠者

一過性から永続性、そして1年で慢性化。抗不整脈薬7種服薬も効なし。多くの専門家が「慢性化すると身体が馴れて生活の質は向上します」とありますが、胸苦と気持ち悪さが時・所選ばず症状。3か月に1回総合病院に招聘される大学教授が「2/5が無症状2/5は軽く残る1/5は発作時のような苦痛があると。
カテアブも発症当時は県内に施工できる所なく隣県の前橋市で受けるしかない状態。しかたなく抗疑血剤>ワーファリンの服薬のみ。カテアブは75歳が限界とか。受けたのちも再発しペースメーカー埋め込みをなさる人も。安穏な生活はもう望めないと観念している。
by AF冠者 (2019-03-20 14:15) 

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