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重症のインフルエンザに対する早期タミフル治療の有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
タミフルのタイプ毎の有効性.jpg
2019年のClinical Infectious Diseases誌に掲載された、
重症のインフルエンザに対するオセルタミビル(タミフル)の有効性についての論文です。

インフルエンザには、
現在複数の治療薬が日本では使用可能ですが、
世界的にその有効性が確認されているのは、
オセルタミビル(タミフル)のみです。

現状多くのガイドラインにおいて、
肺炎などで重症化したインフルエンザや、
基礎疾患があって重症化の可能性が高い場合には、
症状出現後48時間以内に、
オセルタミビルの治療を開始することが推奨されています。

しかし、その根拠はそれほど確かなものではありません。

これまでに無作為介入試験のような、
精度の高い臨床試験において、
オセルタミビルの使用が生命予後に与える影響が、
確認されたことはありません。

ただ、集中治療室に運ばれるような重症の患者さんを、
くじ引きで治療と未治療に分けるというような方法は、
実際には倫理的に困難です。

そこで事例を集めて比較するような臨床研究になるのですが、
現状それほど精度の高いデータが多くはなく、
その結果もまちまちであるのが実態です。
また、インフルエンザには複数のタイプがありますが、
多くのこの分野のデータは、
2009年に発生したインフルエンザA/H1N1pdm09を対象としていて、
それ以外のタイプに対する有効性のデータは、
極めて限られています。

今回の研究はギリシャにおいて、
インフルエンザと診断されて集中治療室に入室し、
人工呼吸器の装着に至った18歳以上の患者で、
オセルタミビルによる治療が施行された1330名を対象として、
オセルタミビルの使用が症状出現後48時間以内に開始された場合と、
それ以降に開始された場合とを比較検証しています。

対象となった1330名中、
46.8%に当たる622名が、
集中治療室において死亡しています。

インフルエンザの型をA香港型(H3N2)、A型(H1N1pdm09)、
そしてB型の3つに分けて検証したところ、
A香港型においては、
発症2日以内のオセルタミビル治療は、
それ以降に開始した場合と比較して、
集中治療室における死亡のリスクを、
相対リスクで31%(95%CI: 0.49から0.94)有意に低下させていました。
生存した患者のみでの検証では、
早期のオセルタミビル治療は、
集中治療室の入院日数を1.8日(95%CI: 0.5から3.5)、
これも有意に短縮させていました。

しかし、この死亡リスクの低下は、
A型(H1N1pdm09)とB型のインフルエンザにおいては、
有意には認められませんでした。

今回の検証においては、
A香港型に起因する重症のインフルエンザ感染症に限って、
発症2日以内のオセルタミビルの使用は、
有意に患者さんの生命予後を、
改善するという可能性が示唆されました。

オセルタミビルの治療効果については、
あまり明確な結論が出ていませんが、
今回の比較的大規模な臨床データにおいて、
一定の生命予後改善効果の得られた意義は大きく、
本当にウイルス型による治療効果の違いがあるのか、
という点を含めて、
今後更なる検証が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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