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インフルエンザは湿度が低いと増える、は本当か? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インフルエンザ感染と湿度と温度.jpg
2019年のApplied and Environmental Microbiology誌に掲載された、
インフルエンザ感染における湿度や温度などとの関連を調べた論文です。

インフルエンザの大流行がクリニックの周辺でもまだ続いています。

A型は当初H1N1pdm09が大部分であったようですが、
最近はH3N2(A香港型)も検出事例が増え、
ほぼ半々となっているようです。

それに伴って症状も当初とは違い、
かなりバラエティに富んだものとなっています。

インフルエンザの流行とその予防については、
怪しげなものを含めて色々な意見があります。

そのうちで良く聞くものの1つが、
湿度が低いとインフルエンザに罹りやすい、というものです。

確かに空気が乾燥していると、
喉は常に少し痛い感じになり、
風邪を引くことも多いようには思います。
厚生労働省のサイトのインフルエンザについての記述でも、
湿度を50%以上に保つことが、
インフルエンザの予防になると、
特にその出典は示されていないものの明記されています。

そうなると、
湿度とインフルエンザ感染との関係は、
実証された事実のように思ってしまいますが、
実際にそうなのでしょうか?

上記文献の記載によると、
湿度や温度などの環境要因と、
インフルエンザ感染との間に関連のあることは事実ですが、
報告によっても違いがあり、
またその地域の気候によっても違いがあるため、
あまり確実と言えるような知見は少ないようです。

湿度は通常、
その温度の空気中に存在出来る、
水分の最大量を100%とした時の比率である、
相対湿度が通常「湿度」として述べられていますが、
それ以外に絶対湿度という指標があり、
これは1キログラムの空気中に、
絶対値としてどれだけの重さの水分が、
含まれているのかを数値化した指標です。

科学的には重要視されているのは、
相対湿度より絶対湿度で、
絶対湿度が低いと、
インフルエンザウイルスを含む飛沫粒子が安定せず、
飛沫感染が起こりにくい、
という複数のデータが存在しています。

厚生労働省のサイトには、
粘膜の防御機能が相対湿度が低いと低下する、
という趣旨の説明がありますが、
それとは全く別個の考え方もある訳です。

そもそも熱帯地域では、
インフルエンザは雨期に流行しており、
温暖な地域でのみ、
低温で湿度の低い時期に流行しているので、
湿度とインフルエンザ感染との関連は、
これだけ見ても単純ではないのです。

今回の研究はカナダのトロントにおいて、
鼻腔や気道から採取された検体のうち、
インフルエンザウイルスが遺伝子検査で検出された事例の検証から、
絶対湿度、相対湿度、気温、風速それぞれのインフルエンザ感染に対する影響を、
検証したものです。

トロントにおいては、
寒い冬の時期にインフルエンザA型が流行し、
その後春先で気温が上昇する時期に、
インフルエンザB型が流行しているので、
日本と似通った流行状況であるのです。

検証の結果、
気温と絶対湿度は互いに関連していて、
気温が低く絶対湿度が低いほど、
A型とB型のインフルエンザはいずれも感染が活発化していました。

相対湿度については、
A型インフルエンザは高いほど感染が活発となり、
逆にB型インフルエンザは低いほど感染が活発になっていました。

また気温の変動が大きいほど、
B型インフルエンザの感染は活発になっていましたが、
A型インフルエンザについてはそうした関連は認められませんでした。

風速が早いほど、
インフルエンザ感染は起こりやすいとする過去データがありましたが、
今回の検証では風の強さと感染の起こりやすさとの間には、
関連は認められませんでした。

このように、
通常言われている相対湿度とインフルエンザ感染との関連は、
今回の検証ではインフルエンザB型のみに成り立つ現象で、
相対湿度が低いと感染が活発化するという常識は、
必ずしも常に成り立つものではなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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