So-net無料ブログ作成

高齢者肺炎の重症度の指標について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療となります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
プロカルシトニンと高齢者肺炎.jpg
2019年のBMC Geriatrics誌に掲載された、
高齢者の肺炎の重症度を予測する指標についての論文です。

肺炎というのは、
お子さんから高齢者まで罹患する、
重症の感染症を代表する病気の1つです。

その原因には肺炎球菌などによる細菌性以外に、
ウイルス性や真菌性、
アレルギー性のものなど多くがあり、
それぞれに対して治療は異なるので、
その鑑別診断が非常に重要です。

肺炎の診療において大切なことは、
その原因を含めて肺炎を早期に診断することと、
その重症度を適切に判断することです。

この重症度の判定において、
以前から補助的に使用されていたのが、
CRPと呼ばれる血液検査です。

CRPは炎症反応と呼ばれる検査の代表で、
インターロイキン6というサイトカインによって、
肝臓で産生される炎症物質です。

この数値は一般的に言えば、
身体の炎症が強いほど高くなるので、
肺炎の重症度の指標にもなると思われます。

ただ、このCRPは肺炎の原因の鑑別には、
殆ど役に立ちませんし、
肝機能が低下したような時には数値が上がりません。
肺炎のような炎症以外にも、
関節リウマチや動脈硬化などによっても、
数値が上昇するので、
その数値により肺炎の重症度を予測することは、
あまり信頼性の高い方法とは言えません。

近年CRPに変わる炎症の指標として、
プロカルシトニンという検査が注目されています。
この検査はカルシトニンというホルモンの前駆体ですが、
特に細菌感染症において組織で産生されることが分かっています。

この検査はCRPとは異なって、
細菌感染症で特異的に増加し、
特に敗血症など重篤な状態で増加することが、
臨床データによって明らかとなっています。

このため、肺炎の重症度の予測や、
それが細菌感染症であるかどうかの判断には、
CRPよりプロカルシトニンが適している、
という考え方が高まりました。

しかし…

たとえば2013年のBritish Medical Journaln誌に掲載された研究では、
肺炎の診断においてはプロカルシトニンは単独で有用な指標ではなく、
白血球とCRPの方が有効であった、という結果になっています。

何が最も肺炎の診断や予後予測に有用であるのか、
この問題はまだ解決には至っていないようです。

今回の研究は福岡大学筑紫病院の研究者によるものです。
肺炎の患者さんトータル667名を解析したもので、
そのうちの436名は75歳以上の高齢者でした。

多変量解析において、
血液のアルブミン濃度や体格の指標のBMI、
肺炎の臨床的重症度指標、などと比較して、
プロカルシトニンの高齢肺炎患者の30日後の生命予後に対する関与は、
より小さなものとなっていました。

年齢に関わらずプロカルシトニンの数値は、
30日後の死亡リスクに対する、
独立した予測因子とはなっていませんでした。

肺炎の重症度との関連で見ると、
重症の肺炎であるほどプロカルシトニンの数値は有意に高値で、
年齢に問わず一定の重症度の指標となっていましたが、
白血球数やCRPについては、
重症度と検査値との間に、
明らかな関連は認められませんでした。

サブ解析においては、
細菌性肺炎の代表である肺炎球菌による肺炎において、
その重症度が高いほどプロカルシトニン値も有意に増加していました。

このように、
高齢者においてもプロカルシトニンの数値と、
肺炎の重症度との間には一定の関連が認められましたが、
その一方で生命予後を予測する独立した指標とは、
認められませんでした。

現状は個々の数値を、
患者さんの状態や病状に合わせて、
幾つか組み合わせながら臨床的な判断をしてゆくしか、
ないように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(0) 

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。