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高感度CRPと肺癌リスクとの関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
CRPと肺癌.jpg
2018年のBritish Medical Journals誌に掲載された、
炎症反応の検査値と肺癌のリスクとの関連についての論文です。

CRPというのは、
炎症に伴って肝臓で産生される蛋白質で、
炎症の急性期に高値となることから、
その血液濃度の測定は、
「炎症反応」と呼ばれて臨床に広く使用されている検査です。

通常その値は、
0.3mg/dL以下であれば正常と判断されていますが、
近年高感度CRPと言って、
0.01mg/dLまで正確に測定出来るようになると、
通常の基準値であれば正常値であっても、
それがやや高いということが、
身体の状態にとって意味があるのではないか、
という知見が多く報告されるようになりました。

動脈硬化の進行に伴う、
心筋梗塞や脳卒中のような心血管疾患では、
その進行度によって、
高感度CRPが上昇する、
という知見があります。

また、肺癌を含む複数の癌において、
矢張り高感度CRPが上昇しているという知見が報告されています。

今回の検証は喫煙歴や癌の組織型を分けて、
肺癌と高感度CRPとの関連をみたものです。

アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカにおける、
20種類の疫学データをまとめて解析したもので、
5299名の肺癌と診断された患者さんを、
年齢などをマッチさせた同じ5299名のコントロールと比較しています。

その結果、
肺癌と診断されるリスクと高感度CRPとの間には、
喫煙歴のない非喫煙者では、
明確な関連は認められませんでした。
その一方で現在の喫煙者では、
高感度CRP値が2倍に増加することにより、
肺癌のリスクが9%(95%CI: 1.05から1.13)、
喫煙歴のある非喫煙者でも9%(95%CI: 1.04 から1.14)と、
それぞれ有意な肺癌リスクの増加が認められました。

肺癌の組織型との比較では、
腺癌では明確な関連は認められませんでしたが、
小細胞癌と扁平上皮癌においては、
特に喫煙歴のある非喫煙者において、
高感度CRPとの間に有意な関連が認められました。

この高感度CRPと肺癌リスクとの関連は、
特にCRP測定後1から2年の間の、
肺癌発症リスクと高い相関を示していました。

このことから、
高感度CRPの上昇で推測される、
身体の軽度の炎症は、
肺癌の原因であるというより、
その初期診断のマーカーとしての意味を持っている可能性が高い、
と推察されました。

炎症反応の上昇は、
様々な病気によっても引き起こされるものなので、
高感度CRPの計測を肺癌の早期診断に利用する、
というのは実現性は低い考え方であるように思いますが、
組織型や喫煙歴によっても、
高感度CRPの数値と肺癌リスクとの関連に差がある、
という今回の知見は興味深く、
今後の知見の蓄積を待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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