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降圧剤シルニジピンの心不全改善の可能性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
シルニジピンの心不全改善の可能性.jpg
2018年のScience Signaling誌に掲載された、
慢性心不全における心臓の変化と、
ある種の降圧剤の治療効果についての論文です。

自然科学研究機構生理学研究所と九州大学の研究グループによる研究です。

心臓を栄養する冠状動脈が詰まる急性心筋梗塞になると、
その後に心臓の機能が低下する心不全が高率に発症します。

これは単純に血流が途絶えて死んだ心筋細胞のみによる現象としては、
説明出来ない点が多く、
その周辺の死んではいない多くの細胞に、
その機能を低下させるような変化が、
起こっていることが想定されています。

それでは、その変化とはどういったものでしょうか?

その1つの仮説は、
心筋細胞の中にある、
ミトコンドリアという細胞小器官の異常です。

ミトコンドリアは、
細胞内でのエネルギー産生に必須の小器官で、
それ以外にも細胞内の多くの機能に関わっています。

そのため、ミトコンドリアが正常の機能を失うと、
その細胞自体の機能も低下してしまいます。

ミトコンドリアは細胞の中で、
融合と分裂を繰り返しています。
この融合と分裂を繰り返すことが、
ミトコンドリアが正常に働く上で、
重要な機能の1つであることが分かっています。

ミトコンドリアの分裂において、
大きな役割を果たしている物質が、
ダイナミン様タンパク質(Drp1)です。
Drp1がリング状の複合体を形成し、
それがミトコンドリアの膜を刃物のように切断し、
それがミトコンドリアの分裂に繋がると考えられています。

そして、
心筋細胞が心筋梗塞により低酸素状態になると、
このDrp1が過剰に活性化して、
ミトコンドリアの分裂が過剰に進行し、
それが心不全の大きな要因となることを、
上記文献ではネズミの実験で詳細に実証しています。

更に上記文献においては、
このDrp1の活性化を抑制するような薬剤を、
主に常用されている降圧剤で多数検証したところ、
カルシウム拮抗薬の1つであるシルジニピン(商品名アテレックなど)が、
Drp1の作用を抑制して、
実験的な心筋梗塞後の心機能を改善することを、
これもネズミの実験で実証しています。
ただ、使用されているシルジニピンの用量は、
体重換算で人間の常用量の50倍という高用量ですから、
まだ臨床的に応用出来る、
というようなレベルの知見ではないようです。

その実用性はともかくとして、
心不全の原因の一端がミトコンドリアの機能異常にある、
という知見は非常に興味深く、
今後の更なる知見の積み重ねに期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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