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ミルタザピンのSSRIやSNRIへの上乗せ効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ミルタザピンのSSRIへの上乗せ効果.jpg
2018年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
難治性のうつ病に対して、
2種類の抗うつ剤を組み合わせて使用した場合の、
単剤と比較しての有効性を検証した論文です。

うつ病の薬物治療の第一選択は、
脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンを、
増加させる働きを持つ抗うつ剤である、
SSRIやSNRIといったタイプの薬剤です。

日本で使用されている薬剤としては、
SSRIにはパロキセチン(パキシル)、ジェイゾロフト(セルトラリン)、
エスシタロプラム(レクサプロ)、フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、
があり、
SNRIにはデュロキセチン(サインバルタ)、ミルナシプラン(トレドミン)、
ベンラファキシン(イフェクサー)があります。

こうした抗うつ剤には一定の有効性が認められていますが、
それでも少なからぬ患者さんが、
単剤による治療では充分な治療効果を得られていません。

国際的な臨床試験のデータによると、
単剤の抗うつ剤による12から14週間の治療によって、
うつ病の症状が50%以上低下したのは、
半数の患者さんに過ぎませんでした。

単剤の抗うつ剤でその充分量を使用しても、
その効果が不充分である場合には、
どのような方法があるでしょうか?

薬物療法に限って考えると、
リチウムなどの気分安定剤や、
抗精神病薬を併用するような方法、
別のタイプの抗うつ剤への切り替え、
そして、2種類以上の抗うつ剤の併用、
などの対応が考えられ、
実際にそうした処方が行われていますが、
そうした治療が抗うつ剤の単剤の治療と比較して、
明確に有効性が高いという科学的な根拠は、
あまりないのが実際です。

今回の検証はその中で、
SSRIやSNRIとは別個の機序で、
セロトニンやノルアドレナリンの放出を促進するとされる、
ミルタザピン(商品名リフレックス、レメロン)を、
SSRIもしくはSNRI単剤の治療で十分な効果の得られなかった、
治療抵抗性のうつ病の患者さんに対して、
上乗せして使用した効果を検証しています。

イギリスの複数の医療機関において、
18歳以上のうつ病の患者さんで、
第一選択の抗うつ剤であるSSRIもしくはSNRIを、
6週間以上使用して十分な効果の得られなかった480名を、
くじ引きで2つの群に分けると、
患者さんにも主治医にも分からないように、
一方はミルタザピンを上乗せして使用し、
もう一方は偽薬を同様に使用して、
52週間の治療効果を比較検証しています。

ミルタザピンは1日15ミリグラムで開始し、
2週間後に30ミリグラムに増量にして持続します。

その結果、
治療開始12週の時点で、
ミルタザピンの上乗せ群でうつ尺度は改善する傾向を示しましたが、
偽薬と比較して有意な差は認められませんでした。
眠気などの副作用や有害事象は、
ミルタザピン群で有意に増加していました。

このように、
今回の検証においては、
SSRIもしくはSNRIへのミルタザピンの上乗せは、
明確なうつ症状の改善に結び付きませんでした。

ただ、無効であるという結果ではなく、
現状こうした併用が一般に行われているという現状を考えると、
個別にはその使用を否定するというものではありません。

ただ、現状経験的にこうした治療が行われている点には、
その有効性が実証されていない、という問題があり、
今後どのような選択肢がより有効であるのか、
科学的な検証が行われる必要性が高いと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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