So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

静脈を圧迫するネックカラーの運動外傷への効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ネックカラーの予防効果.jpg
2018年のBMJ Sport Med誌に掲載された、
高校生の女子サッカー選手のヘディングなどの脳への影響と、
それを予防するネックカラーの効果についての論文です。

運動は健康を増進するために大切な健康習慣ですが、
ハードなスポーツが同じように健康的、
という訳ではありません。

たとえばサッカーでは、
ゲーム中に選手同士のハードなぶつかり合いがありますし、
ボールを頭に激しく当てて飛ばすヘディングがあります。

ヘディングを繰り返すことが、
脳に微小ななダメージを与え、
それが積み重なることが、
脳の永続的な障害の原因となる、
という考え方があり、
それを示唆するようなデータがある一方で、
そうしたことはない、という報告もあります。

つまり、この問題はまだ決着していません。

いずれにしても、
このヘディングによる脳のダメージを、
予防する方法があればそれに越したことはありません。

その1つの方法として考案されたのが、
特殊なネックカラーです。

こちらをご覧下さい。
ネックカラーの図.jpg
この右の図にある、
首の後ろに巻いてあるバンドのようなものが、
ネックカラーです。
ネックカラーと言うと、
むち打ちの時に首に巻くものを、
思い浮かべる方が多いと思いますが、
この場合のネックカラーは、
もっとさりげないタイプの物です。

このカラーを装着すると、
それが軽く首を圧迫するので、
頸静脈がそれにより軽く圧迫され、
その血流が減少します。

それにより脳の鬱血が軽く起こり、
脳が少し膨らむことで、
頭蓋骨と脳の間の空間がより狭まり、
脳の表面が少し骨に押しつけられるようになります。

これによりヘディング時の脳の衝撃が緩和して、
脳へのダメージが和らげられるのではないか、
と推測されているのです。

今回の研究においては、
14歳から18歳の女子のサッカー選手46名を、
ネックカラー装着群と未装着群に分け、
プレシーズンからオフシーズンまでの9ヶ月以上の経過観察を行っています。

その結果機能性MRIによる検証によって、
シーズン前とシーズン後で比較すると、
シーズン後にネックカラー未装着群では、
微細な脳障害を示唆する白質の変化が有意に認められ、
その変化はネックカラー群では認められませんでした。
また、未装着群においても、
シーズンが終わって3ヶ月以上が経過すると、
シーズン直後に認められた病的な所見は、
ほぼ確認出来なくなっていました。

要するに今回の研究においては、
ネックカラーの装着によって、
脳のダメージを示唆する所見の、
一定の予防効果が確認されました。
ただ、こうした軽微な脳のダメージは、
3ヶ月程度で自然にも回復する性質のものでした。

ただ、これで青少年の時期のヘディングを繰り返すダメージが、
持続的な脳の障害の原因にならないとも言い切れず、
ネックカラーの装着は、
そのダメージを和らげる用具として、
今後もその効果を検証する必要があるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。