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ω3系脂肪酸の不安軽減効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ω3脂肪酸と不安障害.jpg
2018年のJAMA Network Open誌に掲載された、
青身魚の多く含まれる脂の成分が、
不安を和らげる効果があるとする、
メタ解析の論文です。

日本語の紹介記事には、
国立がん研究センターなどの研究のように書かれていますが、
トップネームは台湾の研究者で、
台湾で主な研究は行われたようにも読めます。
共同研究ということなのでしょうか。
詳細はよく分かりません。

青身の魚の油が健康にいい、
という話は、
皆さんもよくお聞きになることだと思います。

その代表が「エイコサペンタエン酸」ですね。
略して「EPA」と呼ばれています。
鯖や鰯などの魚の油に、
多く含まれる成分です。

EPAは油の分類上は、
「不飽和多価脂肪酸」という区分に入ります。

脂肪酸というのは、身体の中の油の総称で、
タンパク質のように窒素は含まず、
炭素と水素、酸素だけからなる、
シンプルな構造物です。
リン脂質や糖脂質、コレステロールやステロイドのような、
脂肪酸から由来する物質も多く、
この中には窒素を含むものもあります。

その大元である脂肪酸は、
二重結合のない飽和脂肪酸と、
二重結合のある不飽和脂肪酸に分かれます。

原子は他と繋がる手を、
決まった数だけ持っていて、
その手がそれぞれ別のものと繋がっているのが、
飽和で、2つの手が同じものと繋がっているのが、
不飽和ということになります。

分子量の大きい「不飽和脂肪酸」は、
その二重結合の位置が端から3番目のものと、
6番目のものとに分かれます。
「EPA]は、その3番目の位置のものに分類されるので、
n-3脂肪酸とか、ω‐3系多価不飽和脂肪酸、などと、
呼ばれているのです。

アラキドン酸という油があります。
レバーや卵黄、うになどに多く含まれています。
これはn-6もしくはω‐6のタイプの多価不飽和脂肪酸です。
これも人間に不可欠な油の1つです。

つまり、ω3系脂肪酸の代表がEPAやDHAで、
ω6系脂肪酸の代表がアラキドン酸です。

ω3系脂肪酸とω6系脂肪酸のどちらが多いかというバランスが、
身体の健康にとって重要であることは、
これまでの多くの疫学データや動物実験のデータで、
ほぼ明らかになっています。

データが多いのは心血管疾患ですが、
不安を抑え心的外傷後ストレス障害(PTSD)を予防するような効果が、
ω3系脂肪酸にあるという報告も、
最近複数論文化されています。

ただ、実際にEPAやDHAなどを補充することで、
不安障害が改善するかどうかは、
それほど精度の高いデータがないこともあって、
まだ明らかではありません。

今回の研究はこれまでの、
ω3系脂肪酸のサプリメントを、
偽薬のコントロールと比較した臨床試験のデータを、
まとめて解析したメタ解析ですが、
トータルで1203名のサプリメント使用者のデータを、
まとめて解析した結果として、
臨床的な不安症状を、
ω3系脂肪酸のサプリメントが改善することが認められました。

このサプリメントの抗不安効果は、
ω3系脂肪酸の量が1日2000mg以上に限って認められ、
また不安障害などの臨床的な診断を受けている事例で、
より高い効果が認められました。

このようにω3系脂肪酸の補充には、
比較的高用量において一定の抗不安効果が認められることは、
ほぼ間違いがなさそうです。

それでは何故脂肪酸にそのような効果があるのでしょうか?

明日はそのメカニズムについての論文を、
ご紹介したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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