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リバーロキサバンの退院後使用の血栓症予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
リバーロキサバンの血栓症予防効果.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
抗凝固剤を心不全や肺炎などの内科的疾患で入院後の患者さんに、
血栓症予防として短期使用した効果を検証した論文です。

これは些細な研究にようにも思えますし、
結果としてあまり有効性は確認されなかったのですが、
実臨床においては常に問題となる疑問に対して、
一定の回答を与えているという意味で、
臨床的には非常に意義のある研究ではないかと思います。

有名な権威のある医学誌に、
時々「なんでこんな大したことないような研究が載るんだろう」
と思えるような論文が掲載されますが、
それは多くの場合、
臨床的に意義のある知見であるからで、
僕のような凡人では、
その価値を見いだせないために、
そうした感想を抱くことが多いように思います。

長いフライトで同じ姿勢を取っていたり、
入院して数日間以上寝たままでいたりすると、
特にそれまで病気のなかった人でも、
足の静脈などに出来た血栓が、
肺の動脈に詰まる、
肺血栓塞栓症などのリスクが高まります。

そのために入院中であれば、
足の血行を促すような治療を施したり、
検査で血栓傾向が認められれば、
抗凝固剤を使用するなどの対応が行われます。
適切な抗凝固療法により、
血栓症のリスクは50から60%低下する、
と報告されています。

ただ、これは敢くまで入院中に限った話です。

入院中に血栓症のリスクがある場合、
退院後も6週間はそのリスクは高い状態が続く、
と指摘されています。
ただ、それでは退院後にも一定期間抗凝固剤を使用することが、
そのリスクの軽減に繋がるかどうかは、
まだ結論が出ていません。
これまでに行われた臨床試験においては、
退院後の抗凝固剤の使用は出血系の合併症を増やした一方で、
症状のない血栓症を減らしただけでした。

そこで今回の研究では、
世界36カ国の671の専門施設において、
静脈血栓塞栓症のリスクが高いか、
血栓症の指標の1つであるDダイマーが軽度上昇していて、
心不全や肺炎などの内科的疾患で3日以上入院している、
トータル12019名の患者さんを登録し、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は直接作用型経口抗凝固剤であるリバーロキサバン(商品名イグザレルト)を、
退院時から1日10mgで継続使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
退院後45日間の経過観察を行っています。

その結果、
症候性や致死性の静脈血栓塞栓症を併せたリスクには、
両群で有意な差は認められませんでした。
重篤な出血のリスクについても、
リバーロキサバン群で高い傾向はあったものの、
頻度は0.28%と低く、
両群で有意差はありませんでした。
ただ、症状のある非致死性の静脈血栓塞栓症のリスクについては、
リバーロキサバン群で56%(95%CI: 0.22から0.89)と、
こちらは有意な低下が認められました。

このように、
退院後一定期間の抗凝固剤の使用は、
一定の有効性はあるものの、
患者さんの生命予後を左右するまでのものではなく、
出血系の合併症のリスクもあることを考えると、
その使用の判断は難しいというのが、
現状であるようです。

悩ましいですね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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