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糖尿病の患者さんにおけるアスピリンの一次予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アスピリンの一次予防効果.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
アスピリンの心血管疾患の一次予防効果を、
糖尿病の患者さんで検証した論文です。

1日80から100mg程度のアスピリンを継続的に飲むことに、
心血管疾患や腺癌というタイプの癌の、
予防効果のあることは、
多くの疫学データや精度の高い臨床試験においても、
実証されている事実です。

ただ、その一方でアスピリンには出血系の合併症があり、
使用を継続することで、
消化管出血や脳出血などのリスクは増加します。

従って、アスピリンを服用することが、
その人にとって有益であるかどうかは、
その作用と有害事象とのバランスに掛かっています。

その有効性は一度そうした病気になった人の、
再発予防効果としては確立されていますが、
まだ病気にはなっていない場合の、
一次予防効果については、
どのような対象者を選ぶかによっても、
その結果は様々で統一した見解とはなっていません。

今回の検証はイギリスにおいて、
年齢が40歳以上で糖尿病に罹患していて、
これまでに心血管疾患を発症していない、
トータルで15480名を登録し、
患者さんにも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方はアスピリンを1日100mg継続使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
平均で7.4年の経過観察を行い、
心血管疾患と消化管の癌、および出血系の合併症の頻度を、
比較検証しています。

その結果、
観察期間中の心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、
心血管疾患による死亡を併せた頻度は、
偽薬群が9.6%に対してアスピリン群が8.5%で、
アスピリンにより心血管疾患のリスクは、
12%(95%CI: 0.79から0.97)有意に低下していました。

一方で経過中に、
脳内出血、眼底出血、消化管出血などの重篤な出血を発症するリスクは、
偽薬群で3.2%に対してアスピリン群では4.1%で、
アスピリンの使用により、
出血系の合併症は1.29倍(95%CI: 1.09から1.52)有意に増加していました。
その主体は消化管出血です。

消化管の癌の発症リスクについては、
アスピリン群と偽薬群とで有意な差はありませんでした。
これは全癌で見ても同じでした。

要するにアスピリンを使用することにより、
心血管疾患は12%減少し、
その一方で出血系の合併症は29%増加しています。

この両者の重みを、
単純に比較することは出来ませんが、
糖尿病の患者さん全員に、
一次予防のためにアスピリンを使用することは、
現時点で必ずしも有益であると、
言えるものではないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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