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リバーロキサバンの実臨床における効果と安全性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
リバーロキサバンのリアルワールドでの効果.jpg
2018年のJournal of the American College of Cardiology誌に掲載された、
リバーロキサバンという抗凝固剤の、
実臨床の世界各地のデータを、
まとめて解析した論文です。

心房細動という非常に頻度の高い不整脈があり、
左心房という部分に血栓が発生しやすくなるため、
脳塞栓というタイプの脳卒中を起こす原因となります。

そのために抗凝固剤という血栓を出来にくくする薬が、
脳卒中の予防のために使用されます。

この目的で広く使用されて来た薬剤がワルファリンです。

ワルファリンの脳卒中予防の有効性は確立されていますが、
ビタミンKの関連する経路を妨害するという性質から、
納豆などビタミンKを多く含む食品の制限が必要で、
他の薬剤との相互作用も非常に多いため、
その効果が不安定になりやすいという欠点があります。

その調節はPT-INRという血液検査の数値を、
概ね2.0から3.0を目標として量の調整がされますが、
微調整は意外に難しく、
数値が低ければ効果が充分発揮されない一方で、
数値が高ければ有害事象としての出血のリスクが増加します。

2010年以降相次いで発売された、
直接作用型抗凝固剤(呼び名は他にもあり)は、
ワルファリンとは別の機序で同等の効果を得られる薬剤で、
ダビガトラン(商品名プラザキサ)、リバーロキサバン(商品名イグザレルト)、
アピキサバン(商品名エリキュース)、エドキサバン(商品名リクシアナ)が、
現在日本でも使用可能です。

ワルファリンと比較すると薬物相互作用が少なく、
ビタミンKにも影響されないので
食事や併用薬の制限が殆どありません。
また効果が安定しているので使用量の調節も、
殆ど必要ありません。
臨床試験の段階では、
出血系の有害事象もワルファリンより少ないと報告されました。

このように発売時はいいことづくめと思われた新薬ですが、
実際に使用が拡大してみると、
出血系の有害事象は決してワルファリンより少ないとは言えず、
報告によってはむしろ多いというものもありました。
効果は安定していると思われましたが、
腎機能が低下するとその影響を受け、
有害事象が重篤化する傾向も認められました。
有効性についても、
コントロールが良好のワルファリンより優れているということはなく、
薬の値段としては新薬が格段に高いということを考えると、
医療経済的にもどちらを選ぶのが適切かは、
難しい選択になります。

またもう1つの問題は複数の直接作用型抗凝固剤のうち、
どの薬を選択することが、
その効果と安全性の面で最善であるのか、
それともどの薬でもそれほどの差はないのか、
ということです。

2017年の多くの臨床データを複合的に解析した、
ネットワークメタ解析の論文によると、
ワルファリンと比較して特に生命予後や出血系合併症のリスクについては、
直接作用型抗凝固剤の方が優れている可能性が高く、
脳卒中予防効果については、
エドキサバンとリバーロキサバンはやや落ちると見られ、
出血系の合併症が通常用量においてもワルファリンより低いのは、
アピキサバンとエドキサバンと言って良い、
という結果になっていました。

つまり、リバーロキサバンにとっては、
やや分の悪い結論となっています。

これ以外にも、
リバーロキサバンは他の同種の薬よりも、
その予防効果において劣るのではないか、
というものや、
脳出血などの重症の出血のリスクが高いのでは、
というようなデータが発表されていて、
発売当初は1日1回使用という利便性から、
評価が高かったリバーロキサバンですが、
最近ではあまり良い評判がありません。

今回の研究は、
世界各地で実臨床に近い形で行われた、
複数の臨床試験の結果をまとめて解析したもので、
そのアジアやヨーロッパなど、
地域毎の特性も比較されています。

ただ、アジアでは韓国、台湾、香港、フィリピン、シンガポール、
などがエントリーしていますが、
日本は含まれていません。

トータルで11121名の心房細動の患者さんに対して、
リバーロキサバンを年間使用した治療の結果をみたところ、
脳出血などの重症の出血のリスクは、
年間100人当り1.7件(95%CI: 1.5から2.0)で、
低かったのは南アメリカで、
高かったのはヨーロッパ、カナダ、イスラエルでした。

総死亡のリスクは、
年間100人当り1.9件(95%CI: 1.6から2.2)で、
低かったのはヨーロッパで、
高かったのは南アメリカ、中東、アフリカでした。

また脳卒中と全身の血栓症のリスクは、
年間100人当り1.0件(95%CI: 0.8から1.2)で、
最も低いのは南アメリカで高いのは東アジアでした。

この結果は比較がないので分かりにくいのですが、
良くコントロールされたワルファリンや、
他の直接作用型抗凝固剤と遜色のない予防効果があり、
出血系の合併症も低いレベルになっています。
そして、1日1回という用法のために、
飲み忘れが少なく治療の継続もしやすいという利点があります。

今回のデータはリバーロキサバンの有効性と安全性とを、
再確認する性質のものですが、
これまで発表されたデータとの比較など、
その確かさについては、
また更なる検証が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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