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ビリルビン濃度と肺機能との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ビリルビン濃度と肺機能.jpg
2018年のBMC誌に掲載された、
血液のビリルビン濃度と肺機能の低下が関連するという、
韓国の疫学データを解析した論文です。

それほど画期的な研究というようなものではないのですが、
健診などでも簡単に測定されている数値が、
意外に大きな意味を持っているかも知れない、
と言う点が興味深く、
上記論文以外の知見も含めて、
今日はご紹介したいと思います。

ビリルビンというのは、
血液で酸素を運んでいるヘモグロビンの一部が、
分解されて生じる黄色の色素で、
肝臓に運ばれると胆汁として分泌され腸に流れます。
便が茶色いのは、
このビリルビンが更に代謝されて排泄されるためです。

血液のビリルビン濃度は、
0.3から1.2mg/dLくらいに保たれていますが、
肝臓や胆道の異常などでスムースに排泄されないと、
血液中に溜まって、
そのために皮膚が黄色くなります。
これが「黄疸」です。
この黄疸は、溶血と言って血液自体が壊れて、
血液中のビリルビンが増加した時にも起こります。

従って、
通常血液のビリルビンを測定する目的は、
肝臓や血液の病気を診断するためです。

ただ、このように病的ではないレベルのビリルビンは、
抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、
血液中で身体を病気から守るような働きを、
持っている可能性が示唆されています。

これまでの臨床研究のデータでは、
正常範囲でビリルビンが高めであると、
心筋梗塞や虚血性心疾患、脳卒中、
肺癌、慢性閉塞性肺疾患のリスクの低下が報告されていて、
肺癌の死亡リスクの低下も報告されています。
おそらく外的な細胞障害から、
ビリルビンが身体を守るような働きを持っているのでは、
と推測されています。

今回の韓国の研究では、
40から69歳の韓国住民7986名の疫学データを活用して、
肺疾患のない対象者において、
血液のビリルビン濃度と呼吸機能との関連を検証しています。

血液のビリルビン濃度は、
男性で2.34mg/dLを超える場合と、
女性で1.75mg/dLを超える場合は、
明らかな異常値として除外されています。

その結果、
基準値の範囲でビリルビン濃度が高いほど、
1秒量や肺活量などの呼吸機能の数値は有意に高く、
経過観察におけるその低下率も、
ビリルビン濃度が高いほど抑制されていました。

このように、
ビリルビンが高値であることは、
肺機能の維持にも重要であることが示唆されたのです。

具体的には血液のビリルビン値は1.0mg/dL近傍か、
正常範囲であればそれより高値の方が、
肺機能低下のリスクは低くなっているようです。
(論文のビリルビン濃度の単位は表のみμmol/Lとなっていますが、
単位の誤りであるようです。ややずさんな感じです)

今回のデータはまだ参考程度のものですが、
血液のビリルビン数値が身体の多くの機能の維持に、
関わっているという指摘は興味深く、
今後の知見の集積に期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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