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スタチンと認知症リスクのメタ解析 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
スタチンと認知症リスク.jpg
2018年のScientific Report誌に掲載された、
スタチンというコレステロール降下剤と、
認知症リスクとの関連についての論文です。

スタチンはコレステロール合成酵素の阻害剤ですが、
コレステロールを下げるばかりではなく、
抗炎症作用などの多面的な作用を持ち、
それが動脈硬化の進行予防などに結び付いていると考えられています。

スタチンの心筋梗塞などの心疾患の予防効果は、
間違いなく実証された事実ですが、
認知症に対する効果についてはまだ議論があります。

スタチンの効果の1つとして、
コレステロールの中間代謝産物のイソプレノイドを抑制し、
これが認知症の発症に伴うβアミロイドなどの異常蛋白の蓄積を、
抑制する効果があるのではないか、
という考え方があります。

これが事実であるとすれば、
スタチンは認知症、特にアルツハイマー型認知症に対しては、
その発症を抑制するような効果が期待出来ます。

しかし、その一方でスタチンに使用において、
認知機能の低下が生じるような事例も報告されています。
また、疫学データにおいても、
スタチンの使用により一定の認知症予防効果が認められた、
という報告がある一方で、
そうした効果は認められなかった、
というような報告もあります。

今回の研究は、
これまでの主な臨床データを、
まとめて解析するメタ解析の手法で、
この問題の検証を行っています。

これまでの25の臨床研究をまとめて解析した結果として、
スタチンの使用は全ての認知症の発症リスクを
15.1%(95%CI: 0.787から0.916)、
アルツハイマー型老年認知症の発症リスクを
28.1%(95%CI: 0.576から0.899)、
認知症の基準は満たさない経度認知障害の発症リスクを
26.3%(95%CI: 0.556から0.976)、
それぞれ有意に低下させていました。
ただ、脳梗塞などによる脳血管性認知症の発症リスクについては、
スタチン使用との間に有意な関連は認められませんでした。

ここでスタチンを、
組織移行などにおいて差のある、
水溶性スタチン(プラバスタチン、ロスバスタチン)と、
脂溶性スタチン(シンバスタチン、アトルバスタチン、
ピタバスタチン、フルバスタチン)とに分けて分析すると、
水溶性スタチンは全ての認知症リスクの低下と関連が認められましたが、
アルツハイマー型認知症との関連は弱く、
脂溶性スタチンはアルツハイマー型認知症のリスク低下との関連は認められた一方、
認知症全体との関連は認められませんでした。

このように、
スタチンがアルツハイマー型老年認知症などの、
発症予防に効果があるという可能性はありそうですが、
今のところ血管性認知症などの予防にもなるか、
と言う点は明確ではなく、
またどのような時期の認知症に対して、
有用性があるかどうかも明確ではありません。

今後より精度の高い研究により、
スタチンの認知症への有効性が、
検証されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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