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M&Oplaysプロデュース「流山ブルーバード」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
流山ブルーバード.jpg
M&Oplaysプロデュースとして、
赤堀雅秋さんの作・演出による新作、
「流山ブルーバード」が今下北沢の本多劇場で上演中です。

赤堀さんの作品は前はあまり受け付けなかったのですが、
今年は夏の「島の名前」がなかなか良かったので、
ちょっと見直すような思いがあり、
今回も食わず嫌いは止めようと、
続けて足を運びました。

結果的には今回もなかなか楽しむことが出来ました。
色々な意味で、本多劇場的に優れた芝居でした。

千葉県の流山市を舞台に、
魚屋の家業を継いだ49歳の兄に寄生するようにして、
無為な生活を続けている27歳の弟を賀来賢人さんが演じ、
どうしようもない下卑た不倫や人妻の火遊び、
隣同士のいざこざなどが刹那的に描かれます。
流山からは東京は決して遠い理想郷ではなく、
沖縄も手の届かない楽園ではないのですが、
それでも行こうとすると躊躇する主人公は、
その町を離れることが出来ません。
しかしその町も安住の地ではなく、
謎の通り魔が跳梁して悲劇は繰り返されていますし、
不倫の代償で数少ない友情の場も消滅してしまいます。

オールビーの家庭劇を彷彿とさせるような、
地を這いまわるような人間ドラマですが、
太賀さんが屈折した役柄を演じることを含めて、
クドカンの「ゆとりですが何か」を、
元にしている感じもありますし、
オープニングがいきなり宇宙論の話を廃屋(?)で2人の男がしていると、
急に色っぽい女性がやってきて、
挑発的に踊り出すという、
その時点では意味不明としか思えない描写や、
チェホフの「三人姉妹」の引用など、
岩松了作品に似た匂いもあります。

岩松作品やチェホフと同じく、
一番大事な場面や結末と言えるような場面は、
舞台上では描かれないという作劇で、
ラストもポイントとなる台詞はあるのですが、
ろくでなしの兄弟2人が、
ダラダラと話をするだけで終わってしまうので、
その点の物足りなさはあるのですが、
最初の宇宙論にしても、
舞台の流山市という空間が閉じているのかどうか、
ということで主題に関わっていますし、
「三人姉妹」がモスクワ行きに囚われているように、
この物語の主人公も東京や沖縄に囚われているので、
意外に緻密に全ては仕組まれていますし、
正反対のように見える兄弟が、
物語の最初と最後で対象的な裸体をさらし、
それが同じ構造の修羅場に繋がっているなど、
シンメトリックな構成も巧みです。

それほど好きな世界ではないのですが、
完成度の高い作劇には感心しました。

キャストは皆好演ですが、
特に主役を演じた賀来賢人さんが抜群に良くて、
同年代の舞台役者の中では、
最も良いと言って過言ではないと思います。
昔のキムタクに似た華があり、
屈折した感じもあってコメディも出来ますし、
今回のような嫌な役でも、
嫌味なくすっきりと演じることが出来、
何もしないでじっとしているだけで、
ちゃんと芝居になっているのが天性の魅力です。

ドラマでは屈折した役に妙味のある太賀さんは、
今回もそうした見せ場がありますが、
正直舞台ではまだまだの感じはありました。

主人公の兄を演じた皆川猿時さんは、
いつもの笑いを封印した役柄でしたが、
新境地と言って良い地味な熱演で味わいがありました。

赤堀雅秋さんの快調さを再認識する舞台で、
これからもとても楽しみです。

こういう芝居は矢張り好き嫌いはあって、
僕も以前はあまり受け付けなかったのですが、
最近ではこうしたものも悪くないなと感じています。
出来不出来から言えばこうしたタイプの芝居としては、
劇作の完成度も高く、役者も頑張っていて、
レベルは非常に高かったと思います。
唯一アバのヒット曲をガンガン鳴らす音効は、
ちょっと意味不明で疑問でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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