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経口避妊薬(ピル)の胎児への安全性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は事務作業に充てる予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
経口避妊薬の胎児への影響について.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
経口避妊薬(ピル)を、
妊娠と気づかずに服用した場合の、
胎児への安全性についての論文です。

経口避妊薬(ピル)は、
避妊の目的以外にも、
子宮内膜症や月経痛などの改善目的で、
広く使用されています。

その使用による、
血栓症や一部の癌のリスクについては、
ピルが低用量化されることで、
勿論ゼロにはなっていませんが、
かなり軽減されています。

ピルは基本的に避妊を目的としたものですから、
妊娠中や妊娠を希望されている時には、
服用はしないのが原則です。

しかし、適切に使用していれば、
ほぼ100%排卵の起こらないピルですが、
飲み方を間違えたり、飲み忘れる日があったりすれば、
ピルを使用しているのにも関わらず、
妊娠してしまうこともありますし、
妊娠しているのに、
飲み続けてしまうこともあり得ます。

それでは、ピルを妊娠直前や妊娠中に飲むことで、
胎児に影響はないのでしょうか?

通常で考えると、
ピルを飲むことは、
一種の偽妊娠状態を作ることなので、
そこで妊娠が成立したとしても、
大きな影響はないように思います。

しかし、ピル自体は人工的なものですし、
それが妊娠初期の感受性の高い時期に、
母体に入ることが無害とも言い切れません。
外部からの性ホルモンの使用により、
血液のビタミンA濃度が上昇する、
という報告があり、
これが事実であるとすると、
胎児の先天性の異常の原因となる可能性があります。

ネットなどチラホラ見ていると、
「ピルで妊娠に影響することはない」
と明確に書かれていることが多いのですが、
これは上記文献を読む限り正確とは言えません。

実際には症例報告や少数例をまとめた報告としては、
心疾患などの胎児の先天性の異常が、
ピルの使用と関連しているのでは、
という内容の論文が複数存在しているのです。

しかし、精度の高い大規模な疫学データは、
この問題についてはあまり得られていなかったことも事実です。

そこで今回の研究では、
国民総背番号制を取っているデンマークにおいて、
88万人以上の妊娠された女性のデータを後から解析する方法で、
妊娠の3カ月前から妊娠中の経口避妊薬の使用と、
胎児の異常との関連性を検証しています。

その結果…

多数例の検証において、
妊娠中および前3カ月のピルの使用と、
胎児の先天的な異常との間には、
有意な関連は認められませんでした。

つまり、今回の研究により初めて、
大規模な疫学データでピルの妊娠中の安全性が確認されたのです。

勿論この1つだけのデータで、
妊娠中のピルの使用が問題ない、
とは言い切れないのですが、
うっかり妊娠を気づかずにピルを使用してしまっても、
現状はそれを気に病む必要はない、
ということは言っても良いように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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